今年6月、今泉にオープンしたばかりの「白」。店があるのは、車通りがほとんどない今泉の細い路地を進み、さらに月極駐車場の敷地へと入った場所です。「歩いていて偶然見つけたんだよね」とはならない、隠れ家的な雰囲気をひしひしと感じます。
古民家の引き戸を開け、店に入ると想像以上に広い空間。メインはオープンキッチンを囲むコの字のカウンター席ですが、小上がり席もあるのでグループ客での訪問にも良さそうです。カウンターに座ると、おでん鍋や炭焼き台なども見ることができて、ライブ感たっぷりに食事が楽しめます。
厨房で腕を振るう店主の西幸志郎さんは、福岡屈指の人気店「藁焼 みかん」「赤坂こみかん」から独立したというのだから期待が高まります。「九州・福岡の地物を中心に、旬の食材のポテンシャルを活かした料理を提供したいんです」と話す西さん。メニューは定番もありながら季節のうつろいを食で感じられるラインナップ。アルコールは各地の地酒が20種近くあるほか、和食に合うナチュールワインも揃っています。
「温かい『ごま豆腐』でお腹をならして、食事を楽しんでいただけたら」ということで、最初の一品に選んだのが「ごま豆腐」(700円)。注文を受けてから練り上げ、出来立てを提供する「ごま豆腐」はふわりと立つ湯気とともに、香ばしい香りが漂います。収穫後、加熱乾燥した状態の洗いごまを店で炒りペーストにすることで、一層香ばしさが引き立つそう。調理の際に出るごまペーストの搾り汁を使ったごま醤油とともに口に含むと、ごま特有の香りが一層濃くなり、とろりとクリーミーな舌触りとともに優しい甘さが広がりほっとします。
「ごま豆腐」でお腹の準備を整えたら、いよいよ本番! 店イチオシの「お刺身盛り合わせ」(1人前1,800円、注文は2人前~。写真も2人前)をいただきます。この日は、マグロ、カマス、ヒラメ、ウニなど6種類。とろりととろけるマグロは握り寿司で、1日寝かしてねっとりと仕上げたイカは醤油ではなく岩のりでなどアレンジを利かせているのもうれしいです。
最後は少しボリュームあるものをと「蒸し鳥」(1,400円)に決めました。蓋付きの器で、グツグツと音が出そうなほどの熱々で登場して気分が上がります。プリッと大きな蒸し鶏にはたっぷりのパクチー。ひたひたのスープにパクチーとネギを絡めて蒸し鶏に乗せ、ライムと青唐辛子でいただくとジュワッと濃厚な旨味が溢れ出ます。ピリッと辛い青唐辛子も相まって、お酒も進む一品。一度脱水した雛鶏のモモ肉を鶏ガラスープで蒸すことで、旨味が肉に戻って凝縮されるのだとか……。パクチーとライムでちょっぴりエスニックな要素が入っているのも私好みです。パクチーは別皿で提供され、苦手な人は事前に伝えることでパクチーなしにも対応してくれます。
「目指すのは居酒屋以上割烹未満。居酒屋のような気軽さの中にも、割烹料理店のようなホスピタリティあるおもてなしができる店にしたいんです」と西さん。今はオープンしたばかりですが、「数年後には2階を使って別ブランドも展開してみたい」と話してくれました。気取らない食事の時間の中にも、ひと手間のおもてなしを感じることができる「白」。本物志向のグルマンにぜひおすすめしたいお店です。
ジャンル:居酒屋
住所:福岡市中央区今泉2-3-28
電話番号:092-791-8660
営業時間:17:00~OS24:00
定休日:水曜、他不定休みあり
席数:カウンター19席、小上がり8席
個室:なし
メニュー:ごま豆腐 700円、お刺身盛り合わせ 1人前1,800円(オーダーは2人前~)、蒸し鳥 1,400円、牛すじ煮 800円~、地鶏炭焼き 1,200円、日本酒 700円~、ワイン 900円~
URL:https://www.instagram.com/shiroshiro.imaizumi/
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