意外と個性派な店が多い六本松は、今後も要注目のグルメエリア。7月8日には「しらいし酒飯」がオープンし、上質な料理と酒で客の空腹を満たしています。決して派手ではないけれど、気づけば何度も通ってしまう──そんな愛すべき庶民派居酒屋に出掛けました。
場所は別府橋たもとのビル1階。ビル中央を貫く通路の途中にあり、歩道から見えにくい“ガード下の隠れ家”風な立地がユニークです。けれども外観は明るくて、店内も清潔感があり女性一人でも安心ですよ。
「いい場所見つけたねって、同業の知人にも言われます」と笑うのは、有名和食店グループで20年以上研鑽した店主の白石裕貴さん。高級和食を作れる腕を持ちながら、「本当に自分がしたいこと」を考えて、居酒屋という業態を選んだと言います。
そんな想いを込めたメニューには、300円台の小品から2,000円台の丼までを用意。どれもうまそうな“そそる”料理が並ぶうえ、13種以上から選べる日本酒の品揃えも高得点です。
さて、まずはお勧めマークが付いた「季節野菜達の浅漬」(410円)をオーダー。素材ごとに別々の下処理を行い、氷水で1時間も締めたゴーヤ、パプリカ、キュウリ、ピーマンはパリッと軽快な歯触りです。出汁にレモン、ニンニク、実山椒を加え、ほんのり夏の清涼感を生む演出もさすが。手の込んだ優雅なサラダのような一品でした。
メニューやホワイトボードには魚料理も豊富。厳選した鮮魚を、本格和食仕込みの技で楽しませてくれます。マグロを用いた「本日の刺身胡麻醤油和え」(1,080円)も、風味豊かな自家製胡麻醤油との相性が抜群でした。タレを作る際、フライパンで一度胡麻を炒って香りを立たせるのがポイントだとか。そんな“些細な手間”の積み重ねに、店主の愛や良心を感じるんですよね。
さらに、「これはご飯とも合いそう」と思っていたら、「500円でご飯と味噌汁を付けられますよ」と白石さん。「ウチを定食屋として使うのも大歓迎です」。どの単品にもセット可能なので、例えば「手羽先唐揚げ定食」「揚げ出汁豆腐定食」という風に、好みや気分でいろんな定食が楽しめそう。この種の店では珍しくも嬉しいシステムではないでしょうか。
白石さんの故郷・飯塚のオートレース場で出される料理をオマージュした「和牛ホルモン味噌煮込み(飯塚オート風)」(960円)も忘れ難い美味でした。3時間も煮込んだアキレスとハチノスに、センマイ、小腸、コンニャクを加えた複雑&豪快な食感がたまりません。無水調理で素材のエキスもたっぷり染み込み、箸の止まらぬ逸品に昇華しています。味噌ダレを濃いめに調整した「飯塚オート風ホルモンぶっかけめし」(600円~)もお勧めですよ。
そして、この日のシメは「じねんじょいくら丼」(ハーフ/1,400円)に決定。プチプチと張りのあるいくらと、粘り気強めな自然薯のコントラストが絶品です。食べ終える頃には、すっかり温かな満足感で胸いっぱい。上等な和食店さながらの余韻は、やはり品格ある料理の賜物でしょう。真面目で値頃な料理が揃い、気軽な定食屋としても利用でき、しかも15時から深夜3時まで開いているという頼もしさ。「こんな店が近所にあれば!」と、六本松の住民に軽く嫉妬してしまう優良店でした。
ジャンル:居酒屋、定食・食堂
住所:福岡市中央区六本松4-11-26 ビバーチェ・ハシモト1F
電話番号:092-753-6120
営業時間:15:00~OS翌2:00
定休日:水曜
席数:カウンター7席、テーブル8席
個室:なし
メニュー:季節野菜達の浅漬410円、本日の刺身胡麻醤油和え1,080円、和牛ホルモン味噌煮込み(飯塚オート風)960円、じねんじょいくら丼(ハーフ)1,400円、海老とすり身春巻き850円、手羽先唐揚げ1本180円、レバパテ(鶏レバー)630円
URL:https://www.instagram.com/shiraishisyuhann/
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