10月は「食品ロス削減月間」です。食品ロス問題は企業の問題だけでなく、私たちの家計とも密接に結びついており皆が意識すべき課題です。食品を効率よく使うことは、食品ロス問題の解消や家計の節約にも繋がります。
今回は食品ロス問題の現状、家庭でできる食品ロス対策などについて紹介します。
食品ロスとは
「食品ロス」とは、本来食べられるのに捨てられてしまう食品のことを指します。東京五輪の期間中に13万食以上の弁当が廃棄されたことなども話題となり、昨今、食品ロス問題に関する注目度は高まってきています。
食品ロスはなぜ問題なの?
食品ロスの問題は「食料問題」に直結します。現在、世界の人口は増え続けており2022年には80億人を超え、2050年には97億人に到達するとも予測されています。それに対し生産できる食品は限界があるため、食品ロスを防ぎ無駄なく使わないと世界の人々の命を脅かす原因ともなりかねません。実際に現在、世界の約9人に1人が栄養不足となっており、特に途上国を中心に飢えに苦しんでいる人が増えている状況です。
気候変動にも影響
捨てられた食べ物をごみとして処分する際には、地球温暖化の要因となる温室効果ガスが排出されます。環境NPOの世界資源研究所(WRI)がまとめた2011~2012年のデータを見ると、食品ロスによって排出される温室効果ガスの量は、意外にも飛行機の出す量よりもずっと多いのです。温室効果ガスが増えると気候変動を促すことになり、農業の不作や漁業の不漁など更なる悪循環に繋がります。
家庭における食品ロスはどれくらい?
スーパーやコンビニが賞味期限が切れた食品をすぐに破棄してしまうことなどが食品ロスとして話題になりますが、それだけでなく私たちの家庭でも食品ロスは生じています。
家庭からどれくらい食品ロスが発生している?
日本の食品ロスの量は年間で約523万トンと言われており、うち事業系が約279万トン、家庭系が約244万トンという割合となっています。つまり食品ロスのおおよそ半分は家庭から生じているということです。しかも、この数値には畑で捨てられる規格外野菜や備蓄食品の廃棄などの量は含まれていません。
家庭の食品ロスの内訳は?
家庭系の食品ロスの内訳は以下のようになっています。
食べ残し:105万トン 43%
直接破棄:105万トン 43%
過剰除去:34万トン 14%
発生量合計:244万トン
出典:消費者庁「食品ロス削減関係参考資料」(令和5年6月9日版)
作りすぎによる「食べ残し」と賞味期限切れなどで使わずに捨てる「直接廃棄」が共に105万トンと多く、野菜の皮の剥きすぎなどの「過剰除去」でも34万トンの食品ロスが発生しています。
家庭の食品ロスでいくら無駄が発生している?
家庭の食品ロスでは、年間でどのくらいのお金が無駄になっているのでしょう。これについて京都市の試算によれば、食べ残した食品の購入費5万6000円+ごみの処理費4000円=年間6万円/世帯の無駄が発生してると算出されています。
言い換えれば、食べ残しを解消させることで年間で購入費5万6000円分を節約できるとも言えますので、家計の節約のためにも食品ロスの解消に取り組んでいきたいところです。
食品ロスを減らす&食費の節約方法(冷蔵庫収納、買い物、調理)
食品ロスを減らすために、具体的にどのような行動を取ればよいのでしょうか。ここでは食品ロス削減のための行動や節約方法について紹介します。
「消費期限」と「賞味期限」との違いを理解する
消費期限と賞味期限の意味は異なります。
消費期限:過ぎたら食べない方がいい期限。
賞味期限:美味しく食べることができる期限。この期限を過ぎてもすぐに食べられないという訳ではない。
消費期限切れの食品は食べずに捨てた方がよいですが、賞味期限切れであれば食べられる場合もあります。賞味期限切れのものをすぐに捨てるのではなく、上手く活用していくことが食品ロス削減につながります。
買い物のコツ
買い物の際、必要以上に食品を購入すると使い切れず消費期限切れで捨てる、という結果になりやすいです。そのため「買い物リスト」を作り、何が今足りずに買う必要があるのかを把握できる環境を作っておくのがおすすめです。スマートフォンのアプリの「TODOリスト」などを使えば買い物リストを簡単に作ることが可能です。
あわせて「週の買い物回数を減らす」「特売セールなどで過度に買い過ぎない」などの意識を持つことも大切です。
冷蔵庫を整理する
冷蔵庫の中が見やすく整理されていないと、食べ残しや消費期限切れを見落としがちになり食品ロスが生じやすくなりますので、見やすく整えましょう。
冷蔵庫の整理のポイントは以下となります。
・右のドアポケットには使う頻度の高い食品を配置
・左のドアポケットには使用頻度は低いけれど、食品ロスになりがちなもの(調味料等)を配置
・中央の段に特に使う食品を配置
・期限がもともと近い食品や期限が迫っている食品は特定の場所(カゴなど)にまとめる
・保管する際には消費期限や賞味期限のラベルを確認しやすい向きで配置
野菜を冷凍保存する
「野菜」は特に捨ててしまいがちな食品であり、食品ロス削減の鍵となる食品です。野菜はそのまま保管しておくと長く持たないため、使わない野菜はカットして種類毎に小さなビニール袋などに詰め、冷凍室で冷凍保存しておきましょう。
注意点として、冷凍保存のためだけに毎回野菜をカットするのは手間がかかり長続きしにくいです。そのため料理をした際に、使った野菜で余ったものを都度カットして冷凍室に移しておくのがおすすめです。
以上、食品ロスについて解説しました。食品を無駄にするというのは道義的・倫理的にも良いことではなく、食料問題や環境問題にも繋がります。家計としても無駄な出費となりますので、食品との関わり方を見直し、無駄なく使い切っていきましょう。
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