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一食も無駄にしたくない、僕の切り札

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「私、この店、大好きなんです。」の執筆のお話をいただいた時、正直、めちゃくちゃ嬉しかった。しかし、数ある大好きなお店の中から一軒に絞るのはなかなか難しい。まず、「私の大好き」とは、いったい何であるか分析してみることにした。大好きなら長い間そのお店に通っているであろうし、そこそこの頻度で行っているお店なはず。ブレない基準が欲しい。その方が私自身、一軒を決めるのに納得できる。
そこで“期間×頻度=大好き”という方程式を立て、この方程式に当てはまりそうなお店を数軒リストアップした。そして、この方程式から出た答えが「三六十八」だ。

三六十八店内

「三六十八」は、けやき通りから警固本通り側に一本入った通りのマンションの1階にあり、大将と奥さんのお2人で営業されている。コスパがいいとか、派手なパフォーマンスがあるとか、映えメニューがあるわけではない。むしろ、そんなものはない。では、なぜ大好きで通い続けるのか。まずは焼鳥がめちゃくちゃうまい。肉やたれの味がうまいのは言わずもがなだが、焼鳥を支えているキャベツも絶品なのだ。そのキャベツは多角度から切られているためか口の中でほどける。単なるお口直しのキャベツではなく、焼鳥とキャベツが完璧にマリアージュした一品と言える。また、いくら丼のいくらは、ピンセットで並べたのかと思うほどの美しさ。食べる前からもううまい。

三六十八刺身

「三六十八」の魅力は、細かな作業に手ぬかりのない「侘び寂び」の精神だと思う。目で見て、脳で感じて、舌で味わい、そして心で楽しむ、そんな大人の世界観。一つ注文をつけるとすれば、肉巻きえのきを復活させて欲しい。あの、えのきの断面はここでしか見られないのだから。
まっ、あってもなくてもまたすぐ行くんだけどね。

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