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音と香りまでもご馳走!名店の遺伝子を継ぐ、無二の欧風レストラン

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絨毯を敷き詰めたフロアに、真っ白なクロスをかけたテーブルと輝く銀食器。クラシカルな設えの店内は、温かみがありながらも凛としていて、背筋がスッと自然に伸びる。コース料理は往年のプリフィクススタイルで、食べたいものを思うがままに――。

あれはまさに福岡のベル・エポック、古き良き華やかなりし時代。私は、かつて西中洲にあったレストランのことを今でもよく覚えています。

桜坂 欧風料理 典 看板 桜坂 欧風料理 典 外観

西中洲のあの名店は、2020年に惜しまれつつその幕を下ろしました。しかし、悲しむことはありません。今宵訪れたのは、その遺伝子を受け継ぐレストラン。地下鉄七隈線・桜坂駅の側で、2023年8月に創業した「欧風料理 典」へご案内します。

桜坂 欧風料理 典 内観

飲食店が数軒入居するモダンなビル「VITA桜坂」の1階にありながら、店内はぐっとクラシカルな雰囲気。「親しい方との時間を大切にできる空間を」との思いから、客席はすべて“ほぼ個室に近い”半個室となっています。

桜坂 欧風料理 典 店主

店の主人でシェフとしても厨房に立つ松尾龍典さんが笑顔で迎えてくれました。松尾さんは、1955年に佐世保で創業し、銀座や六本木にも展開したレモンステーキ発祥の店「れすとらん門」と、1971年に西中洲で生まれ愛された「博多和田門」の3代目。

幼い頃より「店の歴史を守り、受け継ぎたい」との思いは強く、20歳で東京国立「エコール辻東京」に入学し、料理の世界へ飛び込みました。卒業後は六本木のフレンチ店「トレフミヤモト」や、かつての銀座・赤坂で一時代を築いた伝説のレストラン「マキシム・ド・パリ」などで研鑽。2008年に帰福後は西中洲の店舗に勤め、皿洗いからサービス、食材の目利き、厨房での調理まで、店の伝統をみっちりとその身に叩き込んだと言います。

桜坂 欧風料理 典 特選牛肉のたたき

「皆の拠り所」との意味を込め、新たに冠した店名は「典」。「復活を待っていてくださったお客様の期待は裏切れません」と、かつてのメニューを踏襲し、プリフィクスコースやステーキコース、アラカルトまで用意されています。

今回は温と冷2種類のオードブル、メインディッシュ、デザートまで選べる全11品の「プリフィクスコース」(16,500円)をいただくことに。1品目の「アミューズ・ブーシュ」後の冷製オードブルは5種類の中から選べ、かねてからの名物である「特選牛肉のたたき」をチョイスしました。

桜坂 欧風料理 典 特選牛肉のたたき

こちらは、赤身とサシのバランスがいい九州産黒毛和牛ランプ肉のたたきを、山口県の契約農家から届く最高等級の高等ネギで覆った逸品です。しっとりした牛肉の舌触り、新鮮で繊細なネギの食感、牛のブイヨンやタマネギなどの旨味を凝縮した口溶けの良い特製のタレも実に美味。中心にキャビア、手前に西洋ワサビといった、欧風のアクセントも粋です。

ちなみに、風格ある料理を際立たせる食器は、器専門店「田代陶器店」(TOKITOIRO)に特注したものだそう。これまでの洋食器とは違う、新たな一面を感じさせるデザインにも惹かれますね。

桜坂 欧風料理 典 オードブル

続いての温製オードブルも5種類あり、「グリーンアスパラガスのチーズソースグラタン」を選びました。こちらも西中洲で長く愛されてきた歴史ある一皿で、ソースは作り置きをせず、注文ごとに“ア・ラ・ミニッツ”で仕上げるのがおいしさの決め手。みずみずしくジューシーなアスパラガスに絡む、熱々で滑らかなクリームベースのチーズソースがたまりません。ソムリエの資格を持つ松尾さんが選ぶ、多彩なワインと共に楽しみたい一皿です。

桜坂 欧風料理 典 オードブル

また、当時の味を受け継ぎながらも、磨くべきところは磨き、さらにブラッシュアップされている点にも注目。温製オードブルとして選べる「ブルガリア産フォアグラのパイ包み焼き トリュフソース」(+600円)もそんな料理の一つです。「欧風料理 典」にはパティシエが在籍しており、パイはバターをしっかりと織り込んだ風味豊かな自家製の生地に変わりました。中にはフレッシュなホタテと良質なフォアグラが包まれており、フォンドヴォー、マデラ酒、トリュフを合わせた艶やかな「ソース・ペリグー」が味わいをさらに引き立てます。

桜坂 欧風料理 典 元祖レモンステーキ

オードブルの後は「本日のスープ」と「お口直しのグラニテ」が登場し、いよいよメインディッシュの登場。「黒毛和牛A5ランプステーキ エシャロットバターソース」を選ぶこともできますが、今回は「元祖特選サーロインのレモンステーキ」をいただきました。こちらはオーダごとに薄く切り出した牛肉に、醤油ベースの爽やかなレモンソースをかけて仕上げる看板料理。濛々と立ち上る湯気、ジュワーッと弾けるソースの音、香りまでもがご馳走です。

使用する黒毛和牛は、西中洲時代から信頼を置いている卸業者と密にやり取りし、松尾さん自ら目利きした特上品。産地は仕入れにより変わりますが、この日はサシが美しく入り、きめ細やかな質感と甘味が格別の伊万里牛でした。希望があればオリジナルパンの代わりにライスを選べ、残ったソースにライスを入れて食べるのも乙ですよ。

桜坂 欧風料理 典 デザート 撮影:森絵里花

さらに、コースを締めくくるパティシエ特製のデセールは約6種類の中から選べます。中でも見逃せないのは、目の前でフランベして仕上げる「クレープ・シュゼット」や、写真の「チェリー・ジュヴレ」(各+880円)。福岡ではなかなかお目にかかれない、クラシカルなレストランデセールにうっとり、心までとろけてしまいそうです。

また、コースのボリューム感を少し抑えたい……という方は、オードブルを1品に絞り、「元祖レモンステーキ」に赤身の部位を使用する「プティ・プリフィクスコース」(13,200円)もおすすめ。お子様メニューの相談もでき、土曜日は「スペシャルビーフカレーセット」(1,540円)や「元祖レモンステーキセット」(3,300円)といった、カジュアルなランチメニューを楽しめるのも嬉しいですね。

12月20日(金)~12月25日(水)には、通常メニューに加えて「クリスマス特別ディナー」(25,000円・税、サ別)もお目見えします。※12月21日(土)のランチタイムは休業。上記クリスマス期間は、お子様のご予約は不可。その他、詳細はインスタグラムへ。

桜坂 欧風料理 典 ギフト

「スペシャルビーフカレー」などの名物は、インスタグラムに紐付けされたオンラインショップでお取り寄せ購入も可能。昭和40年代に御献食として現上皇陛下御夫妻が召し上がられた逸品を丹念に再現したビーフカレーは、まさに伝統と格式の味わい。ハレの日の贈り物にも最適です。

――高揚感に満ちたレストランでの思い出や温かな食の記憶は永遠に残るもの。名店の遺伝子を脈々と受け継ぎ、新たな歴史を刻む「欧風料理 典」なら、友人や家族、大切な人との時間をきっと特別なものにしてくれることでしょう。

この記事は積水ハウス グランドメゾンの提供でお届けしました。

店舗名:欧風料理 典(てん)
ジャンル:フランス料理、その他レストラン
住所:福岡市中央区桜坂3-8-40 VITA桜坂 1F
電話番号:092-738-0515 (予約推奨)
営業時間:17:30~OS21:00(土曜は11:00~OS13:30/18:00~OS21:00)
定休日:日曜、第1・3月曜
席数:テーブル18席
個室:2~12名
メニュー:プティ・プリフィクスコース13,200円、プリフィクスコース16,500円、特選黒毛和牛フィレステーキコース20,900円、アラカルト550円~、グラスワイン1,320円~、【土曜日限定ランチ】セット1,540円~、ランチコース4,620円 ※ディナーのみサービス料10%
URL:https://www.instagram.com/restaurant_tenn

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この記事を書いたひと

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