感染症が流行している時期や真夏・真冬など野外での運動が厳しい時期でも、家の中で体を動かせると気分転換になりますね。体を動かしやすい住環境を整えることは、心身の充実にもつながります。
今回は「運動」というキーワードに注目して、運動を楽しめる家づくりのポイントやアイデアをご紹介します。
運動できる家のメリット
家の中に運動できるスペースがあると、日々の健康維持がしやすいだけでなく、健康への意識が高まり、生活の質が向上する可能性が高くなります。運動できる家がもたらす主なメリットについて見ていきましょう。
時間を問わず体を動かせる
思い立った時に体を動かせるスペースが家の中にあるというのは、運動が好きな方にとっては大きなメリットです。ジムに通うとなると、ジムの営業時間に合わせて予定を立てる必要があるため、仕事や予定との兼ね合いで断念せざるを得ない場合がありますが、自宅なら24時間いつでも好きな時に運動ができます。仕事や育児の合間の時間を有効に使える点もメリットと言えるでしょう。
運動の習慣がつきやすい
家の中に運動できる環境が整っていれば、日常生活の中で運動する機会が自然と増えます。たとえば、雨の日でも子どもと一緒に遊びながら体を動かすことができれば、天候に左右されず毎日運動する習慣が身につきやすくなります。運動を日常の一部として取り入れることで、忙しい日常の中でも意識的に体を動かすようになり、心身の健康維持に役立つでしょう。
家族で楽しめる
間取りを考える際に、家族全員で軽めのスポーツを楽しめるスペースをつくっておくととても便利です。トランポリンや縄跳びなどがストレスなくできるよう高めの天井にする、ダンスレッスンがしやすいよう壁一面に鏡を張る、ヨガやストレッチなどができる床仕上げにするなどの工夫を取り入れると、家族で一緒に運動しながらコミュニケーションも深められます。子どもがいるご家庭なら、子どもに運動の楽しさを日々伝えやすい点は大きなメリットでしょう。
運動できる家をつくるポイント
運動できる家をつくるには、単にスペースを空けておけばいいというわけにはいきません。家の中で快適に体を動かせるために押さえておきたいポイントをご紹介します。
運動専用スペースを設ける
リビングや寝室などを広めにして運動器具を置くのも「運動できる家」ではありますが、圧迫感があるだけでなく運動に集中できず結局続かなくなるケースが多いです。したい運動に必要なスペースを専用で設けて、運動に集中できる環境を整えましょう。
快適に運動できる設備を整える
運動スペースの換気が不十分だと、熱がこもって気分が悪くなることがあります。快適に運動できるよう、熱や二酸化炭素を排出して新しい空気を取り入れる換気設備を設置しましょう。また、気分を高めたり集中したりするために音楽を流せるよう、スピーカーなどの音響設備の設置もおすすめです。住宅密集地の場合は防音対策もあわせて検討してみてください。
適度な開放感を出す
好みにもよりますが、四方を壁で囲まれたスペースよりも外が見えるスペースの方が開放感があり、運動による気分転換の効果が高まりやすいと言えます。プライバシー保護に考慮しつつ、窓の大きさや配置を工夫したり、明るめの内装にしたりして適度な開放感を得られる空間にするのがおすすめです。
自然に運動負荷がかかるつくりにする
運動専用のスペースが取りにくい場合は、日常生活の中で自然に運動負荷がかかるような工夫をするとよいでしょう。たとえば、リビングを床から数段下げたダウンフロアリビングにする、リビング内に高さ30cm前後の小上がりスペースを設ける、玄関から門扉までのアプローチをスロープにするといったプランにすることで、移動しながら自然と足腰に軽い負荷がかかり、運動量を増やすことができます。運動が苦手な家族がいる場合におすすめです。
個性的でおしゃれ!運動できる家のおすすめアイデア
「運動できる家って魅力的だけどどうやってつくるの?」という方のために、さまざまなアイデアの一部をご紹介します。
吹き抜けを利用したクライミングウォールはインテリアにも
リビングやダイニングなどの吹き抜け部分は、天井が高いため壁面を利用したクライミングウォールの設置に適しています。体を動かしながら、家族や友人と交流する場としても最適です。ホールド部分の色やデザインは、室内の内装に合わせてコーディネートするとより個性が出せるでしょう。
2階の階段ホールをトレーニングスペースに
1階から上がった場所にある2階の階段ホールは、空きスペースのままになっていることが多いです。このスペースにエアロバイクを置いたり、ストレッチマットを敷いたりすれば、いつでもワークアウトできるトレーニングスペースとして活用できます。
梁を活用して雲梯を設置
化粧梁を見せる設計は近年人気がありますが、その化粧梁の下に雲梯を設置するアイデアは体力づくりに役立ちます。はしごタイプやバータイプなどデザインも豊富ですので、設置場所のインテリアに合わせて選ぶとよいでしょう。
ゆったりヨガを楽しめる畳スペース
ヨガやピラティスなど、ゆったりとした運動を行うスペースとして専用の畳スペースを設けるアイデアもおすすめです。リビングの一角に小上がりスペースを設けて畳仕上げにすれば、運動以外にもワークスペースやお昼寝スペースなどと兼用できます。
強度抜群のコンクリート打ちっ放し空間で複数の運動を満喫
バスケットやダンスなど床への衝撃が大きい運動を楽しみたい場合は、床や壁・天井の強度が高いコンクリート打ちっ放しのスペースを確保するのもひとつの方法です。気兼ねなく思いきり体を動かして練習できるため、好きなスポーツを家の中でも満喫できるでしょう。
まとめ
運動できる家のよさは、家族全員が楽しみながら体を動かせるだけでなく、自然と運動する習慣が身につけられるという点です。自分のペースで気軽に運動できる環境を整えて、健康的なライフスタイルをめざすきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
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住宅設備メーカーや住宅コンサルタント会社、大手ハウスメーカーでの勤務を経て独立。 日常の中に非日常を感じられる空間づくりをコンセプトとし、住宅やオフィス・医療施設・店舗などの設計およびインテリアコーディネートに携わっています。 建築インテリア関連記事の企画執筆や監修業務、研修講師、建築関連資格対策テキスト監修、工務店施工事例集ディレクションなどの実績も多数。
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この記事を書いたひと
rkb_ouchi