やさしい甘さの素朴な味わいが人気の佐賀銘菓・丸ぼうろ。RKBラジオのキャスタードライバー・スナッピーが、佐賀市にある昭和28年創業の本村製菓の工場を訪れ、ふわ甘の秘密を4月21日放送の『Toi toi toi』でリポートしました。(報告・スナッピー川原彩音)
あまい香りでお出迎え
スナッピー号を駐車してドアを開けると…あま~い! すでに甘く、馴染みのある香りが工場敷地内に漂っていました。この日のポカポカ陽気と同じくらいのあたたかな笑顔で出迎えてくれたのは、本村製菓の社長・本村一真さんと副社長の坂口誠さん。
「この人は丸ぼうろのゆるキャラじゃなかですよ」冗談交じりに本村さんを紹介する坂口さんと、それに照れた表情を見せた本村さんとのやりとりを見て「まあるいのは、丸ぼうろだけではなさそう」と内心ワクワク。
本村製菓では1日に約23万枚もの丸ぼうろを製造しています。日本一を誇るこれだけ大量の丸ぼうろは、どのようにして作られているのでしょうか。私たちも帽子に白衣、長靴を着用し消毒を行い、 特別に工場の中に入らせていただきました。
生地作り工程で味が決まる!
丸ぼうろの製造工程は大きく3つに分けられます。まずは生地作り。家庭用の洗濯機ほどの大きさのミキサーで、たまご、砂糖、小麦などの材料を混ぜます。ダマにならないよう、やわらかく、なめらかな食感にするために、軽量には1グラムのズレも許されません。

ただし「水量の調整」に関しては、空調が管理されている工場内でも日々微かな差があるそうで、その日の気温や湿度などによって変えています。丸ぼうろを製造して10年という、製造部長の本田さんが、私たちの取材中も1発で加水に成功! 作業用帽子とマスクをしていても分かるくらいの笑顔で、その自信を感じ取れました。
1人で何役も!職人技光る焼き工程

2つ目の工程は「焼き」。約25メートル、プールほどの長さがあるベルトコンベアに、生地が落とされて焼き上がるまでを一人でチェックしていたのは、勤務3年目という又野さん。常にオーブン内をくまなくチェックしていて、忙しそうに動き回っていました。

オーブンに近づくと熱気がまるで真夏日のよう。1メートルくらいおきに小窓があり、焼き具合を目視で確認できます。 まずは表面がフツフツとしてきます。やがて、全体的に茶色く色づいていきます。

真ん中がふくらんで、私たちが知っている丸ぼうろが出てきました。この段階で、まだ充分に火が通っていないものや、焦げがついてしまった丸ぼうろが取り除かれます。
焼きたての丸ぼうろのお味は?

オーブンから出てきたばかりの焼きたての丸ぼうろを試食してみました。持つとアツアツ、口元に近づけてみると、優しい香りが鼻をくすぐります。表面は、普段食べる丸ぼうろよりもさらさらとした感触。食べるとカリッと音がして、ふわっとした柔らかい食感。それも束の間、たまごの優しい甘みとともに、溶けてなくなってしまいました。できたてならではの体験ですが、実は「この感覚を皆さんにも体験してほしい」と、本村製菓では開発を進めているそうですよ。
意外に難しい!包装の工程
オーブンを過ぎたあとも、丸ぼうろはベルトコンベアに乗せられたまま、流されながら冷ましていきます。そして、そのまま最後の工程「包装」へ。丸ぼうろを約30センチのトレーに手作業で並べていきます。

ここで20年担当している大ベテラン、堤さんの様子を取材すると、1つのトレーに10枚の丸ぼうろを並べるのにかかる時間は6秒。1分間で10袋分の丸ぼうろを詰めているという計算です。
一見たやすく見えますが、スナッピー・前田がチャレンジしてみると…1袋作るのに22秒もかかってしまいました。丸ぼうろを一度に5つ持って、表面を傷つけることなく、階段状のトレーに一つずつ並べるのは思いのほか難しかったです。
実は、この作業は同時に検品も兼ねているとのこと。これを1日黙々と作業すること8時間。食の安全のためにも、集中力は人並み以上に必要とされる工程です。

丸ぼうろの流通の秘密
丸ぼうろは佐賀県内の駅構内や各地のお土産屋さんにあるので、佐賀だけで売られていると思われがちですが、本村製菓では72年前の創業当初から、北海道から沖縄まで全国のスーパーマーケットでも購入ができるように流通させています。まさに「いつでもどこでも気軽に食べられる丸ぼうろ」なのです。
これは佐賀県内に自社工場を持つ会社としては珍しいそうです。「製造工程から販売方法まで詳しく放送して良いんですか?」と取材している私たちも心配になりましたが、「ぜひ伝えてください」とのお答えをいただきました。
シンプルながらも、ふと食べたくなるあの味を作り出すために、日々努力している本村製菓の工場のみなさん。今まで以上に丸ぼうろが好きになった取材でした。
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川原 彩音
スナッピー
出身地:熊本県 誕生日:1月19日 自己紹介お願いします 福岡生まれ、熊本育ち。佐賀で学生時代を過ごし、九州愛はばっちり、川原彩音です! 九州のわんぱく娘となるべく、持ち前の好奇心と行動力でエリアを駆け回ります。美味しいラーメン屋さんの情報お待ちしています!