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ジビエや山菜、川魚…野山の恵みを味わうサステナブルレストラン

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「ここで提供するのは、自分たちの手が届く範囲で手に入れた食材で作る、原始的な食事です」。そう話してくれたのは、今年5月、平尾にオープンした「山岳食堂」のオーナーシェフ・二宮英樹さんです。数年前まで、同じ場所でイタリアンレストラン「MONDO」を営んでいた二宮さん。2019年には店を譲り、宗像市で「いろどり野菜ビュッフェ NINO」を開業しましたが、この春、次のステップのために平尾へと戻ってきました。

「山岳食堂」の店内、カウンター席 「山岳食堂」の食材

店内はカウンター4席、テーブル8席。オープン後も宣伝はすることなく、「昔馴染みのお客さまにお伝えしただけ」とのことで、知る人ぞ知るお店となっています。

「山岳食堂」で提供される食材は、野草や山菜、川魚、シカやイノシシなどの野山の恵み。「自分たちで手に入れられるものを」と話す二宮さんや狩猟グループの仲間たちが、自ら手に入れた食材ばかりです。メニューは8,800円のコースのみで、料理や食材もその日ごとに変わります。

「山岳食堂」の料理

まずいただいたのは、「イノシシのトースト」。植物由来の食材で作るお手製のヴィーガンパンに、ヴィーガンマヨネーズ、イノシシのハムを乗せた一品です。イノシシのハムは、今の二宮さんに大きな影響を与えたジビエ料理屋「べんけい」(岡垣町)のオーナーで、ハンターの永山律雄さんらと共に立ち上げた、ハム工房で作ったもの。脂身が少なく固い部位や端肉などを使ったというハムは、スパイスが利いてしっかりした味わいです。

「山岳食堂」の料理

「シカの肉団子」は、イタリアの家庭料理・ポルペッテがベース。荒くミンチにしたシカ肉と家庭菜園で取れたナスを焼いて合わせ、トマトで煮込んでいます。焼きナスの風味豊かな香りと、しっかりした旨味を感じる肉団子は食べ応えあり!肉の旨味が溶け出したトマトソースの優しい酸味が、食欲をさらに掻き立てます。

「山岳食堂」のジビエ料理

次は、「シカ肉のグリル」です。「ソースもいいけれど、田舎のごはんならこれ。ごはんに乗せても美味しいんですよ」と添えてくれたのは、山菜と野草を焼きなすで和えたもの。

「山岳食堂」の料理

ジビエ料理はいろいろと口にしてきたものの、初めての組み合わせに期待しながらいただくと、じゅわ~とみずみずしい焼きなすに、ほんのり残る山菜や野草の苦味と程よい食感が、シカ肉とベストマッチ。炭火でじっくりと焼いたロース肉は、きめ細かで歯切れ良く、上品な旨味が楽しめます。

ジビエというと秋から冬に旬を迎えるイメージですが、「九州のシカは夏場が旬」と二宮さん。春から夏にかけて、青々と育った柔らかな草木を食べたシカの肉はジューシーで、赤身特有のしっかりとした旨味があるのが特徴なのだそうです。

「山岳食堂」の料理

料理の締め括りは、「シカ肉のカレー」。スパイシーなパキスタンカレーで、一口味わうごとに体がポカポカと温まっていくのがわかります。シカ肉のほか、日によってイノシシやアナグマのジビエで作ったカレーが提供されるのだとか。またカレーのほか、昆布やシイタケで出汁を取ったヴィーガンラーメンも選べます。どちらも食べたいという欲張りな方には、「小さなポーションでカレーとラーメンをそれぞれお出しします」とのことだったので、ぜひ相談してみてください。

「自分の手で獲ったものだからこそ、これまで以上に食材を大事に扱うようになった」と話してくれた二宮さん。食材一つひとつのエピソードをうかがいながら、丁寧に仕込みシンプルに調理された野山の恵みをいただく時間は、にぎやかな福岡の街にいながら、自然とのつながりを感じることができるひとときでした。

店舗名:山岳食堂
ジャンル:肉料理
住所:福岡市中央区平尾3-22-3平丘ビル2F
電話番号:090-7454-1487 (完全予約制)
営業時間:18:00~22:00
定休日:月~水曜
席数:カウンター4席、テーブル8席
個室:なし
メニュー:コース8,800円、アルコール飲み放題2,500円
URL:https://www.instagram.com/sang_syokudou/

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この記事を書いたひと

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