人々に癒しや安らぎを与えてくれる「竹」。日本人は昔から丈夫でしなやかさを持つ竹の性質を利用して建築物や家具等、生活に役立つ様々な道具を作ってきた。宮崎県西都市にある「梅里竹芸」は、西都産の粘りがあって丈夫な真竹を使ってイスやベッド等の家具を製造している。
製品作りのこだわりは竹が持つ力を最大限に生かすこと。
しなやかさや固さ、そして肌ざわりを生かすため製品作りは全て手作業。何度も確認しながら人間の背骨のカーブや本来の自然な姿勢を考えながら一つ一つ組み立てを行っている。
竹家具作りを始めたのは会長の江藤啓治さん(75)。元々は食品会社を経営していたが出張で訪れた台湾や東南アジアで竹を使った家具に触れるうちに魅力を実感。竹の力で健康につながる家具を作ろうと起業した。
現在は長男の竹虎社長(42)が後を継いでいる。「成長が早く自然環境への負荷が少ない竹を活用することで環境問題解決にもつながるし、家具の他いろんなもので竹が活用できないか考えています」と語る江藤社長。なんと竹を使って茶室も製作。外装材や内装材としても竹の活用を始めた。
竹の産地、西都の会社が竹で人々を元気にしようと奮闘する日々を追う。
<取材先データ>
会社名:有限会社梅里竹芸
担当者:江藤竹虎社長
住所:宮崎県西都市大字荒武816
電話:0983-44-5600
HP:http://www.umezato.com/
取材後記
今まで見たことありそうでなかった竹製の家具。手触りが良く、座り心地も抜群。硬過ぎず柔らか過ぎず、竹の感触は残ったまま。どこか懐かしい気持ちになります。
「竹は木に比べて成長が早くてたくさん取れる」これが竹で家具を作り始めた理由。確かに3年ほどで伐採できるし量も豊富。納得です。伐採の現場を拝見しましたが急勾配や足場が悪いところも多く命がけの作業。そんな中、伐採時期には1ヵ月で6000本ほど切るというから驚きです。
取った竹は油抜きをして約3年乾燥。この期間に強度が増して加工に耐えうる材料になるんだそうです。組み立てでは竹を伸ばしたり、切ったり、曲げたりと工程の多さや高度な技術にビックリ。しかもすべて手作業。熟練の職人が仕上げた家具はとてもきれいで輝いています。展示会などで家具を目にするお客さんはみんな笑顔になります。
その理由はやっぱり竹の持つ力です。弾力のある感触やしなやかさ、抗菌性や調湿性などなど。竹の皮でおにぎりを包む理由を今回、初めて知りました。
私たちの身近にありいろんな力を持つ竹。改めてその魅力を感じながら多くの人が使うことで放置竹林の削減という環境問題解決につながればと思いました。宮崎発の竹家具に今後も注目していきます。
(MRT宮崎放送/日高良敬)
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