カフェ好き・喫茶店好きにとって、京都は行きたいお店が尽きない魅力的な場所。そんな京都から福岡に2号店をオープンした喫茶店を訪れました。
赤坂の路地にさりげなく佇む「i(アイ)」は、京都市の錦市場近くにある「喫茶 百景」の2号店として2022年にオープン。以前、本サイトで紹介した「ブーランジェリー・ル・バムタン」の隣に位置しています。
間口は小さめですが思いがけず奥行きがあり、ゆったりとした印象の店内。以前は材木所の倉庫だったという場所がその頃の面影を残しながら現代的な空間に生まれ変わっています。
店主・髙田翔平さんは京都市中心部の出身。全国的に知られるいくつもの名喫茶が日常のそばにあり、学生の頃から喫茶店で時間を過ごすことも多かったそうです。大学卒業後、会社員を経て四条河原町エリアにある「エレファント ファクトリー コーヒー」で約4年間働き、2019年に「喫茶 百景」を開店。繁盛店となって2店舗目を考えた時によく旅行に訪れていた福岡を新たな地として選び、「i」がオープンしました。
白を基調にしたクリーンな空間にモードさやストリートっぽさをプラスしたという内装がスタイリッシュ。家具やライト、アート作品など空間を構成するもの一つ一つが洗練されていて気になるものばかりです。照明を落とした奥の席は喫茶店を思わせる雰囲気で、落ち着いた時間を過ごせそう。また8名程度まで利用できる半個室のようなテーブル席もあります。暗くなってからのムードもよさそうですね。
店内の写真はすべて写真家・荘司晃正さんが撮ったもので、入口の作品は季節に合わせた風景のものが掛けられています。また、自由に読める本や雑誌には髙田さんの趣味が反映されているのはもちろん訪れる人から譲り受けたものも多いそう。美術やデザイン、建築などの本が並ぶことからも、この場所がクリエイティブな人々に愛されていることを感じます。
現代のカフェらしい趣ながらあくまでも“喫茶店”というニュアンスはコーヒーを飲んでみると感じ取れるはずです。コーヒー豆はすべて京都市の「自家焙煎珈琲ガロ」のもので、福岡で同店のコーヒーを楽しめるのはここだけ。浅煎りコーヒーをメインに据えるカフェやコーヒーショップが多い近年の傾向とは異なり、焙煎度は古くからの喫茶店でよく飲まれる中~深煎りが選ばれています。
オープン当初は京都の「喫茶 百景」と同じ3種類のブレンドが提供されていましたが、現在は「i」オリジナルブレンドのほかに、7種類前後のシングルコーヒーが用意されています。「中心部から少し離れた場所柄か、京都のお店に比べてお客さまの年齢層が幅広く、特に落ち着いた大人の方が多い印象です。コーヒーをもっと深く楽しみたいという声も多いので京都の店ではできていなかったメニュー構成をここでは実現できています」と髙田さん。
ブラジルを中心とした中深煎りの「ブレンド」(750円)は、しっかりとしたコクとコーヒーらしい香ばしさや苦みを感じる一杯。私自身、最近は浅煎りのコーヒーを飲むことが多かったのですが、深めのコーヒーの魅力を改めて感じるおいしさでした。添えられた黒棒もうれしいですね。
コーヒーに合うスイーツは、写真の「チョコレートケーキ」(600円)のほか、チーズケーキ、プリンなどがラインナップしています。「チョコレートケーキ」はミルキーなチョコレートがまるでキャラメルのように濃厚。深煎りコーヒーに合わせるのがおすすめです。
季節替わりのスイーツもあり、いまは九州産のクリームチーズや生クリームを使用した「バスクチーズケーキ」(600円)を楽しむことができます。軽めの食感で甘さ控えめのバスクチーズケーキは、コーヒーはもちろん紅茶などのドリンクにも好相性。肥料や農薬を最小限しか使わずに栽培する「糸島れもん」が手がけるシロップを使った「ホットレモンジンジャー」(700円)などのドリンクと合わせるのもおすすめです。
昼から深夜までさまざまなシチュエーションに応えてくれそうな「i」。一人でゆっくり本を読みたい時や、飲んだ後に話し足りない時などに足を運んでみてはいかがでしょうか。
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