西鉄平尾駅から徒歩すぐの場所にある、通称「平尾村」。緑に抱かれた小さな区画の古民家に、飲食店が集まる注目のスポットです。ここに2025年8月、「ワイン×小皿 maru」がオープンしました。知る人ぞ知る路地裏の隠れ家に期待が高まります。
店内は白を基調にしたシンプルな造りで、カウンター5席をメインに、テーブルが1組用意されたこぢんまりとした空間です。
カウンターで迎えてくれたのは、割烹着を着てひとりで切り盛りする店主・戸高幸子さん。「気軽に集まれる場所で、家庭の味を楽しんでほしくて」と話す、やわらかな笑顔にほっとします。戸高さんは、中村調理製菓専門学校や料理教室での助手を経て、フレンチ「Raisin d’Or」やイタリアン「aga-ri」などの名店で修業。さらに「酒と蕎麦 まき野」などで和の現場に立つといった、多彩な経験の持ち主です。
こちらでは小料理屋のようなあたたかさの中、戸高さんの気の利いた小皿料理とワイン、日本酒を味わえます。
まず注文したいのが「前菜の盛り合わせ」(1人前1,500円)。キャラウェイが香るコリンキーのマリネ、長崎・九十九島産カキのコンフィ、大分・佐伯のカボスヒラメのカルパッチョ、シャインマスカットとドラゴンフルーツの生ハムサラダ、「aga-ri」のパテドカンパーニュ……色とりどりの前菜が盛り付けられた華やかな一皿はため息ものです。とくに好みだったのが、トマトの和風マリネ(写真中央)。さっぱりとした土佐酢に漬けたトマトは、ほんのり梅の風味が広がりスッととけてしまうような繊細な口当たりでした。
桂川町「ノガミファーム」から仕入れた無農薬のハーブや花をあしらった、日替わりの7~8種の料理を楽しめる盛り合わせです。
次にお願いした、「鴨と茎わさび」(880円)は、治部煮をイメージした一品。「本来は鴨のそぎ切りをしゃぶしゃぶのように煮る料理なのですが、それだと固くなってしまうので」と、戸高さんはあえてブロック肉のまま鴨肉を焼くことで、しっとり柔らかく仕上げています。
赤身の美しさが際立つ鴨に添えるのは茎わさびです。ダシを入れたビンに茎ワサビを加え、シャカシャカと強く振って辛みを引き出すという工夫もユニーク。爽やかな辛さとシャクシャクとした小気味いい食感もたまりません。
サイズ感が嬉しい「ミニグラタン」(550円)もぜひものです。「ブルーチーズのトッピング(+100円)もできますよ」の声に誘われてお願いしたところ、これが大当たり。なめらかなベシャメルソースにブルーチーズの濃厚な塩みと香りが加わり、ワインとの相性がグッと深まります。ゴロッと入ったエビに満足感もたっぷりです。
ほかにも、アジフライに小鍋の水炊き、グリーンカレーなど気になるメニューがいっぱい。お酒に合いつつも、素材本来の味を大切に、食感や香りでアクセントをつけた優しい味わいの料理が揃います。
ワイン(写真左)は、フランス産を中心にクラシックでしっかりしたものをセレクト。希少な銘柄が揃う「石井商店」からも仕入れているそう。さらに日本酒(写真右)も常時5~6種あり、ワインボトルのようなおしゃれな日本酒も。福岡・田川の天郷醸造所「在る寒夜」、佐賀の基山商店「Velvet」、京都の白杉酒造によるリゾット米でつくる「ムルシエラゴ」など、どれも気になるラインナップでした。
戸高さんとの心ほどける会話と小皿料理、お酒を楽しむのはまさに癒しの時間。誰かと一緒でもひとりでも心地良さに包まれる、平尾村の小さな隠れ家です。
ジャンル:ワインダイニング・ワインバー、日本酒
住所:福岡市中央区平尾2-14-18
電話番号:070-6597-8410
営業時間:18:00~24:00
定休日:不定
席数:カウンター5席、テーブル4席
個室:なし
メニュー:前菜の盛り合わせ1,500円、鴨と茎わさび880円、ミニグラタン550円、鮮魚のカルパッチョ 1,200円、ミラノ風カツレツ 1,500円、カマンベールチーズの茶碗蒸し660円、春菊と柿のサラダ660円、ズワイ蟹とイクラの土鍋ご飯2,300円
URL:https://www.instagram.com/maru_hirao/
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