美しい海が広がる国境の島、長崎県の対馬。豊かな漁場で今、漁獲量が減少し、藻場が枯れる「磯焼け」が深刻な問題となっている。その一因とされるのが、海藻を食べ尽くすイスズミやアイゴなどの「食害魚」。藻場の減少により、海の生態系にも影響を及ぼす問題だ。
厄介者として扱われ、強い臭みから多くが廃棄されてきた食害魚に、可能性を見いだした女性がいる。対馬で水産物の加工・販売などを行う丸徳水産の専務、犬束ゆかりさん(60)だ。漁業をこのまま衰退させたくない…その思いで、食害魚を使った商品開発に挑んだ。
下処理から調理法まで試作を重ね、臭みを抑える技術を確立。2019年、「そう介のメンチカツ」として商品化。全国規模のコンテストでグランプリを受賞した。食害魚に価値が生まれたことで、対馬では新たな流通が整い、漁業者の意識も変わり始めている。
さらに丸徳水産では、漁師が観光客に海を案内する体験ツアーやゲストハウスの運営も始め、海と人との縁を結ぶ取り組みを広げている。嫌われ魚が対馬の海を救い、漁業を元気にする!犬束さんの情熱と挑戦を追った。
【取材先情報】
会社:有限会社 丸徳水産
担当者:犬束ゆかり(専務)
問合せ先:
・水産加工部・養殖部
長崎県対馬市美津島町久須保668
0920-54-3002
(受付時間09:00~17:00 ※月曜日定休)
・肴や えん(食事処)
長崎県対馬市美津島町鷄知乙332-1
0920-54-5081
(受付時間11:00~21:00 ※月曜日定休)
HP:https://marutoku-suisan.com/
オンラインショップ:https://shop.marutoku-suisan.com/
Instagram:
・丸徳水産 https://www.instagram.com/tsushima.marutoku/
・水産加工部 https://www.instagram.com/sakana.marutoku/
・GYOSON INN (宿泊) https://www.instagram.com/gyoson_inn/
取材後記
国境の島・対馬には、新鮮でおいしい魚介類がいっぱい!そんな島で、磯臭いと嫌われ、市場にも出回らず駆除されてきた「食害魚」。丸徳水産はあえてその魚に目を向け、丁寧な下処理を施しておいしい加工品へと生まれ変わらせました。簡単にできる取り組みではありません。
周囲の理解を得て協力し合える体制が整うまでには、きっと数えきれないほどの苦労があったはずです。その挑戦を続けてきた丸徳水産の実行力と情熱に、心を動かされました。さらに丸徳水産は、海の現状を知ってもらう体験ツアー「海遊記」や、藻場ランドのための山の整備など、水産会社の枠を超えた活動にも取り組んでいます。
新たに始めたのが、宿泊施設の運営!空き家や漁協の建物を改装し、海を一望できる素敵なゲストハウスをオープンしました。対馬の美しい自然や資源を未来へつなぐために、新しい試みを次々と形にしている姿が印象的です。
「そう介のメンチカツ」は、おいしく食べながら磯焼け対策に貢献できる画期的な商品。食害魚もまた貴重な水産資源であることに改めて気付かせてくれます。他にも食害魚を使った総菜がいろいろとあり、オンラインショップから購入できるものもあります。おいしく味わいながら、一緒に未来の海を守っていきましょう。
(NBC長崎放送 /井手 春菜)
この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう























