ブリティッシュパブにアイリッシュパブ……お酒やスポーツ観戦を楽しむいわゆる大衆酒場としてのパブは福岡にも数多くあります。ですが福岡にはガストロパブはほぼなく、さらにブリティッシュスタイルのガストロパブとしては唯一のお店かもしれません。
それが今回ご紹介の舞鶴にある「エールズ」です。ガストロパブとは読んで字の如く、ガストロノミー(美食)とパブを組み合わせたお店で、その発祥は本場イギリス。イギリスでは、パイントビールとともにイギリスの伝統料理も楽しめるガストロパブたくさん存在しているのです。
「エールズ」の起源は、2005年に平尾に誕生した「ブリティッシュパブ・セイ」です。オーナーの坂平正芳さんはもともと飲食業界で働いていましたが、あるときからイギリスのウイスキーに魅了され、たびたび渡英してはウイスキーの醸造所をめぐり、ほどなく独立して「セイ」を開いたと話します。その後も幾度も渡英する中で「ガストロ・パブもおもしろいな」と思うようになり、2011年に姉妹店「エールズ」を開業しました。
渡英のたびにイギリス愛が募ったという坂平さん。店内を本場・ブリティッシュパブのように設えたのはもちろん、調度品やオブジェなどもイギリスで買い集めてきたそうです。また、イギリスのガストロパブでは、たとえば1階がパブ、2階がレストランというようにスペースが分かれているのも特徴的なのですが、「エールズ」も入って手前が食事、奥(写真)がパブスペースというように軽く分けてあります。
さらにオープン当初から全国でも珍しいハンドパンプを設置し、九州ではいち早くペールエール、ポーターといったリアルエールを提供しています。
香りや味を損なわないよう濾過や加熱などは一切行わないリアルエールをハンドポンプで抽出。その際、炭酸ガスを使わずに樽から引き抜くため、ビール本来の味が楽しめます。
ウイスキーはスコッチを中心に、伝統的製法を続ける「Springbank」のモルトウイスキーほか熟成ウイスキーなどマニア垂涎のウイスキーも数多く揃います。
そしてここからがガストロパブの真骨頂ともいえる料理をご紹介していきましょう。黒板メニューには「シェパーズパイ」「フィッシュ アンド チップス」「ローストビーフ」など、ザ・ブリティッシュな伝統料理が並びます。中にはレアな一品「ステーキ アンド キドニーパイ」もラインナップ。
ブリティッシュパブ好きを公言している私としては、片っ端に攻めたいところですがそうもいきません。悩み抜いた中、1品目に選んだのは「自家製コンビーフ バゲット添え」(1,034円)です。坂平さんに教えていただき初めて知ったのですが、コンビーフの始まりはイギリス海軍が保存食として作ったものなんだそう。「エールズ」では和牛を素材にしたコンビーフを無添加で丁寧に作り上げています。当たり前ですが私が記憶する昭和時代の缶詰コンビーフとはまったく違い、なめらかな舌触りと、和牛の豊かな甘みとコクが感じられるリッチな一品です。
「おいしすぎる!」と声に出して感動を伝えると、このコンビーフは福岡市の「うまかもんアワード2023」の加工品部門で第1位を受賞したのだと教えてくれました。店頭でもお持ち帰り用1パック(真空冷凍100g・1944円)で販売され、福岡市のふるさと納税返礼品にもなっているそうです。また昨年の2025年には、エールズが監修したレトルト商品「無添加博多和牛コンビーフ」(上写真)を開発し、こちらは楽天市場、Amazon、Yahooショッピングで購入できます。
2品目はパブの食事ではマストでしょう、「フィッシュ アンド チップス」(2,079円)です。本場同様ディルソースなのがさすがだし、ベイクドビーンズが添えられているのも嬉しすぎるし、ビネガーをじゃぶじゃぶかけて食べられるのも最高です!
ビールを混ぜた衣がカリッっと、魚はフワッと仕上がったフィッシュは完璧。でももっと感動したのはチップスの仕上がりと、自家製ベイクドビーンズのおいしさでした。そう、細かいところにこそ、そのこだわりを感じられるのです。
最後は大好物の「シェパーズパイ」(1,628円)です。実は私、これまでも「エールズ」で何度かこのパイを食べているのですが、久々に食べ改めて感服。シルキーな食感のマッシュポテトはもちろん、肉屋に特注しているというラムミンチによるほどよいラムの香りと味を堪能できました。
この日は王道で攻めましたが、冬場にはジビエ肉を使ったパイなどの季節メニューもあります。また、少人数でもいろいろと楽しめるコースもあります(注文は2名~、1名5,500円~)。さらに土曜日はランチ営業もやっていて、昼限定で出している「英国ローストビーフサンド」(1,397円)も見逃せません。
「セイ」を始めたころから坂平さんは、「福岡でブリティッシュパブ文化を広めたい」との思いをもって、店造りを行い、ビールもウイスキーも伝統料理も本場さながらに提供を続けてきました。そしていま「できるだけ長く、本物を伝え続けられるように」と料理はすべてレシピ化するなど次世代にも継承できるよう準備をしているとも話します。福岡のパブ愛好家のみならずグルマンたちを唸らせるお店の一つとして、ますます期待が高まりました。
ジャンル:その他レストラン、ビアバー
住所:福岡市中央区舞鶴1-3-14
電話番号:092-722-0666
営業時間:16:00~OS21:30(ドリンクOS22:30)、土曜12:00~OS14:30/15:30~OS20:30(ドリンクOS21:00)、祝日16:00~OS20:30(ドリンクOS21:00)
定休日:日曜
席数:テーブル36席、テラス8席
個室:なし
メニュー:ポーク生ジャーキー880円、自家製コンビーフ バゲット添え1,034円、チップスS 660円・M 880円、フィッシュ アンド チップス2,079円、ローストビーフ ヨークシャープディング添え4,378円、ステーキ アンド キドニーパイ1,958円、シェパーズパイ1,628円、スコーン 無添加自家製ジャム添え2個748円、コース5,500円・11,000円
URL:https://www.instagram.com/gastropubales/
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