2025年10月にオープンした「Bistro JIJI」は、大阪や東京、福岡と各地で研鑽を積んだ谷本哲史シェフと、奥様の采花さんが二人三脚で切り盛りする小さなビストロ。可愛らしい店内から女性客が多い印象を受けますが、実際にはカウンターでひとり静かに食事を楽しむ男性客も多いという意外な一面があるとか。今回はランチタイムに訪れ、その実力に触れてきました。
今回いただいた3500円のランチコースは熱々のスープからスタート。「自家製ソーセージと冬野菜のスープ」は野菜と自家製ソーセージの旨みがひとつになった滋味深い味わい。冷たい空気を吸い込んだ身体に染み渡ります。一緒にサーブされるパンは国産オーガニック小麦を使ったベーカリー「Trente Trois」のもので、噛むほどに素材の香りとほんのりとした甘みが広がります。
次に登場したのが「本日の前菜盛り合わせ」。「自家製ベーコンと淡路島甘玉ネギ、グリュイエールチーズのキッシュ」「ハガツオの炙り 焼き茄子のタルタル」「テリーヌ2種」です。キッシュは玉ねぎの自然の甘さが引き立ち、白ワインとも相性抜群。魚はバジルとハーブのソースに加え、色鮮やかなパプリカソースも敷かれ、素材の美味しさをソースでしっかりと引き出すフランス料理らしいテクニックが光ります。
テリーヌは糸島豚を使った「パテドカンパーニュ」と、豚のほほ肉・豚耳・豚舌・豚足を使った「フロマージュドテッド」。「パテドカンパーニュ」は谷本シェフがフランス料理を目指すきっかけとなった思い入れのある料理だけに美味しさはひと際。素朴さの中に肉と脂の旨み、スパイスの香りが重なりあった力強い美味しさにワインが進みます。また、初めていただいた「フロマージュドテッド」も各部位の食感が楽しく、ハーブと玉ねぎのソースともいいマリアージュでした。
メイン料理は全6種から選択可能。今回は「本日入荷のお魚のポワレ」をセレクトしましたが、そのほかにも「スペイン産イベリコ豚のロースト 香草風味」や「ナヴァラン・ダニョー(仔羊と季節野菜の煮込み クスクス添え)」、「牛ホホ肉の赤ワイン煮込み」(+300円)、「牛リブロースのグリエ マデラソース」(+600円)、「ジビエ 蝦夷鹿のロースト 黒胡椒風味」(+800円)と食欲をそそる品々が並び、このラインナップからも、シェフがシンプルで正統派のフランス料理を愛してやまないことが自然と伝わってきます。
本日の魚は「金目鯛」。皮目がパリッと焼かれ、アオサを使ったクリームソースも潮の香りを醸します。一緒に行った友人は「スペイン産イベリコ豚のロースト 香草風味」をセレクト。こちらも火入れ加減が抜群でした。
デセールも7種類からチョイス可能。今回は2名で訪問したので「テリーヌショコラとピスタチオのブリュレ」と「リンゴのタルト」をオーダーしました。濃厚なテリーヌショコラはコーヒー(250円でオーダー可)との組み合わせが最高でした。一方、「リンゴのタルト」には青リンゴのソルベとシャインマスカットを添えて。メイン料理の余韻が残る口の中を、爽やかな酸味とみずみずしさで心地よくリセットしてくれました。
ホテルや街場のレストランなど、さまざまな現場で経験を重ねてきた谷本シェフ。自身の店を構えるにあたり掲げたのは、「フランスの伝統的な郷土料理を丁寧に伝えていくこと」でした。「素朴でありながら骨太の料理を味わってほしいですね。うちはカウンターで、ひとりワインと料理を軽く楽しむ男性のお客さまも多いんですよ」と谷本シェフ。
ランチはコースのみ(要1ドリンクオーダー)ですが、ディナータイムにはコースに加えてアラカルトも充実。ワインとその日の気分で一皿を選ぶ、肩肘張らない使い方も可能です。ワインはフランス産を中心に、グラスで常時10種ほどをラインナップしています。
まずはリーズナブルなランチで、店の味に触れてみてはいかがでしょう。プリフィックススタイルなので、友人同士で異なる料理を選び、シェアする楽しみもあります。この店を訪れたら、きっと帰る際に「今日はフランス料理を食べた~!」という満足感に包まれることでしょう。
この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう














