PageTopButton

豚骨ラーメン店の“じゃない方”、醤油ラーメン人気が急増中

UMAGA

皆さん、啜っていますか?
私、ラーメンライター上村がお送りする連載「福岡ラーメン愛が止まらない」。今回は、博多区奈良屋町の細路地に佇む「ICHIYU RAMEN&GYOZA」(イチユウ ラーメン&ギョーザ)を紹介します。2021年にオープンし、今年2026年が創業5周年。節目の年を迎えたこの実力店について僕が最も興味深く思っているのは、メニューにまつわる“ある変化”が昨今起こっているという点です。それは5年前にも取材で訪れた僕自身、そして店主でさえも当初予想だにしていなかったことでした。注目するべき福岡麺NEWSとしてピックアップします。

ICHIYU外観

二番手の醤油人気が爆上がりした嬉しい驚き

濃厚クリーミーでくさみのない豚骨スープ。「ICHIYUといえば豚骨ラーメン」だと僕自身ずっと思ってきました。しかしながら、熱心な麺友たちから最近聞こえてくるのがこの声。
ーーー「ICHIYUの醤油ラーメンがうますぎる」。

ICHIYU醤油ラーメン+煮玉子

前提として言っておきますと、同店のメインは創業時から変わらず現在も豚骨ラーメンであり、それも素晴らしい味わいであることは間違いありません。けれど、二番手メニューであった醤油ラーメン(上写真、煮玉子入り1,050円)の人気がいつの間にやら豚骨に迫ってきて、出数も肩を並べる、やもすると醤油の方が多くなってきているというのです。

「嬉しい驚きですね」。
そう話すのは、店主の中村美樹雄さん(下写真)。昭和46年佐賀県鳥栖市出身。食べ歩きだけでなく、自宅で豚頭を炊いてラーメンを創作するほど、もともと自他共に認めるラヲタでした。僕自身、趣味でラーメン作りをしている方に出くわすこともよくありますが、自室で鶏ガラでなく豚骨、しかも豚頭を炊いたことのある人はなかなかいません。そのことからも“筋金入り”だったことが分かります。中村さんはその後、思いを募らせていたラーメン店経営の道を実現するべく39歳の時に脱サラし、8年間に渡り福岡の名豚骨店「らーめん二男坊」で腕を磨きました。

ICHIYU中村店主

「1種類のラーメンに特化して極めるのが良しという考えもありますが、僕は性格上、常に新味にチャレンジをしてラーメンのもつ無限の可能性、おもしろみを伝えたいんです。何より僕自身のモチベーション、原動力になりますから。振り返ると子供の頃から細かい手仕事が好き、サラリーマン時代もモノ作りの現場にいたので、ラーメンにおいても、あーでもない、こーでもないといろいろ試すのが好きなんでしょうね」。
中村さんは師匠である「二男坊」梅本二郎さんに学んだ“濃厚で、まろやかで、くさくない”豚骨ラーメンを軸に据えながら、お客様に何度も足を運んでもらえるよう第2、第3のラーメン作りに没頭しました。醤油ラーメンもその飽くなき探究心から生まれたものです。「僕は、どのラーメンにおいても特別な食材は使わずあくまで“日常的な一杯”がモットー。醤油ラーメンは完全独学で作ったので、評価されると本当に嬉しいんですよ」と中村さん。

豚骨スープとは別炊きする醤油ラーメンの寸胴を見させてもらうと、鶏ガラ、豚骨、魚介節、椎茸、野菜などがあふれんばかりに詰まっています。

ICHIYU醤油ラーメンの寸胴

「豚骨ラーメンはしっかりと乳化させた白湯、一方醤油ラーメンは透明感も残した清湯で、たぎらせないよう火加減を微調整しながらグツグツと旨味を抽出します。鶏ガラから染み出た上澄みの鶏油(チーユ)を丁寧に取り、仕上げ油として用いることでピュアな鶏の香りとまろやかな味わいが引き立つんです」と教えてくれました。

中村さんの各ラーメンに対するこだわりは、使い分けている麺を見ても分かります。
豚骨、醤油、味噌、汁なしなど全てで異なり、なんと全5種類。
個店でここまで細分化して使っているところは僕が知る限り他にありません。

「正直、なかなか気づかないぐらいの微妙な違いもありますが、僕的にスープやタレとの相性でベストオブベストだと思う麺を細かく選ばせていただいています。ワガママに付き合ってくれている『製麺屋 慶史』には本当に感謝していますね」。

ICHIYU麺5種

豚骨ラーメン(下写真、煮玉子入り950円)と合わせ醤油ラーメン、その他の創作麺の人気もうなぎのぼりの「ICHIYU RAMEN&GYOZA」。久しぶりに店主の中村さんと話してみると、ジャンルにとらわれることなくただただ自分の美味を追求し「ラーメンの楽しさ」を提案しているだけなのだと改めて感じました。当然どのラーメンが注目されようと彼にとってはシアワセなことなのです。
ただ一点困るのは僕自身、「ICHIYUを初めて訪れた時は何ラーメンを食べるべき?」という質問がきたときでしょうか。うーん、全部うまいから何からいっても問題なし!!(笑)。

そうそう。ラーメンと合わせて屋号に掲げているギョーザ。これも絶品なのでちょい飲みラーメン酒場としても使ってみてください。

ICHIYU豚骨ラーメン

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう

この記事を書いたひと

UMAGA

homePagefacebookyoutubexinstagram

魅力的な福岡の食文化をもっと楽しんでいただくためのバイブルとして、厳選した信頼性のある情報を毎日更新中。