大分県といえば「日本一のおんせん県」。別府や由布院をはじめとした温泉郷が有名ですが――もちろんそれだけではありません。
大分県はおいしい食材の宝庫。豊後水道と周防灘に面した海の恵み、くじゅう連山や耶馬溪に広がる山の幸に恵まれ、四季折々の“味力(みりょく)”あふれる食材やお酒、食文化が育まれている土地です。
そして「“大分食材の味力”をもっと伝えたい」とはじまったのが「OITA TERROIR」プロジェクト。UMAGAでは、先月2月11日に「GohGan」で開催されたディナーイベント「OITA TERROIR GohGan × fanfare」のレポートを軸に、大分県産食材やその産地、お酒の魅力を全3回に渡ってお届けします。
大分食材の味力を、有名シェフが発信!
記念すべき第1回目のイベントは、イノベーティブ・アジアンフレンチを掲げる福岡・住吉の「GohGan」と、福岡・大名の人気イタリアン「Ristorante fanfare」がタッグを組み開催されました。
まずは「OITA TERROIR」の協力人であるシェフたちをご紹介しましょう。
“大分食材の味力”発掘のため最初に立ち上がったのは、九州内の食材を見出し、世界へその魅力を発信している「Goh」のオーナーシェフ・福山剛さん(写真左)。現在は料理人との連携や若手シェフの育成にも力を入れています。今回のイベントでは、福山シェフの右腕として活躍する「GohGan」のシェフ・安藤崇明さん(左から2番目)が、その手腕を振るいました。
もう一人の主役は「Ristorante fanfare」のオーナーシェフで大分県出身の梶原圭司さん(写真中央)。大分県産のジビエやしいたけをはじめとした九州食材を多彩に使い、土地と食文化を大切にするイタリアの気風をライブ感たっぷりに表現する名手です。
さらには、大分県で活躍する名シェフ2人も参画し、イベントをサポートします。
1人目は由布院にある、南仏の風を感じるレストラン「La Verveine(ラ・ヴェルヴェンヌ)」のオーナーシェフ・渡辺 亨さん(写真左)。渡辺シェフは臼杵市出身で、西中洲時代の「maison de la nature Goh」や南仏の星付き店で研鑽し、帰国後は由布院「亀の井別荘」で日本料理を学んだ経験も。
2人目は、由布院のオーベルジュ「ENOWA」のエグゼクティブシェフで、チベット自治区出身のタシ・ジャムツォさん(写真右)。タシシェフは世界的に有名なN.Y.の農場併設レストラン「ブルーヒル・アット・ストーンバーンズ」の副料理長を務めた経歴を持ち、自身も由布院に農場を立ち上げ「Farm to Table」の食体験を国内外から訪れるゲストに届けています。
「OITA TERROIR」プロジェクトは、4人のシェフが大分県内の産地をめぐる食材探しの旅から始まりました。佐伯市の〈かぼすヒラメ〉や〈若武者ハマチ〉、豊後大野市の原木乾しいたけ〈うまみだけ〉、豊後高田市の銘柄牛〈豊後・米仕上牛〉などなど。生産者と対話を重ね、現地で出合った大分県産食材の魅力を一皿一皿に表現します。
“大分の味力”に出合える
一夜限りのディナーイベントへ潜入!
食材探しの様子や食材と料理の詳しいご紹介は第3回目の記事まで取っておくことにして……、今回の記事ではイベントの様子をダイジェストでお届けしたいと思います。
最初に提供されたのは、とりどりのおいしさを楽しめるひと口サイズのアミューズです。「GohGan」安藤シェフがチョイスした大分県産食材は、〈かぼすヒラメ〉〈美人鰤〉〈米の恵み(豚)〉。「fanfare」梶原シェフが選んだのは、〈玖珠米〉〈井上酒造の酒粕〉〈関さば〉でした。
香ばしい生地の中には〈米の恵み(豚)〉やその豚足で作ったミンチが!
こちらは安藤シェフによる一皿で、右端に見えるのが「〈米の恵み(豚)〉のアメリカンドッグ」です。大分県産の米を食べ、豊かな自然のなかで育った〈米の恵み(豚)〉は、一般的な豚肉と比較してオレイン酸が豊富だそう。脂肪融点が低く舌触りもなめらかで、噛んだ瞬間に広がる旨味や甘味がヤミツキになります。
苔玉やスギ玉のように見えるアミューズは、梶原シェフ作。黒キャベツのパウダーをまぶした球体は、大分・天領日田の老舗蔵元〈井上酒造の酒粕〉をオリーブオイルと共に練ったクリームでできています。まろやかでコクのある味わいが舌の上に広がり、カリッと香ばしい〈玖珠米〉のチップとも相性抜群。ついついお酒が欲しくなります。
飲むほどハマる“おおいたん酒”も揃い踏み
嬉しいことに、今イベントのドリンクはフリーフロー制となっていました。日本酒、麦焼酎、梅酒、ワイン、ソフトドリンクもすべて“オール大分”で、各蔵自慢の特色ある銘柄が勢揃い!
「安心院葡萄酒工房(宇佐市)」のワイン、「小松酒造場(宇佐市)」・「浜嶋酒造(豊後大野市)」・「大地酒造(佐伯市)」の日本酒、「常徳屋酒造場(宇佐市)」・「南酒造(国東市)」の麦焼酎、「中野酒造(杵築市)」・「久家本店(臼杵市)」の梅酒など、大分のお酒が大集合しました。
福山シェフや「GohGan」スタッフの細やかなサーブで、会場は一層和やかな雰囲気に。料理とのマリアージュやおすすめの飲み方にも発見があり、“おおいたん酒”のおいしさやポテンシャルの高さに驚くばかりです。提供されたお酒の味わいや魅力については、第2回目の記事で詳しくご紹介する予定なのでどうぞお楽しみに。
創意と感性で魅せる「fanfare」
大分出身・梶原シェフの一皿
ゲストがアミューズとお酒を楽しんでいる一方で、厨房のシェフとスタッフもエキサイト! アミューズの後には、大分県産の白ねぎと大分県のブランド地鶏〈おおいた冠地どり〉のレバーを使った一品や、〈若武者ハマチ〉にタシシェフの農園「ENOWA Farm」で採れた有機栽培の根菜を合わせた一皿もお目見え。いずれも素材の持ち味が存分に生かされていました。
〈うまみだけ〉は大分県で生まれた乾しいたけのブランドで、ギュッと凝縮された濃厚な旨味や香りが特徴
コース中盤には「ボットンチーニ うまみだけ115」と題された、〈うまみだけ〉をふんだんに使った梶原シェフによる一品が登場。傘の部分はペーストやピュレに、軸の部分はデュクセル(※)にし、仕上げには低温ローストした〈うまみだけ〉を削って振りかけてありました。これが口の中で一気に弾けて旨味と香りが大爆発!〈うまみだけ〉のパワーに圧倒されるおいしさです。
※デュクセル=みじん切りをソテーしたもの
さらには、大分県産のフグの身をパンチェッタで巻いてしっとり焼き上げた、梶原シェフによる魚料理も登場。こちらは、客席で乾燥させたフグのヒレと出汁を合わせたスープをかけて出来上がりです。
サッと加熱して香りと甘味を引き出した大分・日出町(ひじまち)産の潮トマト〈トマ王〉や、香味野菜と共に煮込んでトリッパ仕立てにしたフグの皮も名脇役。大分県産フグの肉厚でプリップリな身と上品な旨味を余すことなく堪能できました。
確かな技が光る
「GohGan」安藤シェフの一品
続く肉料理は、安藤シェフの担当です。的確に火入れされた〈豊後・米仕上牛〉のサーロインは表面が香ばしく、中心は美しいロゼ色。交雑牛ならではのサラリと溶けていく脂の甘味と、きめ細やかな肉質がたまりません。
加えて、肉に負けない存在感を放つのが大分県産の〈エノキ茸〉。なかでも、日田市大山町はエノキ茸の栽培において30年以上の歴史を誇ります。安藤シェフは〈豊後・米仕上牛〉に合わせて、エノキ茸を2種類の調理法で表現。一つは150度のオーブンできつね色に焼き上げ、サクッと香ばしく味が濃いエノキチップスに。もう一つは昆布締めにして炭火で焼き上げてあり、滑らかな舌触りとシャッキとした力強い食感、奥深い旨味を楽しめました。
「この料理は、エノキにもフォーカスしたいと考えた一皿です。家庭では身近な存在なのに、レストランではあまり使ったことがなかったのですが、今回色々と試すことができて、嬉しい発見がたくさんありました」と安藤シェフも笑顔で話します。
100度で6時間かけて石焼き芋にした〈甘太くん〉の、濃密な甘味がとろける一品
肉料理の後は、国東市で収穫・搾油されている希少な初物の〈国東オリーブオイル〉をかけた日田市大山町産の〈大山クレソン〉のジェラートでお口直しを。やがて、大分県が誇る高糖度かんしょ〈甘太くん〉尽くしのモンブランが提供されてコースは終幕しました。
もっと知りたい・食べたい、大分食材!
今回は一夜限りのディナーイベントでしたが、「Goh」や「fanfare」でも普段から大分県産食材は使われていますし、春休みやGWに大分旅行を計画するのも良いですよね。私は「La Verveine」と「ENOWA」をはじめとしたレストランを巡る大分サステナブル・ガストロノミーツアーに出かけた~い!
来年2027年には、渡辺シェフとタシシェフが競演する「OITA TERROIR」の食イベント第2弾を大分県にて開催予定で、こちらも続報が待ち遠しいです。
次回は“おおいたん酒の味力”に迫る記事をお届けしますので、どうぞお楽しみに。
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