春吉の人気店「田無羅」が、2026年1月13日にリニューアルオープンした。
店内はカウンター8席のみの落ち着いた空間で、以前からの高級感はそのままに、より洗練された印象になっている。
店主の田村嘉彦さんは18歳でアメリカへ渡り、ワシントン州シアトルの学校を卒業するなどして約10年間滞在した。しかし永住権が取得できず帰国。その後は、ご両親が1967年に東区箱崎で創業した「焼肉たむら」を手伝うことになる。
父親からは肉のさばき方など肉の扱い方を学び、さらに父親の交友関係を通じて多くの料理人と交流。和食の料理人からは出汁の取り方や魚のさばき方を教わるなど、さまざまな料理の技術を吸収していった。また食べ歩きも盛んで、気に入った料理があれば通い詰めて店主と親しくなり、その作り方を聞き出していたという。
父親の引退をきっかけに、2001年に「韓国料理 田無羅」として春吉に移転オープン。今回、場所は以前と同じだが、自社ビル3階建ての2階へ移動し、店名も「田無羅」として新たにスタートした。
メニューは13~14品で構成される「お任せコース」(33,000円)のみ。
主に使用されるのは九州産の黒毛和牛。今回のリニューアルを機に、鳥取県で肥育される黒毛和牛のブランド牛「万葉牛」も扱うようになった。純血但馬牛の血統を受け継ぐ万葉牛は、口どけの良い脂ときめ細かな肉質が特徴。田村さんと生産者とのつながりが強いことも、上質な肉を安定して提供できる理由のようだ。
コースは牛テールスープから始まり、ハツ刺し、牛テール塩焼き、牛タン、ユッケの押し鮨などが続く。
中でも鹿児島産黒毛和牛を使った「牛テール塩焼き」は、箱崎時代から続くスペシャリテで、50年以上の歴史を持つ一品。箸で簡単にほぐれるほど柔らかく、繊維のほどけ具合と食感が印象的だ。塩加減も絶妙で、最後は手で持ってかぶりつくのがおすすめ。レモン入りのフィンガーボウルが用意されているので、気兼ねなく楽しめる。
長崎産天然真鯛の刺身「トミフェムッチム」は、コチュジャンベースのタレで和えた韓国風の味付け。韓国語で“トミ”は鯛、“フェ”は刺身、“ムッチム”は手で混ぜるという意味で、韓国では魚を野菜と一緒に食べる文化があるという。ピリ辛の味付けが食欲を刺激する一皿だ。
焼き立ての「牛タン塩焼き」は野菜と一緒に。熊本産黒毛和牛のタンは柔らかく、唐辛子を使った少し酸味のある自家製ドレッシングがよく合う。
鹿児島産黒毛和牛の「ハラミ」は美しいサシが入り、三つ葉入りのカツオ出汁にたっぷりつけていただく。これは明石焼きをイメージした食べ方で、肉の旨味と出汁の香りのバランスを楽しめる。
純血但馬牛血統の万葉牛「リブロース」は西洋わさびとともに。脂の甘みが引き締まり、さっぱりとした後味になる。
カウンター横のワインセラーには約300本のワインが並び、好みを伝えると料理に合わせて提案してくれる。今回は南アフリカのワインを合わせてもらった。サンソーはタンニンが穏やかで、ほのかなスパイスを感じる軽やかな赤ワイン。和牛の甘い脂に寄り添いながら、肉の旨味を立体的に引き立ててくれる。
ここでは肉はすべて店主やスタッフが焼いてくれるため、常に最良の状態で味わえるのも魅力。部位や調理法、組み合わせによって変化をつけたコース構成で、最後まで飽きさせない。
独学で身につけた韓国料理や中国料理の要素を巧みに取り入れた、田村さんのセンスが光るコースを堪能できる一軒だ。
カウンター越しに田村さんとの会話を楽しみながら、万葉牛の魅力をじっくり味わうことができる。
完全予約制のため、予約は一休.comか食べログから取るのがスムーズだ。
この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう













