福岡は元々揚げ物の専門店が少ない街と言われていて、串揚げ、串かつ、天ぷらの専門店をあまりみかけませんでした。しかし、その後東京や大阪の専門店で修業した方々の独立開業などもあり、だいぶ増えてきたように思います。一方で「だるま」「ひらお」「たかお」のような天ぷら“定食”の専門店は、むしろ福岡ならではないでしょうか。そんななか、コースを中心に提供していた「天ぷら nasubi」がこのほど天ぷら定食をメインにした業態に変えたというので出かけてみました。
「nasubi」は2021年コロナ禍のなか南区の大楠にオープンし、昼は定食、夜は天ぷらをつまみに酒を飲むというスタイルで地域に定着した感がありましたが(もちろんコロナ禍は十分には営業できませんでした)、2024年、たまたまいい空き物件との出会いがあり悩んだあげく春吉に移転しました。春吉と言っても、だいぶ南側で、私が勝手に奥春吉と呼んでるエリア。この通りにはラーメンの「博多だるま」、もつ鍋の「かわ乃」、イタリアンの「COME」、ステーキの「AKAMIYA COWSI」、焼鳥の「もち乃き」「村崎焼鳥研究所」、水炊きの「鳥千代」といった人気店がズラリと並んでおりグルメストリートといった様相です。
「天一」などでの修業経験もある店主・柿本博史さんにとって、店内が見渡せて、お客それぞれの表情が見える環境で天ぷらを提供するというのは念願だったスタイルでもあったそう。
また、8年ほど「博多天ぷら たかお」でも経験を積んだ柿本さんは、「大衆的であること」にも強い思いを持っていて、食材にこだわり高い技術で揚げながらも気軽に家族などでも食べに来ることができる定食業態にスイッチすることを決めたと言います。
今回の業態変更により、大楠時代のように昼の営業もスタートしたのでまずはお昼に出かけてみました。
店内は台形のようなカウンターのみで、オーダーはQRコード読み込みで行います。
この日オーダーしたのはメニューの一番最初に書いてある「天ぷら定食」(1,900円)。1点ずつ提供される揚げたての天ぷらは海老1尾、魚介2種、鶏むね肉、野菜3種の計7品。それに選び抜いた米を炊いたごはん、味噌汁、そして修業先だった「たかお」の経営元である「ひろしょう」の辛子明太子がついてくるのが嬉しいですね。
天ぷらの食材は、朝倉や糸島などの力強い野菜、選び抜いた旬の魚介など、その品質はぬかりがありません。また、定食ということでごはんと一緒に短時間で食べることから、重くなりすぎないようキャノラー油を使って軽い仕上がりを心がけてると言います。
そして柿本さんがなにより大切にしているのは素材を生かす「揚げ」。せっかく選び抜いた食材もこれをおろそかにしてしまってはおいしい天ぷらにはなりません。衣のつけ方、揚げる時間などに気を配り、食材の香り、味わい、食感を損なわないよう仕上げています。
天ぷら定食の店ではありますが、メニューをみていて気になっていた天丼を食べるため別の日の夜に再訪しました。注文したのはもちろん「nasubi天丼」(2,700円)。こちらは定食より値は張りますが、海老が2尾に対馬の穴子、味つけ玉子の天ぷら、野菜が3種という豪華版です。もちろん、「もっと食べたい」という人は追加もでき、特に出汁で炊いた大根を揚げてカラスミを上からかけた「からすみ大根」(写真右・600円)や大分の椎茸を使った「椎茸海老詰め」(写真左・600円)や骨付きの「国産鶏手羽先」(400円)などはオリジナリティもあって必食。
家族で行った時などは、親はアラカルトで頼んだ天ぷらとお酒、子供は定食といった使い方もウェルカムとのことです。
このエリアはホテルや民泊が数多くあり海外も含めて旅行客がかなり多いところです。天ぷら定食の店は旅行者が行列を作っているところも多々ありますので、今後、この地で極上の天ぷら定食が食べられるということが広まれば、ここも行列ができるようになるかもしれませんね。
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