引っ越し時に不動産屋に勧められるがままに電気・ガスの契約をしてしまうと失敗するケースもあります。電力・ガスが自由化されて以降、様々な業者やプランを選択することが可能ですが、だからこそ言われるがままでなく自分で理解して選ぶことが大切です。
今回は引っ越し時の電気・ガス契約の失敗パターン、確認点、立ち回り方などについて、自由化後の電力・ガス事情も交えた上で解説していきます。
不動産屋に勧められるまま契約した結果…
引っ越し時には、電気とガスの契約を新たに行うことになります。それに乗じて、仲介をする不動産屋が特定の業者やプランを勧めてくることがありますが、勧められるがままに契約してしまうと失敗やトラブルを招くことがあります。
以下によくある失敗の例を紹介します。
・「電気代の安い電力会社ですよ」と勧められて契約したが、一人暮らしではさほど安くなかった。むしろ割高になった。
・電気代自体は安かったが、解約時に高額な解約違約金を取られた。
・「解約違約金はかかりません。」と勧められ、解約違約金は取られなかったが、別途解約手数料という形で請求された。
・あまり名前を聞かない電力会社と契約した結果、すぐに倒産してしまい、また電力会社を選び直す羽目になった。
など
もちろん良い提案をしてくれる不動産屋もありますが、全てがそうではありません。中にはわかっていて割の悪い業者やプランを勧めてくる悪徳不動産屋もあります。電力・ガスが自由化され(詳細は後述)、自分の好きな業者を選べる時代なので、不動産屋の言われるがままでなく自分で理解し選ぶことも大切なのです。
電力とガスの自由化。そもそも「小売電気事業者」って何?
「小売電気事業者」とは、電気の小売事業を営む事業者のことを指します。わかりやすくいえば「消費者に電気を売る会社」となります。大手の小売電気事業者には『東京電力』『関西電力』『九州電力』などがあります。また2016年の電力自由化後には『Looopでんき』『CDエナジー』『楽天でんき』『auでんき』など、‟新電力”と呼ばれる価格が安めな新たな小売電気事業者も多数参入しました。
電力は2016年に自由化
電力は2016年(平成28年)4月1日に自由化が行われました。それ以前は住む地域で契約できる電力会社が決まっており(主に大手電力会社)、料金も法律に定められた金額で一定化されていました。
しかし2016年の電力自由化後は、ほとんどの地域で好きな電力会社を自由に選べるようになり、料金についても自由化されたことで、競争化が進んでいきました。
ガスは2017年に自由化
ガスは電気に1年遅れる形で2017年4月に自由化が行われました。ガスについても自由化後はガス会社を自由に選べるようになり(都市ガスの場合)、新規参入する事業者も増えました。
損している!?割高になりやすい電気・ガス契約の典型パターン
電力・ガス自由化後は、安い料金プランを用意する業者が増えました。しかし選び方を間違えると逆にこれまでより割高になってしまうことがあります。以降では典型的な失敗パターンを紹介しますのでご参考ください。
人数や使用量に合った契約をしていない
一人暮らしであれば、電気使用量は少なめなので、基本料金の安いプランや使った分だけ支払うシンプルなプランがおすすめです。反面、一人暮らしの人がファミリー向けのプランや、使用量が多い方向けのプランを選んでしまうと割高になることがあります。
一人暮らし向けのプランが充実している電力会社もあれば、家族向けプランが充実している電力会社もありますので、利用人数に焦点をあて業者を選んでみることも大切です。
ライフスタイルにあった契約をしていない
「リモートワークで昼間家にいることが多いのに、深夜電力プランを契約し割高になった」「夜しか家にいないのに昼間(デイタイム)向けのプランを契約して割高になった」など、ライフスタイルや電力使用のタイミングと合っていないプランを選択すると割高になることがあります。
市場連動型プランで契約して打撃を受けた
電力会社の中には「市場連動型プラン」を用意している業者もあります。市場連動型プランとは、30分ごとに変動する電力市場価格に連動して電気料金が決まるプランです。電力市場価格が落ち着いているときは割安になることがありますが、社会情勢の変動などにより電力市場価格が急騰すれば、電気料金が数倍に膨れ上がってしまうこともあるため、リスクも考慮した上でよく検討して選ぶ必要があります。
独自サービスの恩恵を逃している
電気代の支払い時に楽天ポイントが貯まる『楽天でんき』、ガソリンの割引を受けられる『idemitsuでんき』など、独自でユニークなサービスを用意している電力会社が増えています(特に新電力系の電力会社)。損というわけではありませんが、こうしたプラスαの恩恵に焦点を当て電力会社を決めてみるのも一つの方法です。
電気・ガス契約時に必ず確認すべき4つの項目
注意しなければならないのは、電力・ガスが自由化されたからといって、必ずしも好きな業者やプランを選べるとは限らないことです。引っ越し先の物件の事情を確認しないまま、好き勝手に契約をしてしまうと後々トラブルとなることもあります。
特に以下4項目については、電気・ガスを契約する前に必ず確認すべき点となりますので、忘れずにチェックしておきましょう。

業者の指定があるか
「電力・ガス会社はこの業者と契約してもらう」と大家(管理会社)が指定してくることがあります。あまり知られていない電力・ガス会社と契約すると退去時などにトラブル等が起きやすいこともあり、安心できる業者と契約して欲しいというのが大家の本音なのです。こうした大家側が特定の業者を指定しているのにも関わらず、入居者が自分の好きな業者を無理矢理選んでしまうとトラブルの元となります。面倒を起こさないためにも、事前に「業者の指定はあるか」の確認を大家にしておくと確実です。
契約者は誰か(個別契約できるか)
賃貸物件の中には、入居者ではなく大家(管理会社)が電力会社と契約し、電気を管理しているケースがあります。水道光熱費込みの物件はこのケースに該当します。こうしたケースでは、入居者が自分の好きな電力会社を選ぶことは通常できません。ガスの場合も同様です。
一方、入居者が直接個別で電力会社と契約するタイプの物件であれば、入居者が自由に電力会社を選ぶことができます。
物件の受電方式は何か
「高圧一括受電」とは、一般家庭の低圧受電とは異なり、マンションやアパート単位で電力会社と高圧契約を結び、安い単価で電力をまとめ買いし住民に分け与える契約方式です。大規模マンションやタワーマンション等が高圧一括受電であることが多く、見分け方としてマンションの敷地内に変圧器や管理室があれば、高圧一括受電の可能性が高くなります。
高圧一括受電の場合も契約者は大家(管理会社)となりますので、入居者が自分の好きな電力会社を選ぶことは通常できません。
ガスは都市ガスかプロパンガスか
「都市ガス」は東京や主要都市などの都市部に配備されたガスです。地方にいくと「プロパンガス」のみで都市ガスは利用できない物件が多くなります。都市ガスは2017年のガス自由化以降、好きなガス会社を自由に選べるようになりました(ただし建物仕様などの制限はあり)。一方、プロパンガスはガス自由化後も物件ごとに供給事業者が固定されており、入居者が自由にガス会社を選べないのが一般的です。
そのため、ガス会社を選びたい場合は、その物件で都市ガスが利用できるかを確認しておきたいところです。
引っ越し時におすすめの立ち回り方
引っ越し時には、不動産屋や大家と電気やガス契約について話し合い交渉することになります。その際にどのような立ち回りをするのがベストなのでしょう。ポイントを解説していきます。
まずは電力会社の候補を選んでおく
契約の前に、まずは下調べをして「どのような電力会社があるか」「どのプランが自分に合っているか」などを比較検討し、ある程度候補を選んでおくことが大切です。情報がないまま交渉すると、勧められるがままに決めてしまう結果になりかねません。
即決はしない
たとえ不動産屋や大家が勧めてくる電力会社やガス会社が優良な業者であったとしても、自分のライフスタイルに合わないプラン契約となると割高になってしまうケースもあります。そのためどんなに良いことを言われても即決はせず、一度メリット・デメリットをよく整理した上で決めたほうが賢明です。
駄目な場合でも交渉をしてみる
前述したように、大家が特定の電力会社を指定してくるケースがあります。しかしこうした場合も絶対それに従わないといけないという訳ではなく、交渉次第で自分の好きな電力会社へ変更できるケースもあります。例えば「知人から何度も頼まれており、出来れば変えたいのですが」のように、やんわりと相談を試みてみるのもよいでしょう。ただし関係を悪化させないためにも、あまりに強引な交渉は避けましょう。
トラブルになった場合は相談窓口へ
引っ越し時の電気・ガス契約においてトラブルは付きものです。契約内容に問題があったり、自分では判断できない状況に追い込まれた場合には、以下の相談窓口に連絡し相談することも可能です。
【経済産業省電力・ガス取引監視等委員会 相談窓口】
電話番号:03-3501-5725
詳細URL:相談窓口(電力・ガス取引監視等委員会)
【消費者ホットライン】
局番なし188(いやや!)
※最寄りの市区町村や都道府県の消費生活センター等を案内する全国共通の3桁の電話番号です。
引っ越し時の電気・ガスの契約について解説しました。入居時に不動産屋が特定の業者やプランを勧めてくることもありますが、即決してしまうのはおすすめしません。電力・ガスの自由化後、様々な業者が参入し選べるプランも増えていますので、ご自身のライフスタイルなども踏まえ、よく比較検討した上で選んでいきましょう。
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