円安にウクライナ情勢と、このところ値上げラッシュが様々な業界に広がっています。なかでも深刻な事態となっているのが畜産農家です。エサ代が高騰する中、品質と経営をどのように保っていくのか、経営者は頭を悩ませています。
福岡県築上町にある養鶏場です。現在、約2万羽の鶏を飼育しています。小売店などと取引する傍ら、鶏舎の近くでも採れたての卵や新鮮な鶏肉を販売しています。県外からも買い物客が訪れる人気店ですが、3代目の徳永社長は、創業以来、最大の危機に直面していると話します。
城井ふる里村 徳永隆康社長「この50年間の中で、異常な高騰ですね」
高騰しているのは、鶏のエサ代です。農林水産省によると、家畜のエサとなる飼料価格は現在、1トンあたり8万3000円、この2年で約1万6000円高くなっています。徳永さんの養鶏場は1日に2.3トン、約16万円のエサ代がかかります。1か月分でみると、この2年で約150万円も値上がりしています。
RKB黒木秀弥「こちらの養鶏場では、とうもろこしを主体とした18種類の原材料を混ぜ合わせて、鶏のエサを作っているということです」
エサ代が高騰している原因は、トウモロコシなど穀物需給のひっ迫です。その大半はアメリカなどから輸入されていますが、ウクライナ情勢による原油の高騰、円安、中国における需要の高まりなどで値上がり続いています。
城井ふる里村 徳永隆康社長「ロシアとウクライナが世界で2~3位の穀物の輸出国なんですよ。まだ、高止まりやないですか、まだまだ上がるらしいんです」
エサ代だけではありません。配送コストや人件費、卵パックの包装資材なども値上がりしているため、スーパーなど卸売業者を通すものは赤字となっています。背に腹は代えられないと、徳永さんは直営店で扱う卵や肉の価格を軒並み値上げしました。
城井ふる里村 徳永隆康社長「だいたい10%から15%上げさせていただいた。これだけ穀物が上がると厳しいですね」
今の状況が続けば、今後、更なる値上げを考えなくてはなりません。
買い物客「いろんなところ値上がりしていますし、苦しいですね」「一回の買い物では、そんなに響かないでしょうけど、数を重ねれば、まあまあの額になるでしょうし、でも仕方がないですよね、受け入れざるを得ない」
徳永さんは福岡県養鶏協会の会長を務めていますが、飼料の高騰を受け、最近は養鶏場の経営を諦めるという人も増えてきているといいます。徳永さん自身も「品質」と「経営」を両立させるため、苦悩が続いています。
城井ふる里村 徳永隆康社長「悪いエサを使うと、味が卵に移行するから、値段が上がっても良いエサをやって、お客さんに喜ばれる卵を生産したいというのが自分の考え方。あとは消費者が買ってくれるかどうか、難しいところです」
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