福岡市長選挙の投票日まで20日で1か月となりました。市長選には、これまでに現職と新人2人が立候補を表明しています。市が抱える課題について考えます。今回のテーマは「街づくり」です。
「天神ビッグバン」で変わる福岡中心部
RKB原口佳歩「福岡市が推し進めてきた都市再開発プロジェクト・天神ビッグバン。この数年間で天神の街並みは大きく変わりました」
新たな都市空間と雇用を生み出そうと、2015年に始まった「天神ビッグバン」。天神交差点から半径約500メートルのエリアで、建物の高さや大きさなどの規制を緩和しビルの建て替えを促す制度です。
去年9月に認定第1号となる19階建てのオフィスビル「天神ビジネスセンター」が完成。さらに、12月には旧大名小学校跡地に九州初進出となる「ザ・リッツ・カールトンホテル」も入る地上25階建ての「福岡大名ガーデンシティ」が完成する予定です。
街の人「スピードがすごい早いですね」「進化していってる」
懸念は「オフィスの空室率」
再開発に期待が高まる一方で、懸念されているのがオフィスの「空室率」です。オフィス仲介大手の三鬼商事によりますと、天神地区のオフィスの空室率は先月時点で5.42%。借り手市場になる基準とされる「5%」を、今年3月から7か月連続で上回り続けています。オフィス仲介を手がける別の企業は、供給が過剰となっているため今後、賃料の見直しが進むとみています。
三幸エステート福岡支店 中村竜治支店長「競争にかかるオフィスビルが増えて、賃料の調整局面に入ってくるのではないか。今後の対策としては、福岡の立地的優位性を生かした外資系企業の誘致だとか、本社機能移転誘致に官民一体となって取り組んでいく必要がある」
ウォーターフロント地区の活用も課題
RKB原口佳歩「今後の活用方法が課題となっているもう一つの地区は、海の玄関口であるウォーターフロント地区です」
好調だったインバウンドを背景に福岡市が打ち出したのが、中央ふ頭、博多ふ頭があるウォーターフロント地区の再開発です。
市は岸壁の延伸工事を完了させ、超大型クルーズ船を2隻同時に受け入れられるターミナルや、国際会議などを開くMICE施設・大型ホールを新設する予定でした。しかし、新型コロナの感染拡大によりクルーズ船の寄港は停止。投資に見合う集客が見込めなくなり、市は既存の施設を活用するという方針転換を余儀なくされました。
海外クルーズ船の再開めど立たず
九州経済調査協会 渡辺隼矢研究員「アジアの各都市に負けないようなMICEの魅力づくり、国際船の誘致だったりハイクラスホテルの誘致だったり、住民、福岡で生活している人にとって、どれだけ親和性のあるウォーターフロント空間をつくれるかというところは、これからもう一つ課題になってくるかなと思います」
福岡市は、国内のクルーズ船に限り来月から受け入れを再開しますが、海外のクルーズ船については再開のめどは立っていません。コロナ禍前の博多港は、クルーズ船の寄港回数が4年連続で日本一となるなど、多くの外国人観光客で賑わっていただけに、今後の再開発の行方が注目されます。
今回の市長選には3人が立候補を表明
市長選には、4期目を目指す現職の高島宗一郎氏と立憲民主党が推薦する新人の元福岡市議・田中慎介氏、新人の会社員・熊丸英治氏も出馬を表明しています。現時点では高島氏と田中氏による事実上の与野党一騎打ちの構図になると見られています。
2人は、福岡市の「街づくり」についてこのように話しています。
高島宗一郎氏「特区を取ったりビッグバンを始めたり、いろんなチャレンジをして経済がすごく元気といわれるようになった。これまで進めてきた天神ビッグバン、スタートアップ、しっかり取り組んでまいります」
田中慎介氏「都市部でいえば観光客。外から来る人たちのため、ビジネスマンだけのためではなく、広く市民に愛される都心づくりを考えています」
福岡市長選挙は、来月6日に告示、20日に投票と開票が行われます。
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