福岡の肉マニアを唸らせる、孤高の新星が東区馬出に現れました。今年3月オープンの「焼肉ホルモン人生 大ちゃん」は一見小さな大衆店。ですが、早くも地元の有名料理人や東京のVIP・著名人が足を運んでいる、どこか“只者じゃない”感じの焼肉屋です。
地下鉄馬出九大病院駅から約300m。九大病院のほぼ隣に「大ちゃん」はあります。父親が営むコインランドリーの一部を改装したという店舗は、懐かしさすら覚える昔ながらの佇まい。が、“能ある鷹”って大抵こんな所に隠れているものですよね。
店内はカウンター、テーブル、小上がりの16席で、予想どおり気取らぬ雰囲気。ではこの店の何が遠来の客をも魅了するのでしょう。それは、ここが福岡初の「但馬牛専門の焼肉店」であること。そして、但馬牛を扱う東京の人気店「神戸焼肉かんてき本店」の店長を務めた大山大鐘さんの存在。東京から訪れる客は、その人柄や技に惚れた「かんてき」時代のファンなのです。
さすが専門店を名乗るだけあり、頭上のボードには但馬牛の部位がズラリ。但馬牛は兵庫県の誇る傑出したブランド牛ですが、福岡では食す機会が少ないので実に楽しみです。すると大山さんが「ボードにない希少部位はまだまだありますよ」と声をかけてきました。
そのにこやかな笑顔以上に目を引くのが、これまた“只者じゃない”逞しい体格。聞くと20代はK-1選手を目指した格闘家で、引退後は福岡の「大東園」や「かんてき」に舞台を移してファイトし続けてきた肉の職人です。
「かんてき」で働いた経験から「焼肉こそ我が人生!」と悟った大山さんは、次のステージを目指し「大ちゃん」を開業。ここまで但馬牛を豊富に扱えるのは、今も親交の深い「かんてき」社長のおかげだそうです。仕入れる部位には、なんと関東でも幻の逸品「太田牛」も含まれるとか!
さて、最初の注文は定番の「大ちゃん盛り合わせ」(1人前3,300円、写真は2人前)。「お勧め3種盛り(右からミスジ、シンシン、ヒレ)」+「ホルモンMIX(アゴタン付き)」の組み合わせで、「但馬牛」という悦楽の扉を開いてくれます。
ちなみにホルモン系が苦手なら、「ホルモンMIX」を3~5種盛りの赤身に変えてもらえます(写真は2人前の一部)。左端のシャトーブリアンのように、超ラッキーな希少部位が入ることもあるんだとか。
早速自慢の肉を頬張ると、聞きしに勝るうまさが口一杯に溢れます。豊かな旨味と甘味には濃厚なタレを必要としない“肉の力”があり、脂の上品な軽さにもびっくり。九州産黒毛和牛より脂の融点が低いせいか、口溶けが良く体にも自然に馴染むような……。「かんてき」譲りの揉みダレの味も完璧でした。
「ここで肉を食べると翌日体調が良い、とよく言われますね」と大山さん。事実、但馬牛は他の和牛よりオレイン酸などの必須アミノ酸が多く、健康が気になる人には嬉しいポイントです。
表面をサッと炙った「但馬牛炙りユッケ」(1,100円)や、「黄金のレバ焼き」(1,078円)も無類の余韻をもたらす必食メニュー。とりわけユッケのモッチリした弾力は、美味を超えて官能的ですらありました。
「僕がこの仕事をする一番の目的は、お客様に感動してもらうこと」。それを実現すべく、大山さんは肉の状態や部位に合わせた隠し包丁を1枚1枚入れるなど、素材に愛とこだわりを込めているそうです。
より高みを目指すため、できる仕事はすべてやる。その哲学は大山さんが大好きな寿司屋にも通じるものがあります。「常連さんの好みを深く理解し、それに合わせた肉をサッと出せる。そんな店づくりが理想ですね」。但馬牛のうまさはもちろん、この真摯な“求道者”の姿勢が料理人や食通に刺さるのかもしれません。
こんな魅力ある店だけに、これは遠からず予約困難店になる予感。「誰かに教えたい、でも教えたくない!」そんな悩ましい店がまた一軒増えました(笑)。なお前日までの予約で昼の訪問も可能(ハッピーアワー付き)。ゆっくり楽しむなら狙いめですよ。
※2022年9月より価格・メニュー変更の予定あり
《焼肉ホルモン人生 大ちゃん》
福岡市東区馬出2-4-3
092-710-6629
ジャンル:焼肉・ホルモン焼き
住所:福岡市東区馬出2-4-3
電話番号:092-710-6629
営業時間:17:30~OS21:30 ※前日までの予約で11:30から対応可
定休日:水曜
席数:カウンター4席、テーブル8席、小上がり4席
個室:なし
メニュー:大ちゃん盛り合わせ3,300円、但馬牛炙りユッケ1,100円、黄金のレバ焼き1,078円、極厚タン1,800円、ホルモン各748円、但馬牛かめのこ1,738円
※2022年9月よりメニュー改訂予定あり
URL:https://www.instagram.com/ooyamadaisyou/
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