人形小路にある古いビルの階段を下りていくとそのバーはある。少し重い扉を開けると目の前に見通しの良い空間が広がった。
「古川さん、お久しぶりです。前回はコロナの前だから約2年半ぶりですかね? 相変わらず頭も綺麗にされてますね」
「はい、5枚刃のT字カミソリで毎日手入れしてますから」
古川さんはそう言って、自分の頭をさわりながらニコっと微笑んだ。
「バー アベンバーグ」のバーテンダー古川俊廣さんとは約18年の付き合いになる。中洲の某クラブが本格的なバーを併設オープンした時に、バーテンダーとして働いていたのが古川さんだった。
「おっ、ツルっとした同じ頭の人がいる」
と思ったので、よく覚えている。
古川さんは36年前に、西麻布にある伝説のバー「ウォッカトニック」の立ち上げに関わった人で、今年で63歳になる。若々しいので、とても63歳には見えない。
古川さんのウォッカトニックのレシピは24歳の時に考えたもので、その時から39年もの間、ウォッカトニックを作り続け、これまでに作った杯数はなんと50万杯を超えるらしい!
こんなウォッカトニックのスペシャリストが中洲にいるなんて福岡は素晴らしいと思う。だからここに来ると1杯目は必ずウォッカトニックを頼んでしまうんよ。
美味いウォッカトニックを作る秘訣は、まずは材料を全て冷やすことらしい。ライムの搾り方も皮から渋みがでるのを避けるために、実だけを絞ったり、グラスの状態を見ながらステアしたりと、いろいろ細かいところに気をつけることがポイントだ。そうすると最初から最後まで同じ味で楽しむことができるのだ。
古川さんにお願いして、ステアをやらせてもらったが、簡単そうに見えて、めちゃくちゃ難しい。
この店にはモルトウイスキーが約300本、ワインは約60本ほどのストックがある。
ウォッカトニックを飲んだ後は、古川さんオススメのモルトウイスキーを飲むのがいつもの流れだ。
古川さんはウイスキーについても造詣が深いので、いろいろ話を聞きながら飲むウイスキーは最高に美味いよ。
ここは料理も美味いと評判で、パスタやホットサンドが人気らしい。
今回は人気の「ナポリタン」(1,200円)にしてみた。熱々の鉄板で提供されるナポリタンは、やはりテッパン(笑)メニューやね。チーズの下には卵が隠れているので、途中で混ぜて味変もできる。酸味がない懐かしいタイプで、量は少なそうに見えるが、意外とボリュームがあるので満足できるよ。
これらのフードメニューを目当てに、ひとりで来店する女性客も多いそうだ。
今は、裏メニューの豚汁に力をいれており、11月からは定食のようなメニューも登場するらしい。以前は肉豆腐やドライカレーなどもやっていたようなので、頼んだらなんでも作ってくれそうだ。
次に来るときは豚汁定食を頼んでみよう。
《Bar Abhainn Bheag/バー・アベンバーグ》
福岡市博多区中洲4-1-26中洲人形町ビルB1F
092-282-0600
営業時間:19:00~翌3:00
デビ高橋
福岡グルメや福岡ランチを紹介しているブログ「デビログ」を運営。「お肉博士1級」の資格も持ち、グルメ関連のキュレーター・講師・審査員を務めたり、福岡のテレビ・ラジオで活躍中。著書は「15年間毎日外食して、1万軒を食べ歩いた『デビログ』が見つけた福岡グルメの答え全100店」(KADOKAWA)。インスタID:devi_takahashi
ジャンル:バー
住所:福岡市博多区中洲4-1-26中洲人形町ビルB1F
電話番号:092-282-0600
営業時間:19:00~翌3:00
定休日:日祝日
席数:カウンター10席、テーブル10席
個室:6名
メニュー:チャージ1,000円、ウォッカトニック1,000円、ドリンク1,000円~、シングルモルト1,200円~
個室利用料5,000円/時間
価格は税別
URL:https://www.instagram.com/bar_abhainnbheag_hakata/
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