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鶏のうまさを丸ごと味わえる関東風の焼鳥と自然派ワインを

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福岡で焼鳥といえば、豚バラが不動の一番人気であることに異論はないでしょう。多くの店でメニューの最初に豚バラが書かれていることに、東京などから初めて福岡に来た人にしばしば驚かれます。関東の焼鳥屋はその名の通り鶏の串焼きを提供する店で、豚を使った「焼きとん」とは明確に区別されています。そんな福岡でも近年は鶏の串焼きだけを提供する店が増えていますが、その代表格が大手門にある「鳥次」です。2007年のオープン以来、福岡でも関東風の焼鳥を求める客から圧倒的な支持を得ています。

鳥次店内

大将の小林龍治さんは、大名で古くから関東風焼鳥を提供している名店「益子」の出身。国家資格である食鳥処理免許を持ち、内臓付きの丸鶏を店内で捌くことができるのが最大の強みです。鶏は福岡近郊から朝締めの若鶏を仕入れ、丸ごと一羽から希少な部位まで余すことなく提供できるというわけです。

鳥次人物

福岡城大手門のほぼ正面にある店舗は寿司屋を思わせるカウンター席のみで、アンバーな色調の落ち着いた雰囲気。ワイワイと賑やかな街場の焼鳥屋とは一線を画しています。現在、主に焼場を担当しているのは伊藤祐一郎さん。小林さんと同じく食鳥処理免許の持ち、鶏の捌きから串打ち、備長炭を使った焼きまでを担当している期待の焼鳥職人です。

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メニューはコース仕立ての「焼とりおまかせ」(3,300円)のみですが、最初の1杯と一緒に注文できるのが「とり刺し」(300円)です。新鮮なむね肉を昆布締めにしたものを、オーダーが入ってから薄く引いてくれます。昆布の旨味が染み込んだむね肉に醤油を塗った切り身はねっとりとした食感で、生ビールとともに最高のアペタイザーとなります。コースに付いているサラダのシャキッとしたキャベツをかじりながら、最初の1本を待つことにしましょう。

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おまかせの焼鳥は5本で、1本目はお約束の「さび焼き」から。あっさりと淡白なササミの塩焼きにフレッシュな辛味のワサビを乗せ、パリッとした焼き海苔を巻いていただきます。お次は鶏ももの付け根にあたる「ソリレス」で、1羽から串1本分しかとれないという超希少部位! 実は「鳥次」の隣には姉妹店の水炊き店「橙」があり、毎朝大量に捌く丸鶏を使い分けているので希少な部位も安定して出せるのです。パリッとした皮目からジューシーな肉汁が溢れ出し、ただ珍しいだけではなく味も一級品です。

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鶏本来のうまさを味わうためにシンプルな塩焼きが多い中、脂身の多いもも肉の「かしわ」はタレ焼きで。炭火でじっくり焼くことで、甘塩っぱい関東風のタレが焦げる匂いが漂ってきます。噛みごたえのあるしっかりとした肉質で、間に挟まったネギも名脇役です。串物の最後は名物の「とりだんご」。鶏の様々な部位を挽いて混ぜたもので、「つなぎをまったく使わずに団子にしているので、つくねとは呼びません」と伊藤さん。その肉々しい食感から、鶏の旨さを余すことなく味わうことができました。

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焼鳥の合間には季節の野菜が出てきます。この日はどんこ椎茸と安納芋、銀杏の3種類。芋の甘さに驚くと、あらかじめ低温で長時間コンフィにすることで甘味を引き出しているとのこと。ただ焼くだけではなく、見えないところまでしっかり仕事をしているのが名店たる由縁です。もう少し食べたいという人は焼鳥の追加もできるので、気軽に尋ねてみてください。
スープが出てきたところでコースは終了ですが、名物の「そぼろ丼ミニ」(400円)はぜひもの。これで締めないことには、「鳥次」に来た気になれません。

鳥次ワイン

鳥次」を訪れる客は、焼鳥だけが目当てという人ばかりではありません。実は15年前の開店当時から自然派ワインの品揃えで知られており、福岡におけるブームの火付け役になった店のひとつなのです。肉類には赤ワインといわれますが、ソムリエ資格を持つ筆者としては、焼鳥の脂と塩味を洗い流してくれるスッキリとした酸味のある白がオススメです。

県外からの客も多く訪れる福岡屈指の人気店なので予約は必須。満腹でほろ酔い気分になった後はすぐにタクシーに乗らず、しばし福岡城のお堀端を歩きながら余韻を味わいましょう。

店舗名:鳥次
ジャンル:焼鳥
住所:福岡市中央区大手門1-8-14
電話番号:092-715-4301
営業時間:18:00~OS21:30
定休日:日祝日
席数:カウンター14席
個室:なし
メニュー:焼とりおまかせ3,300円、とり刺し300円、そぼろ丼ミニ400円、レバーパテ300円、グラスワイン700円~
URL:https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400105/40004687/

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この記事を書いたひと

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