「利花苑」は、福岡市民なら誰もが名を知る焼肉店です。1964年に那珂川で始まった大衆店は、1980年代に入るとより上質なレストランへと進化し、現在は大名本店・中洲店・中洲明治通り店・鉄板焼き専門店を展開中。この日は、とくに接待や記念日ニーズの高い中洲明治通り店を訪ねました。
4階建の自社ビルで営業する同店は、映画館「中洲大洋」のすぐ隣。中洲川端駅の入口やバス停が近く、交通至便な立地です。石造り風の店構えは精悍にして重厚。きらびやかな中洲エリアでも独特のゴージャスさを漂わせています。
1階はアダルトな雰囲気のテーブル席6卓と、印象的な円形のカウンター席を完備。カウンター席はコロナ禍以降パーティションで仕切られており、お一人様でも気軽に使えそうですね。
2階には掘りごたつの個室(写真左)が9部屋あり、うち2部屋は並んで座れるカップルシートでした。明治通りに面する3部屋からは車のヘッドライトや看板の灯が眺められ、やや落とし気味の照明と相まって都会的なムードを醸しています。
僕らが通されたのは3階の個室。2部屋あるどちらもテーブル席仕様で、仕切りを外せば最大24名まで収容できます(写真右)。ちなみに個室使用料は1名300円と、中洲にしてはかなりの良心価格。なお最上階の4階は60名まで入る掘りごたつの大広間となっています。
さて、乾杯が済むと食事がスタート。この日は知人にハイコスパだと勧められた「四つ星コース」(1人前6,800円/注文2人前~。クッパ・デザート付)を頼み、生ビールやマッコリなどが付く120分の飲み放題(+1,950円)をセットにしました。
まず供されたのは前菜で、1皿目はキムチの盛り合わせ・牛たたきの玉ねぎ巻き・ニラたっぷりのチヂミで、2皿目がヤンニンジャンで味付けした韓国サラダです。なかでも酸味を抑え、甘辛さを際立たせたキムチは実に僕好み。韓国料理も出している「利花苑」では?などの調味料をすべて自作しており、このキムチも長年変わらぬ自慢の味だそうです。
そして待望の焼肉は、塩タン・みすじ・上ミノを盛った「塩焼」で幕を開けました(以下、写真はすべて2人前)。絶妙な厚みで職人が手切りするタンは極上の歯応えを秘め、霜降りたっぷりのみすじの柔らかさも感動モノ。それに劣らぬ食感の上ミノは、丁寧な隠し包丁が味わいをさらに引き立たせています。
これに続き、場を沸かせたのが別皿で登場した特上のサーロイン。中心部をレアで楽しめるよう、ステーキサイズの厚みでカットされていました。A5ならではの極上の脂は比類なき甘みで、「これが楽しみ」という常連の多さも納得!
(写真手前から)上さがり・上カルビ・ハラミを並べた「たれ焼」の満足感も保証付き。ことに“肉の大トロ”と呼ばれる前バラ部分から切り出した上カルビのうまさは絶品と言うほかなく、他の2種も同等のオーラを放っていました。
なぜ「利花苑」の肉はこんなにもうまいのか? その秘密は、初代から現2代目社長に受け継がれた肉へのこだわりにあります。「最高の焼肉でお客様を幸せにしたい。そんな想いから現社長が福岡食肉市場の買参権を取得したのが2002年のことでした」と話すのは、次期3代目となる常務の原田将充さん。「これにより私たちは、本当に良い九州産黒毛和牛だけを自社で競り落とせるようになったのです」
当時福岡で買参権を持つ焼肉店は極めて珍しく、このことからも夢実現への強い意志がうかがえます。しかも一頭買いが基本なので、どんな希少部位を求める客の要望にも応えることができるのです。
「競り落とした肉は大名本店の工房ですぐに切り分け、他店と共有しています」と原田さん。市内の近距離にのみ支店を置くのも、品質管理にしっかり責任を持つためだとか。こうした志がスタッフにも伝わるのでしょうか、接客にも凛としたクオリティが感じられました。
一度でもここを訪れたら、「利花苑」が半世紀以上も愛され続ける理由がきっと分かるはずです。
ジャンル:焼肉・ホルモン焼き、韓国料理
住所:福岡市博多区中洲4-7-13
電話番号:092-273-2929
営業時間:11:30~15:00/15:00~22:00
定休日:1・3月曜
席数:カウンター10席、テーブル48席、掘りごたつ120席
個室:2~20名
メニュー:四ツ星セット6,800円・五ツ星セット9,000円(各1人前/注文は2人前~)、芯玉上赤身2,400円、いちぼ2,400円、焼肉赤身ランプステーキ100g1,800円、厳選ロース盛り合わせ5,400円
URL:https://www.rikaen.com
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