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優しさいっぱい列車|アナウンサーコラム

「どこかへ行く」ことと同じくらい、「電車やバスに乗る」ことが子どもにとっては冒険だ。子どもはワクワク、ママはドキドキしながら、先日久しぶりに子どもを連れて地下鉄に乗った。
行きの地下鉄では、一席だけ空きを見つけ、立っていると揺れで安定しないであろう次男を座らせた。すると、横に座っていた20代くらいの男性がスッと席を立ち、長男のために席をゆずってくださった。おお!今どきの若者はなんてすてきなんだ! 感動の旅の始まりである。

そして、帰りの地下鉄。それほど混んではいないけれど空席はなし。「つかまって、少し足を開くと、しっかり立てるよ」と子どもに教えていると、次男の目の前に座っていた30代くらいの男性が、またもやスッと席を立ってくださった。しかも、お買物帰りなのか、大きな白い袋をお持ちだったのに、である。
おおお! もしやサンタクロースでは!? 世の中なんてすてきな方が多いんだ!

振り返ってみると、妊娠中に席を譲っていただいたこともあった。世の中、優しい人がたくさんいるんだ。ありがたく、うれしく思い、自分もまた優しさを返せる人間でありたいな、と思う。子どもたちにも、乗り物の楽しさと一緒に、人の優しさも覚えていてほしいな、と思っている。

12月17日(土)毎日新聞掲載


本庄麻里子 RKBアナウンサー。 神奈川県横浜市出身。

【担当番組】
テレビ:タダイマ! ラジオ:おしゃべり本棚

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