「ここの味噌は美味しいですよ~!」
今回ご紹介するのは、先日伺った南区桧原のレストラン「Agriculture(アグリキュルチュール)」の小島智典シェフが、そう言って満面の笑みで教えてくれた一軒家ショップ。昨年7月にオープンした「MISO MAISON」です。店名はフランス語で“自家製味噌”を意味し、自家製味噌を主役に、食品や調味料、生活道具も販売しているお店だそう。気になって、早速出かけてみました。
やって来たのは、南区長丘の住宅街。こんな場所に……?と思いながら歩いていると、児童施設「キッズくれよん長丘」の向かいに「MISO MAISON」の看板を見つけました。この看板&ショップカードのデザインは、麹と大豆を混ぜた時の“麹が蘇る色”を表現したものなのだとか。発想もデザインも素敵ですね。
さぁ、ガラス戸を開いて店内へ入りましょう。1階の入口横にある冷蔵庫には小分けされた自家製味噌や塩麹、甘酒などが並んでいます。足を進めると、セレクトしたこだわりの食品・調味料を販売するコーナーがあり、奥には味噌の工房が。さらに2階はキッチンを備えたレンタルスペースとなっています。2階の最奥にはセミオーダー服を手掛ける「cerisier(セリシエール)」のアイテムやキッチン用品、食器なども並んでおり、ワクワクが止まりません。
ちなみに、この建物は10数年前に建築家・谷尻誠さんが設計した一軒家で、家具製作も行う建築士の田中純二さんにショップとして改装してもらったのだといいます。スタイリッシュなのに温かみがあって、2階は特に居心地が良いです。
熟成中の味噌も、特別に見せていただきました。何ていい香りなんでしょう! 写真は、鹿児島「マルマメン工房」のオーガニック素材で作られた「黒大豆合わせみそ」です。自然栽培の黒大豆、麦と米で作る麹が香り、酸味とコクのある味わいが特徴だとか。
店舗より提供(お味噌作りワークショップの様子)
「うちの子はアレルギーが本当に多かったんです。“どうにか健康な体を作ってあげたい、美味しいものを食べさせてあげたい”というところから、食を見直し、味噌を自家製するようになりました」。そう話すのは、代表の加治屋智子さん。
子供の食事を考える中で、食について一から勉強しようと「中村学園 短期大学」の食物栄養科に入り栄養士の資格も取得。保育園給食のメニュー管理を行うなど、長らく食育に携わってきたそうです。
「親御さんや子供たちに接する中で、“味噌作りや食にまつわることを若い世代にも伝えていきたい!”という気持ちが、どんどん強くなっていきました。個人的に作っていた味噌を“売って欲しい”と言われることも増えたので、味噌やこだわりのアイテムを販売でき、ワークショップもできる場所があったらいいなぁと考えたんです。そうして、友人にも協力してもらい『MISO MAISON』を立ち上げました」
「基本の味噌は、国産大豆とたっぷりの麹で作る無添加の『育てる麹の合わせみそ』です。通常の味噌は大豆と麹半々の割合で作りますが、うちのは麹が7、8割。麹が醸す甘酒のようなまろやかさと旨味が自慢です。仕込んで2、3カ月ほどの状態でお出ししているので、すぐに食べるとフレッシュでフワッと柔らかな風味が。熟成が進むと色が濃くなり、味に深みが出て芳醇な香りに。冷蔵庫で保管しつつ、麹を育てる気持ちで使いながら自分の熟成具合を探してみてください」と、加治屋さん。
“自分好みに育てる”と、お味噌に愛着が湧いて一層美味しくなりそうですね。好みの味になった頃に冷凍保存すれば、発酵が止まりその味がキープできるそうです。量り売りも行っており、容器を持参して好みの量を購入できますよ。加治屋さんの話を聞きながら、どの味噌を買おうか選んでみるものの……「酒粕入り白みそ」も食べてみたいし、「6カ月以上熟成タイプの合わせみそ」も気になるなぁ。
そうして悩んだ挙げ句、欲張りな私にぴったりの味噌を発見! 酒粕入り白味噌、育てる麹の合わせみそ、育てる麹の合わせみそ熟成タイプ、赤味噌の4種類を詰めた「みそパレット」(700g 1,500円)です。気分や具材によって味噌汁の味を変えたり、好きにブレンドして料理に使ったり……と使い方は自由自在。仕込み状況によって店頭に登場する日や個数は異なり、次回の「みそパレット」の登場は5月中旬の出来上がりを予定しているそう。事前に予約しておくのがおすすめです。
購入した味噌は手触りの良い「cerisier」の洋服の端切れを利用して作られた「風呂敷」(500円~)でラッピングしてもらうこともできますよ。自宅用にはもちろん、お料理好きの方やグルメな方への手土産としても喜ばれそうですね。
「みそ汁スタンド」営業にも注目
また「MISO MAISON」では、定期的に味噌汁とおにぎりを提供する「みそ汁スタンド」営業も行っています。イートインの場合は、二丈町の無農薬米おにぎり2個、漬物、おかずを竹皮で包んだ「お弁当」に、具だくさんの味噌汁が付いて750円。テイクアウトの場合は、上記のお弁当に味噌玉が付いて500円です。営業日はインスタグラムの「月のスケジュール」を確認してお出かけくださいね。
この日の味噌汁は、酒粕入り白みそ仕立ての豚汁でした。まろやかな甘味と旨味、ほわっと鼻を抜ける香りも心地良いなぁ。おにぎりは赤米とお店でも量り売りしている「むぎわらFARM」(朝倉市)の「黒ぽん」※を混ぜて炊いた2種類でした。味噌汁の出し殻で作るいりこと昆布の佃煮、「どんたく農園」(糸島)や「おやさいや菜」(博多区春町)から仕入れる野菜を使った自家製の漬物も美味し~。食感、風味がとりどりに弾けます。
※「黒ポン」=筑前町の特産物である「クロダマル」という黒大豆を、ポン菓子機にかけた食品
2階は「みそ汁スタンド」のイートイン席として利用できるほか、イベント・レンタルスペースとしての役割も。月に2、3回ほど味噌作り教室が開かれており、料理教室をはじめとしたワークショップも定期的に開催されています。ワークショップは事前予約制なので、気になる方はインスタグラムをチェックしてみてください。
奥には、生地やデザインを選び、セミオーダーで洋服を仕立てる「cerisier」のコーナーと、調理器具や器、竹籠などの生活道具が並ぶコーナーが。「使い捨ての習慣を見直して長く使えるモノ」をテーマにセレクトされているそうなのですが、こちらも目移りしてしまいます。「みそ汁スタンド」で使用している器や「ヤマチク」(熊本)の竹箸(写真右)もありましたよ。純国産の天然竹を職人が一本一本手で刈り取り、削って作る竹箸なのですが、手によく馴染んでとても使いやすいんです。
その他、宮崎のオリーブオイルソムリエ「やまぐち橄欖(オリーブ)店」とのコラボで生まれたフレッシュオリーブオイルやバルサミコ、瀬戸内・ひうち灘の職人の手によって一つ一つ厳選された「やまくにのいりこ」、量り売りで購入できるオーガニック洗剤(100g110円~)、「Agriculture」のラー油やソルトなどなど……。とにかく素敵なアイテムが盛りだくさんです。食品、調味料、洗剤と、味噌以外も一部量り売りを行っているので、空き瓶などの容器を持参して買いに行くといいですよ。
――私は、いりこや塩麹までしっかりと購入して帰宅し、早速「みそパレット」で味噌汁を作ってみました。普段は味噌こし器を使うのですが、「MISO MAISON」の味噌は柔らかく隅々まで美味しいので、直接溶くのが正解。しょっぱさがなく、香りと甘味、旨味が豊かで、いつもより何倍も美味しく仕上がり驚きました。これまでの味噌には、もう戻れないかもしれません。
※*自家製味噌の販売状況はInstagramにて告知。仕込み状況により販売期間や個数が異なるため、訪問前に問い合わせや事前予約を。
《MISO MAISON/ミソ メゾン》
福岡市南区長丘3-19-5
TELなし ※予約や問い合わせはInstagramのDMへ
https://www.instagram.com/miso_maison
ジャンル:物販店、食物販店
住所:福岡市南区長丘3-19-5
電話番号:なし ※予約や問い合わせはInstagramのDMへ
営業時間:11:00~17:00 ※みそ汁スタンドの営業日はInstagramにて告知(テイクアウト12:00~、イートイン13:00~)
定休日:月曜、日祝日
席数:テーブル約6席、スタンディング3名くらい
メニュー:育てる麹の合わせみそ 量り売り100g127円~・1000g1,380円、酒粕入り白みそ 量り売り100g168円~・500g950円、みそパレット700g1,500円
URL:https://www.instagram.com/miso_maison
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