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表情いろいろ、編集者が選ぶ全国各地の手しごとの器

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料理と切っても切れない関係の器。お気に入りの器があるだけで、料理をすることや誰かをもてなすことがより一層楽しくなるものです。作家ものや民芸、アンティーク、世界各国の器まで、収納場所に困るほど器を集めてしまうライターの森脇美奈さんが、こだわりのセレクトが光るお店を紹介していきます。

第1回は、2016年に白金にオープンし、2018年に同町内の現在地に移転した「KUJIMA」を紹介します。少しわかりづらい場所にあるのですが、地図を頼りにたどり着いたら「ここで合ってる?」と少し不安になるような建物と建物の隙間をのぞいてみるとこの看板が迎えてくれます。その細い通路を進むと入口に到着。階段を上った2階に店舗があります。

誰かの家におじゃまするような気分で扉を開くと、そこに広がるのは器好きにはたまらない空間!全国各地で創作をする40前後の作家の作品が紹介されていて、シンプルなものから力強い印象のもの、繊細なものなどさまざまなテイストの器が並んでいます。福岡ではあまり見かけない作家の作品もあり、新しい出会いに期待できるのも「KUJIMA」の魅力。オープン当初は陶磁器が中心でしたが、最近はガラスや木工作家のものも扱っています。

お店を手がけるのは、雑誌などを中心に活動する編集者・久島剛さん。自身が興味のあるものを発信するメディアのようなお店をもちたいと考えていた頃、取材で訪れた沖縄の陶芸工房で陶磁器の魅力に目覚め、器のお店を開くことを決めたそうです。「取材では、公開されていない制作の風景を見ることができたり、作り手の思いを深く聞くことができます。その時に感じた陶磁器の面白さをほかの方にも伝えたいと思いました」と語ります。その後、陶磁器を扱うためにはその真髄を知っておきたいという思いから、自身も3年間ほど陶芸教室に通い、技術を習得。その経験が器を選ぶ確かな目となり、現在に生かされているそうです。

セレクトの基準は、料理を引き立てるもの、毎日使っても飽きないもの、普段使いしやすいもの。「手作りした料理でも買ってきたものでも、気に入った器に盛りつけることで食事の時間が豊かになります。またこの器なら何が合うかなど考える時間も楽しいですよね」と久島さん。

また、久島さんが各地に足を運んで手に取り、作家と話をして選んだ器を扱っているので、一つひとつの作品に対して細やかな説明を聞けるのもうれしいところ。作品の特徴や作家の人柄、出会った場所の思い出などの話を聞いていると、作品の魅力が何倍にもなるのが不思議です。

この日は栃木県益子町の人気作家・遠藤太郎さんの企画展の期間中でした。定期的に作家の個展を開催していて、3月10日(金)~20日(月)は、新しく取り扱いが始まった新潟県新潟市の大山育男さんの展示を行うそうです。

2月はこれまで使われていなかった3階部分をリニューアル。このお店のオープンのきっかけとなった沖縄の器や、作家ものの植木鉢を集めた展示コーナーが新設される予定というので楽しみです。

気になった商品もいくつかご紹介します。こちらは3月に個展を控える大山育男さんの「ワイドリム7寸皿(直径21.5cm、高さ1.5cm)」(左:灰瑠璃釉 4,510円、右:スノーグレー釉 4,735円)。洋食器を思わせるシンプルな形に、地元の原料を用いた深みのある釉薬がかかった器はどんな料理も引き立ててくれそう。新潟の雪をイメージしたというスノーグレーも大山さんならではの色味です。

こちらも新しく取り扱いが始まったという沖縄県南城市の平良みどりさんの「朝顔鉢(直径14cm、高さ6.5cm)」(各3,300円)。沖縄の自然を思わせる色使いやぬくもりのある風合いが特徴です。料理だけでなく、アイスクリームなどのデザートにもちょうどいいサイズです。

遠藤太郎さんの「楕円鉢(縦17cm、横20cm、高さ7cm)」(各2,970円)は、ありそうでないサイズや形が人気を集めるアイテム。1人で使うならパスタやカレー、2人で使うなら主菜の盛り付けやサラダボウルにと幅広く使えます。伝統的な馬の目柄や北欧を思わせる葉柄などの絵付けも魅力です。

こうやって器を見ていると、どんな料理に合わせようかと気分が高まりますね。私も器の説明を聞いているうちにその魅力に引き込まれ…新しいお皿が我が家の食器棚に加わることに!きっと使うたびに久島さんから聞いたエピソードを思い出すことでしょう。

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この記事を書いたひと

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