何年も前から、西新商店街を通るたびに気になっていた「七輪焼肉 わさび」。長らく入る機会を逃してましたが、昨年この店を紹介したバラエティ番組を観て、「これは早く行かねば!」と猛烈な焦燥感に襲われました。というのも看板料理の「ざる焼き」がとても楽しく、美味しそうだったから。そして嬉しいことに、実際出逢ったその味は、こちらの期待を遥かに超えてくれたのです。
2008年にオープンした「わさび」は、七輪焼肉を謳いつつ、牛や豚はほとんどない鶏料理専門店。代表・早田和正さんの実家にして経営元が宮崎県小林市の鶏肉卸会社「小林養鶏」で、そこから毎日新鮮な九州産鶏肉が届くのだそうです。
飾らない雰囲気の店内は、開店直後からたちまち満席に。先の番組効果で県外客が急増し、昨秋には東京にも支店を2軒出すなど、最近の勢いを表すような活気が広がりました。
さて「ざる焼き」とは、文字通りざるに入れた鶏肉を七輪上で焼く、シンプルながらどの店にもない斬新な調理法です。考案者の早田さんいわく「故郷の宮崎では、昔から鶏もも焼きなどの炭火料理が親しまれています。それをアレンジしてみては?と開店半年後に始めたのがざる焼きでした」
この“目から鱗”なアイデア料理を提供し続け15年。地道にファンを増やしつつ、ようやく昨年の大ブレイクにつながったわけです。高温でも網が切れにくいざるは、金属加工で有名な新潟県燕市の職人に依頼した特注品だそうですよ。
それではいよいよ実食! 今日は10種類の単品(539円~)から好みの部位を選べる「ざる焼き6点盛り」(S/1,617円)をオーダーしました。僕が選んだのは、ひな鶏もも・親鶏もも・せせり・ナンコツ・ズリ・ハツ。どの部位もきれいな形でカットされ、丹念な隠し包丁も入るなど、素材を大事に扱うプロフェッショナルな姿勢がうかがえます。なお、写真奥の黄色い塊は鶏の内臓に付いた脂だとか。
わさび/ざる焼き
その脂を先にざるに入れ、好みの部位を乗せてから、七輪上で転がすように焼くのが「ざる焼き」の作法です。すぐに脂が炎をあげ、鶏肉に香ばしさとコクを与えるのもうまさの秘訣とか。
頼めばスタッフが焼いてくれますが、どのテーブルでも客たちが夢中で焼いている姿が印象的。実際、これが実に楽しいんですよね。キャンプ飯でも作るみたいに、炭火で鶏をコロコロ炙る──そんな鉄板焼きにないアクションが加わるだけで、これほど気分が盛り上がるのだから不思議です。
砂ずりなら約3分、ももなら約2分で完成。焼鳥より短時間で焼けるので、水分や旨味が保たれた極上の仕上がりです。塩コショウベースの下味も絶妙で、すっかり6種6様の熱々な美味に酔いしれました。
他のメニューでは、ももか胸身を選べる「チキン南蛮」(649円)がオススメ。柔らかな若鶏の食感に、本場仕込みの甘酢と自家製タルタルが見事にマッチします。しかも値段に比してかなりのボリュームですが、そこは実家=仕入れ先の強み。こうしたコスパの良さも「わさび」躍進の原動力なのでしょう。
宮崎グルメの代表格、「親鶏もも焼き」(1,210円)もさすがのクオリティ。歯応えある身を噛み締めるたび、じんわり広がる滋味は中毒性が絶大です。
そして、鶏づくしの一夜のシメは「鶏そぼろ丼」(550円)に決定。炭の香ばしさをほんのりまとう、上品な余韻を残す一品でした。
「ざる焼き」という新鮮な体験に加え、極上の食味と値頃感、さらにはスタッフの親密な接客にも大満足! 西新まで足を運ぶ価値のある、すべての“鶏好き”に捧げたい是非モノの一軒です。
ジャンル:焼肉・ホルモン焼き
住所:福岡市早良区西新5-1-13-2F
電話番号:092-846-1601
営業時間:18:00~OS22:30(土曜17:00~、日祝17:00~OS22:00)
定休日:不定
席数:カウンター4席、テーブル39席
個室:なし
メニュー:ざる焼き6点盛り1,617円・3,179円、名物チキン南蛮649円、親鶏もも焼き1,210円、鶏そぼろ丼550、ウイングチョップ(2本)264円、ズリ&ピーマン539円、鶏のからあげ748円、大人のポテトサラダ539円、鶏のざる焼コース(飲み放題付)4,500円
URL:https://www.instagram.com/kobayashiwasabi/
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