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昭和18年創業のすき焼き風もつ鍋の発祥と呼ばれている店

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福岡市中心部からちょっと離れた早良区田村の室見川沿いにある個性的な建物が、昭和18年創業のすき焼き風もつ鍋の発祥と呼ばれている店「万十屋」だ。その外観はスタイリッシュで、とてももつ鍋発祥の店という佇まいではない。もつ鍋発祥の店と聞いてきた人は、想像と違い過ぎて、きっと戸惑うに違いない。

「こんばんは。ずいぶんご無沙汰してます。」
「え?この前会ったやん」
「いやいや、先輩とは中洲のスナックで会いましたが、ここはめちゃ久しぶりですよ。」

松隈大治先輩(中央、左は店長の岳さん)は女将・幸子さんの長男で、店の経営には携わっていないが、家業ということもあり、主に力仕事などを手伝っているとのこと。
ずいぶん前になるが、ソフトバンクホークスの有名選手の祝賀会が開催された時に参加させてもらった。あの時は3階の広間にかなりの人数がいた記憶がある。現在3階は使用していないらしい。

「万十屋」はもともと幸子さんの母親のハツコさんが始めた店で、当初は金武の住宅街にあって、万十を売っていたらしい。戦後、万十の原料である小麦粉や砂糖が手に入りにくくなった時に、唐津の方から牛のもつを売りに来ていたので、それを使って誕生したのが「万十屋」のもつ鍋だ。

作家の檀太郎さんも長く通うファンの1人で、その檀さんがANAの機内誌「翼の王国」で紹介してから店が大ブレイク。全国からお客が殺到して近隣に迷惑をかけることになったため、平成3年に今の場所に移転したのだそう。その時に檀さんと交流のあった建築家の隈研吾さんが設計を担当することになり、今の建物が完成した。

ここは2階の入口で靴を脱いで、まるで銭湯のように番号の付いたロッカーに入れるスタイル。これはなんかいい感じやね。
そこから奥の広間に通されたのだが、畳の上にテーブルが置かれており、椅子に座れるのでおじさんにはありがたい。ちなみに入口を入ってすぐ左手には床が畳ではないテーブル席もある。

まずは、「万十屋」の名物である「すもつ」(380円)や「店長自慢の炙り馬肉チャーシュー」(800円)をあてに酒を飲むのがオススメ。ここの「すもつ」は豚ではなく牛の直腸を薄くスライスしたもので、コリコリとした食感が秀逸。

また、熊本産の馬肉を使った「炙り馬肉チャーシュー」は薄切りで、馬肉はもともと脂身が少ないので、炙ることにより肉の旨味が凝縮されているようだった。
「ほろほろ角煮たまご」(550円)も味がしっかりしみていて酒がすすむよ。

「万十屋 昔ながらのもつ鍋」(1,580円)を2人で3人前オーダー。ちなみにもつ鍋は1人前からでも注文できるのが嬉しい。
ここの鍋は、当初はアルミだったが鉄を経て、30年ほど前から現在の石鍋になったのだそう。熱効率が良いのと、こびりつかないので洗いやすいというのが理由らしい。

もつ鍋は店員の“おばちゃん“達がササッと準備してくれるので、自分たちで勝手に触らずにじっと待たなければならないのだ。しょうゆベースのすき焼き風もつ鍋は国産牛のセンマイと赤センマイ、ハツ、小腸の4種類のもつが入っており、そのまま食べても良いし「卵」120円につけてすき焼きのようにして食べても美味い。
しっかり洗ったもつは臭みがなく、いくらでも食べられるので、2人前追加してしまった。みなさん、3人でだいたい6人前くらいは食べるらしい。

もつ鍋のシメは、当初はうどん麺が主流だったようだが、今は「ちゃんぽん麺」(180円)を頼む人が9割くらいになったそう。
せっかくなので、今回は「ちゃんぽん麺」と「ビビンバ風おじや 白ごはん(小)」(180円)の両方をお願いした。「ちゃんぽん麺」もタレがしみこんでいいけど、「ビビンバ風おじや」のおこげもたまらない。

次回は気になった「トマトもつ鍋」(1,660円)を食べに来てみよう。松隈先輩いわく、通常のもつ鍋とはまったくの別物らしい。
週末は家族連れなどでいっぱいらしいので、予約は必須ですよ。

店舗名:万十屋
ジャンル:もつ鍋
住所:福岡県福岡市早良区田村1丁目12-10 万十屋
電話番号:092-801-4399
営業時間:11:30~OS21:30
定休日:月曜
席数:テーブル100席
個室:なし
メニュー:もつ鍋1,580円、みそ風味もつ鍋1,580円、トマトもつ鍋1,660円、ちゃんぽん麺180円、うどん麺230円、ビビンバ風おじや用白ごはん(小)180円、すもつ380円、ボイルせんまい380円、ほろほろ角煮たまご550円、炙り馬肉チャーシュー800円、生ビール600円、日本酒440円~、焼酎440円~、ハイボール470円
URL:https://manjuuya.co.jp/

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この記事を書いたひと

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