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丁寧な下処理が生む内臓系のおいしさが豚の概念を変える!

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山串 外観

高宮通りから一本路地に入った住宅街でひっそりと営む「炭焼酒場 山串」。長年飲食業界に携わる店主の山口泰典さんが営む店で、あえて目立たない立地を選んだそうです。その理由を「さまざまな飲食店で働いた経験と、それに個人的な好みもあって、30代以上のお客様がふと立ち寄りたくなるような店をやりたいと思ったんです」と山口さんは話します。
店に入るとカウンターをメインに4人掛けのテーブル席が2卓。無駄な装飾はなく、とても素朴な印象です。カウンターでサクッと飲んで帰るお一人様も多いそうで、一人でふらっと立ち寄るにも良さそう。メニューを早速見てみます。

山串 メニュー表

メニュー表の頭に“豚串”と掲げられているように、こちらのお店は豚の串焼きがメイン。定番の「バラ」(210円)に加え、「サガリ」(190円)、「こめかみ」(190円)、胃袋を指す「ガツ」(180円)など変わった串焼きが揃います。個人的に久留米ではおなじみの「ダルム」(200円)が好きなことから、それを入れつつおすすめを焼いてもらうことにしました。豚串を焼いている間、比較的早く出るメニューを聞くと刺身もおすすめとのこと。では最初は刺身をいただきます。

山串 牛ハツ刺

まず選んだのは「牛ハツ刺」(680円)。表面を軽く炙ることでたたき風になっており、鮮度がいいものを厳選しているためとても美味しいです。すりおろしたショウガ、たっぷりのったネギの香り、風味がよく合います。680円という値段の割にボリュームもあり、コスパの良さに驚かされますね。

山串 豚串

そしていよいよ真打ちの豚串が焼き上がりました。左から「豚つくね」(210円)、「タン」(180円)、「ダルム」、「タン軟骨」(190円)、鹿児島県霧島市の無菌豚にこだわった「バラ」の5本にプラスして1、2位の人気を誇るという「レバー」(180円)の計6本です。
まずいただいたのが定番の「バラ」。塩加減もちょうど良く、外側はカリッと、中はジューシーな焼き加減です。「タン軟骨」や「ダルム」「タン」も然りで、外と内の食感の対比が楽しいのがポイント。特にダルムは本場の久留米の焼鳥店顔負けの美味しさです。聞くと「内臓系の部位は下処理が大切。豚の直腸のダルムは生で仕入れて、臭みのもとになる脂身を徹底的に取り除いた後、長時間じっくり炊くことで柔らかな食感に仕上げています」と山口さん。豚の内蔵は臭み、クセがあるというイメージを少なからず持っていましたが、まったくクセがなくて、めちゃくちゃ美味しい! 豚串にハマり、リピーターになる常連も多いというエピソードにも納得の美味しさです。自家製の豚つくねも鶏よりもあと引く旨味を感じ、これはクセになりますね。
レア焼きのレバーも臭みはまったくなく、とろけるような食感。デフォルトはタレ焼きですが、2本目の注文が入った際などは、塩とゴマ油というアレンジもおすすめしているといいます。

山串 焼き場 山串 店主

焼き場に立つ山口さんは「よく焼鳥店のセオリーの一つに、“強火の遠火”といわれますが、僕の場合は“近火のやや強火”。どの部位もそうですが、表面の香ばしさと中のジューシーさという点を大切に焼いています」と話します。

山串 塩そは? 山串 塩そは? 麺アッフ?

最後はシメの麺飯系から「塩そば」をチョイス。山口さんはもともと店を開いた時からラーメンはいつか出したいと思っていたそうです。「2019年9月に開店して、すぐにコロナ禍になり、まともに営業ができない日々でしたが、逆にその間、ラーメン作りに集中できましたね。夜営業ができない時はランチでラーメンを出していたんですが、お客様がインターネット上にアップする写真がラーメンばかりになり、一時期はラーメン屋さんと思われていたんですよ」と笑います。
ラーメンは「塩そば」と「中華そば」(各700円)の2種類があり、どちらもベースのスープは同じ。鶏ガラと豚骨に節系や昆布など魚介ダシをプラスしたいわゆるWスープで、一口目は魚介の風味、香りがガツン! 食べ進むうちに鶏ガラの旨味を感じる秀逸な味わいです。麺は製麺屋慶史から仕入れる平打ち麺で、手もみすることでややウェーブがかっています。スープは比較的あっさり系ですが、麺によく絡んで美味しい。しっかり1人前の量だったので、完食できるかな……と心配だったのですが、ペロリと食べてしまいました。もちろん1杯のラーメンを何人かでシェアしてもいいですね。

山串 店内

メニュー表以外にも「野菜巻き串」(260円)、「たんすじスモークポンズ」(380円)など、その日おすすめの短冊メニューを用意する同店。どのメニューもリーズナブルで、いろいろな料理を食べてみたくなります。目立たない店構えながら、いつも満席な理由がわかりました。ぜひ狙って訪れてほしい隠れた名店です。

店舗名:炭焼酒場 山串
ジャンル:焼鳥
住所:福岡市中央区平尾1-12-22-1階
電話番号:092-707-3139
営業時間:17:30~OS22:30
定休日:不定
席数:カウンター6席、テーブル8席
個室:なし
メニュー:豚串/バラ210円、サガリ190円、こめかみ190円、自家製ベーコン200円、豚つくね210円、鶏串/皮140円、ハツ170円、せせり190円、野菜串/なす130円、ししとう190円、牛ハツ刺680円、こぶくろ刺500円、中華そば700円、塩そば700円

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この記事を書いたひと

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