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遺産相続、”介護”は取り分が増える理由にならない!?

間もなくお盆休み。そこで、親類縁者と直接会う人も、そうでない人も、関心がある話題「相続」について、正しい遺言状の書き方や相続税、親族間でトラブルにならないためのポイントをご紹介。8月9日(月)、RKBラジオの朝の情報番組『櫻井浩二インサイト』で、福岡市博多区にある「相続LOUNGE」を運営している弁護士・税理士の菰田泰隆さんに聞きました。

菰田泰隆さん(以下、菰田):自分に来る財産と、ほかのきょうだいに行く財産の量を比べて“愛情の指標”にしようとする方って、意外といらっしゃるんですよ。

櫻井浩二アナウンサー(以下、櫻井):夫が死亡した場合、妻が50%で残った分を子供たちで均等に分け合う、っていうのは多分皆さんわかってると思うんですけど。(遺言書で)配分が違うときがあるんですね?

菰田:たとえば、次男は家を出て大学に通った。でも長男は大学に行かずに働いていた、というケースがあった場合「次男の方が今までお金がかかってきたから、長男に多く残してあげたい」という親御さんもいらっしゃるんですよ。

田中みずきアナウンサー(以下、田中):でも、次男からすると納得いかない?

菰田:「そんな大昔の話されても」ってなりますね。
櫻井:私の知り合いのケースなんですけど、2人兄弟で、父親の死後、お兄さんの方が母親と同居して介護をしている。でも弟は県外にいる。この場合、遺産相続で、弟はあまり強く主張できない、なんていう話を聞いたことあるんですけど。

菰田:「介護でどちらかが多くもらう」という相談はすごく多いんですよ。ただ、そのケースだと、そもそも介護している対象はお母さんで、(亡くなった)お父さんの相続とは法的には関係のない話なんです。それと、もしお母さんがお亡くなりになったとしても、兄弟間で取り分が変わるのは、ヘルパーさんを雇ってやらなきゃいけないレベルの介護を、家族だけで頑張っていたような場合です。「一人でトイレに行けない、一人でお風呂に入れないから、ちょっと付き添ってあげている」ぐらいでは、裁判所は“介護”とまでは認めません。

櫻井:職業としてやるレベルの介護の場合だけ認められるということですか?

菰田:はい。そのときは遺産の取り分が少しだけ増えます。「子供が親の面倒を見るのは当たり前」という話で、民法でも「子供は親を扶養しなさい」って書いてあります。取り分を増やすほど介護しているっていうためには、職業レベルの介護が必要ですよっていうのが裁判所の考え方です。

田中:確かに、親の介護をしたからっていうのを理由にたくさんくれっていうのは…

菰田:でも、そういう方もいらっしゃいますよ。お金が欲しいからというよりも「自分の今までの頑張りに対する評価として」という理由で。また、男兄弟の場合、たいてい実際に介護しているのはお嫁さんだったりするんですよ。となると、そのお嫁さんが(夫に)「私、血が繋がってない義理の親をこれだけ介護してきたんだから、その頑張りに報いるためにも、ちょっと多く取ってきてよ」みたいな話になるんですよ。それに逆らえない旦那さんが多いです。
田中:なるほど(笑)

櫻井:そういうトラブルにならないためにどうしたらいいですか?

菰田:遺言書を書いておくのが一番でしょうね。遺言書を書いておいたらもうその通りにするしかないので、喧嘩が始まっても、一応終わるんですよね。

菰田さんの解説は10日以降の『櫻井浩二インサイト』に続きます。遺言を書くポイントやどこに保管するべきか、相続税とその対策についてご紹介します。

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