【SDGsおじさん】衝撃だらけのドイツ旅

【SDGsおじさん】衝撃だらけのドイツ旅

「ごみを持ち帰らせない店」。インターネットでその文面を見つけて「どういうこと?」と疑問を持ったのがドイツへ取材に行くきっかけでした。2019年11月、新型コロナウイルスが世界的に蔓延する直前で、今となってはとても貴重な経験となりました。環境大国と言われるドイツ。知識がある方は、ドイツが環境に関して、先進的な面とそうではない面があることをご存知だと思いますが、悪い面があるから良い面を無視するのはナンセンスだと思うので、ここではドイツの先進的な姿を書き進めます。

ごみを持ち帰らせない店とは一体どういう店なのか?それは「量り売り」のお店です。今でこそ日本でも全国各地に続々とオープンしている計り売りの店ですが、2年前の時点は、少なくとも福岡では1軒だけしか見かけませんでした。ですが、ドイツではその時すでに100店舗以上の量り売りの店が存在していたのです。

2年前のちょうど今頃、福岡空港から台北~アムステルダム経由でベルリンへ出発しました。福岡空港でロケ用にマイボトルを購入して数時間後、台北に到着。そこで早速驚きが!乗り継ぎの便まで時間があったため空港内をうろうろしていると、いたるところに給水機があるのですが、それを利用しているほぼ全員が自分の空になったペットボトルに水を継ぎ足していたのです。日本の空港にも給水機はありますが、ペットボトルに給水している人の姿は全く見かけたことがありません。空港という特性もあるのかもしれませんが、ひっきりなしに色んな国の方々が利用していました。さらにその給水機に備え付けられているのは紙コップではなく、小さな紙の包みとでもいいましょうか、小さめのコーヒーフィルターのような物でした。(注げる量はヤクルトの80%位)そこでも海外のエコ意識の高さに衝撃を受けました。しかもまだ本丸ドイツに到着する前の台北での出来事です。

そして飛行機。機内食はプラスチックだらけです。スプーンにフォーク、水を注ぐためのコップ、トレーなど。やっぱり仕方ない部分もあるよなぁと思っているうちに満腹感から寝て、起きたらアムステルダム空港。そこでも給水所に驚きが!形は普通なのですが、よーく見てみると貼ってあるプレートに「SAVE THE PLANET」の文字が!給水機がある意味は「喉を潤すためのもの」という認識が強いと思っていたのに、そこには「地球を守ろう」というメッセージが。思わず写真を何枚も撮ってしまいました。大きな荷物を抱えながらも、興奮して給水機の写真を撮りまくる日本人。いま冷静に考えれば異様な姿だったかもしれません。

その後無事ベルリンに到着し、2日目。ついに今回の撮影の最大の目的のひとつである「量り売り」のお店へ。こじんまりとした店内ですが、中に入ると今まで44年間生きてきて、見たことがない光景が広がっていました。

一番に目についたのは、ナッツやドライフルーツが入ったバルクと呼ばれる量り売り店でよく見る容器の多さでしたが、それ以外の物も徹底して量り売り。砂糖に塩、パスタ、オリーブオイル、小麦粉、ココアパウダー、石けん、シャンプー、洗濯用洗剤、生活にまつわる物のほとんどがそこには売られていたのです。

僕にとっては夢の国。きっと昔は日本の市場などでも醤油の量り売りなど、買い物のシーンはこのような光景だったのでしょう。それが現代にオシャレに蘇っていたのです。お客さんはというと、気取った人が多いかというとそんなことは全く感じられず、老若男女。人々の生活に馴染んでいるんだと実感しました。

量り売りなので、自分で容器を持ち込み、計量して購入します。お客さんの中には、不揃いな空き瓶やタッパー、エコバッグを10個以上持ち込む人もいました。そう、今回の撮影のきっかけとなった「ごみを持ち帰らせない店」とは、包装や容器が全くないお店、ということでした。包装のビニールやパックなどの容器は、家に持ち帰るとすぐに「ごみ」になる、つまり一般的なお店では商品と同時に「ごみ」も持ち帰っているというメッセージなのです。僕には「包装 = ごみ」という発想はさすがになかったです。でも言われるとその通り。包装に関しては難しい問題ですが、「包装 = ごみ」という切り口は多くの人の心に届き、意識や行動を変えるきっかけになるのではないかと思います。

お店の方にもいろいろお話を伺いました。僕が一番気になっていることも聞いてみました。「日本では脱プラがなかなか進まない理由のひとつとして、プラスチックやビニール製品の製造者が職を失ってしまうという心配があるのですが、それについてはどう考えているのか」。答えは「たしかにそれも大きな課題ではあるけれど、このままプラスチックを使い続けるとそれよりも大きな問題が起きてしまう。だからプラスチック製品や包装を使わないという活動は進めるべき」。

みなさんはどう考えますか?

最後におまけで楽しい思い出も。ドイツから日本へ戻る際にもアムステルダム経由の便にしました。帰りは乗り換えだけじゃなく、1泊。あることをどうしても経験してみたかったからです。それは「ごみ拾い遊覧船」の乗船。アムステルダムは街中に運河が流れていて、多くの遊覧船が運航しています。その中のひとつに、運河に浮いているごみを拾いながら景色を楽しむという船があるのです。それを日本でネットで見つけ、予約していました。運河の美化につながるのですが、乗船は有料。3,000円払った上で、ごみも拾う。Mっ気たっぷりの設定に興奮したのを覚えています。手漕ぎボートくらいの大きさの船に4人で乗船し、それぞれ魚を救うような網を持たされます。船が走りながらごみをすくうので最初は失敗の連続ですが、みんなだんだん上手になっていき、ゲーム感覚で楽しめました。ごみで多かったのはお酒の瓶でしたが、中にはノートパソコンなんかもありました。夢中であっという間に2時間。ごみばかり見て、景色はほとんど楽しめず・・・。

次回は、ドイツでの衝撃パート2をお送りします。環境大国ドイツでは学校教育にも驚かされました。


SDGsおじさん 松井聡史/RKBテレビ制作部ディレクター

【現在】カメラやパソコンよりも土を触ってる時間の方が圧倒的に長いRKB農園部(自称)。最近の仕事は、生ごみのコンポスト、畑の水やり、除草作業、野菜の販売、そして時々、番組企画書の作成。RKBラジオよなおし堂ではレギュラーでコーナーを持ち、SDGsを発信している。

【経歴】東京で約10年間、映画監督大根仁監督(「モテキ」など)に師事し、監督としてのスキルではなく、「変わったことをしたがり」な性格だけを学ぶ。2018年、地元福岡でRKBミューズに入社。同年「柴咲コウのサステイナブルな旅」を担当し、一気に環境脳となり、今に至る。

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