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「働く大人」はつらいよ(前編)

人は本当に驚いた時、どんなリアクションをとるのか。ドッキリ番組にとって永遠のテーマだ。

目を見開く、声をあげる、体がのけぞる…。テレビでよく見る、記号化されたリアクション。はっきり言いましょう。これらは、真のリアルではない!
なぜか。人は本当に驚いた時、「ノーリアクション」だから。

去る3月18日、プロデューサーに突然呼び出された私。これはお叱りだろうなと、謝罪口上を考えていた矢先、こんな言葉が飛び込んできた。

「冨士原君、来週水曜日、『THE TIME,』の列島中継をやってもらいます」

青天の霹靂。MBS福島アナや、CBC若狭アナなど、各局のスターアナが担当する列島中継を…。プロデューサーの後ろではカメラが回っていた。おそらく、出川哲朗氏並みの「やばいよやばいよ」的なリアクションを期待していたのだろう。
ところがどっこい、私は微動だにせず、ただ一言、「はぁ」と間抜けな声を出しただけだった。

もうちょっとびっくりしろよ!と怒られながら、心の中で反論する。人は本当に驚くと、突然斬り伏せられたように、受け身も取れず呆然としてしまうのだ!と。
後ほどVTRでまとめられた「列島中継ホントドッキリ」には、私のつまらないノーリアクションが映っている。

そんなわけで、3月23日、念願だったTHE TIME,の列島中継を担当した。
「ニッポンの朝が見える」を合言葉に、全国のJNN各局と結ぶ列島リアルタイム中継。番組の目玉企画と言っていい。
2021年10月の番組開始以来、この列島中継を担当することが私の目標だった。当初の動機は単純。MCの安住紳一郎アナウンサーが、私にとって特別な存在だったからだ。

遡ること14年前。まだ10歳(こう見えて今24歳なのよ。ほほほ。)の時から、TBSの『ぴったんこカンカン』が大好きだった。その時ノリに乗っている芸能人が登場し、美味しそうな料理が次々に出てくる華やかな番組。

が、どちらかと言えば、私の興味の対象はその隣に立っている会社員…。そう、安住紳一郎アナであった。
泉ピン子さんのような大物の隣で、各地を飛び回り、エスコートし、時には道化になり、最後まで目の奥は笑っていない。当時小学生だった私が、「働く大人」を意識した最初の瞬間だった。
そこから、潜在的に「会社員=アナウンサー」の図式が出来上がり、気づけば就職活動でアナウンス職を選んでいた。つまり、安住紳一郎アナなくして、今の私はないのである。
その安住アナに、列島中継で恩返しをしたい!という勝手な思いがあったわけで、そこに来ての代打となった。

あ、ちなみにご覧いただけました?

テーマは「話題の早すぎる店」。久留米市のハンバーグ店ミスタージョージをご紹介した。30秒以内にハンバーグが出てくるというびっくりドッキリなお店だ。
休日に下見にも行った。ハンバーグに舌鼓を打ち、なぜ早いのかを取材し、店長の想いも聴いた。

さぁ、いよいよ本番。それほど熱の入った中継、その出来や如何に…。

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