薬院大通りから南公園へ上る坂道の浄水通りは、福岡市内屈指の高級住宅街として知られています。周辺にフレンチからイタリアン、日本料理まで、数多くの名店が集まる美食エリアで、2015年オープンした寿司店が「鮨 おかだ」です。
大将の岡田正人さんは関西の出身ながら、東京の江戸前寿司の店で長く修業をした料理人。築地の店を皮切りに西麻布や六本木といった都心の店で料理長を務めた後、「お客さんに誘われて福岡に来ました」と、新天地を求めて福岡・浄水通り近くに店を出しました。
料理は14,300円のおまかせコースのみ。多くの店では前菜や先付に始まり、刺身や焼き物、煮物などの後ににぎりが出るのが一般的ですが、「鮨 おかだ」では一品料理とにぎり数貫が交互に出てくる独自のスタイルで提供しています。
先付の後は白身のにぎりからで、この日の1貫目はアラからスタート。切り身の上には内臓を使った酒盗が乗せられています。「長浜市場から仕入れる魚を数日から10日ほど寝かせて熟成をかけています」といい、脂がのった地物のシマアジも数段ランクアップした妖艶な味わいです。
にぎりの合間に出てきた椀物は「若竹真丈」。真丈には白身の魚に卵白とほうれん草を練り混み、上品な味わいの出汁に、若布(ワカメ)、竹の子、菜の花、手毬麩を添えたなんとも春らしい一品でした。
炙ったカマスにはトビコと自家製梅肉が乗せられ、ボタンエビは腹身から取り出した鮮やかな緑色の卵に金箔で化粧が施されています。見た目も味のうちといいますが、それぞれに細工された彩りが美しく、一貫一貫が見目麗しい美人寿司です。
また、ボタンエビやホタテ、ウニなどは、北海道・釧路に近い厚岸漁港から直送されたもので、地物とはまた違った北海の味を楽しむことができます。
この日の焼き物は、「鯛のよしる焼き」。初めて聞く料理でしたが、「よしる」とはイワシを発酵させた魚醤のことで、オリーブオイルや柚子胡椒、すだちなどと漬け込んだ鯛をふんわりと焼き上げています。
にぎりはまだまだ続きます。ノドグロの炙りに振りかけられた「淡雪塩」は米粉と塩をプレスしたもので、その名のとおりフワフワとした雪のような食感。塩辛さよりも旨味を感じ、脂がのったノドグロを引き立ててくれます。マグロの中トロは、細工なしの直球勝負。赤酢に糸島の塩、キビ砂糖を使ったシャリとの相性が絶妙です。
コースの内容は仕入れ状況によって変わりますが、料理4品、にぎり12~14貫に汁物とデザートが付くのが標準的。この内容で15,000円アンダーは、かなりリーズナブルなお値打ち価格といえます。
カウンターのほか、ソファーのテーブル席と個室の小上がりもあるので、大切な方との会食や接待にもぴったりです。
ジャンル:寿司
住所:福岡市中央区薬院4-8-3 ARTK'S浄水1F
電話番号:092-534-1888
営業時間:17:00~OS23:00
定休日:不定
席数:カウンター8席、テーブル10席、小上がり4席
個室:なし
メニュー:おまかせコース14,300円(要予約)
URL:https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400104/40041192/
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