手作りした和紙を、小さくちぎってひとつひとつつなぎ合わせて作られた照明。制作したのは、鹿児島市で和紙デザイナーとして活躍する原口敬子さん(36)。
原口さんは、鹿児島の短大を卒業後、デンマークに留学し建築やデザインを学び、帰国後2011年に「薩摩和紙製作所」を立ち上げた。
鹿児島では、千年前からつくられてきたという記録がある和紙。原口さんは自らの手で原料の「楮(こうぞ)」を育て、唯一無二の「薩摩和紙」を作っている。
この和紙を小さくちぎり、細かいパーツをひとつひとつ丁寧に切り貼りしながら、立体を作りあげていく。
繊細で緻密な作業。ちりばめられた模様のモチーフは、葉っぱやミカンなど身近なものから着想をえている。
原口さんの作品作りの原点は、デンマーク留学での経験。中でも居心地のいい空間で仲間たちと楽しい時間を過ごす「ヒュッゲ」という文化は忘れられない。
「キャンドルや間接照明などのあたたかな空間の中で、大切な人たちと一緒にリラックスした時間を日本の伝統文化で創れないかと考えて、和紙にたどりついた」
星野リゾートが展開する「界霧島」やカフェ、酒屋などに飾られた原口さんの作品は、その場所をやわらかな明かりで包み込んでいる。「和紙でこんなこともできるんだという作品作りをしていきたい」と話す原口さん。
伝統に新しい息吹を吹き込む創造の世界を伝える。
取材先:薩摩和紙製作所
出演者:和紙デザイナー 原口敬子さん
住 所:鹿児島県鹿児島市鴨池1-12-20
E-mail:studio@satsumawashi.com
HP:http://satsumawashi.com
取材後記
和紙を手でちぎり、一枚一枚つなげて作品をつくる原口さん。
手仕事の美しさを再認識するとともに、職人としての情熱と和紙に対する愛情を感じました。
生け花や書道、武道など 海外でも人気の日本文化。
イタリアで毎年開催されている、国際家具見本市「ミラノサローネ」に出展したことから、外国からの発注もくるようになったそうです。
それでも、手仕事にこだわり『大切な人と過ごす空間をやわらかい光で包みたい』と、思いは変わらない原口さん。
和紙の可能性に挑戦する、原口さんの創作活動はこれからも続いていきます。
(MBC南日本放送 / 吉村 博徳)
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