飛躍的に進歩した「ドローン技術」駆使し 国交省の「航空隊」が災害現場で取り組む最新活動
ここ数年、ドローンの性能は飛躍的に進歩しています。国土交通省九州地方整備局のドローン隊が撮影した災害現場の映像は、防災や減災などに大きな役割を果たしています。
土砂崩れ現場の規模をデータで把握
2014年に発足した九地整UAV航空隊「BlueHawks」。隊員271人で、豪雨などの災害が発生した際に現地へいち早くかけつけて被災状況を撮影します。被害状況を把握し初期活動をスムーズに行えるようにするほか、崩れた斜面の全容を把握するための計測データを撮影するなど、デジタル技術を活かした取り組みも行われています。
「一番下の斜面崩落しているところまで、高さで約100メートルくらい」
これらの情報は、被災した自治体に提供されています。
発足した2014年に広島県で発生した豪雨災害では、国交省緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)として初めて派遣されるなど、数々の現場に出動。2016年の熊本地震では人命捜索活動にも参加し、重要な任務も果たしました。
3人以上でチームを構成 様々な災害で出動
2017年に福岡県や大分県を襲った九州北部豪雨。運用に携わる田畑浩規さんは「班長」として出動しました。
九地整災害対策マネジメント室 田畑浩規班長「事前にどのようなフライトをするか、自分たちの安全をどう担保するか、必ずやってから現地に行くようにしています」
派遣されるチームは3人以上で構成されます。撮影パイロットに指名されたのは九地整初の女性パイロット、平野礼さんです。離陸するとすぐに、濁流や崩壊した斜面が見えてきました。斜面から流出した土砂が川を塞いでいるのがわかります。さらに上流に進むと、土砂ダムとなって住宅地が浸水しています。
九地整河川部 平野礼調査係長「使命感みたいなところに支配されがちになるんですけども、『安全第一は忘れずに』とチームの中で何回も確認しながら撮影した」
映像が切れても… RKBカメラマンがドローン操作訓練
「BlueHawks」の飛行回数はこれまで1万回を数えますが、事故は一度もありません。8年間の飛行経験を持つ平野さんがゴーグルを着用して臨んでいるのは、モニターしている映像が突然切れた時に「ナビゲーターの指示だけで安全に帰還させる訓練」です。ナビゲーターは、地図やドローンの方向・高度などを把握して、パイロットに正確に伝える必要があります。
途中で映像が切れた後もドローンを飛行させたRKB青木周作カメラマン「不安になることなく、操作することができました」
九地整河川部 平野礼調査係長「チームワークが一番大切だと思っているので、チームで安全に飛ばせるパイロットになりたい」
ドローンから警告「川の中は危険ですので直ちに避難して」
遠隔操作で長距離を自動航行する実験です。25キロの距離を25分で飛行します。これまでのドローンに比べ約10倍の時間短縮となり、河川の巡視などへの活用が期待されています。
「ただいまより、ダムの放流を開始します」
今年度中にはドローンに「超指向性型スピーカー」を搭載し、避難を呼びかける試みも始める計画です。高速移動しながら危険な場所にいる人を見つけると、ドローンの速度を落として30~50メートルの距離まで接近し、危険を知らせます。
スピーカーからの音声「川の中は危険ですので、直ちに避難して下さい」
ここ数年で飛躍的に進歩したドローン技術を駆使した撮影部隊。その活動は、防災や減災、そして復興支援においても大きな役割を果たしていきます。
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