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マラソンのパリオリンピック代表選考会=MGCが今年10月15日に東京都で開催され上位2人に入れば、日本代表に内定します。最年長の39歳で出場するのがトヨタ自動車九州の今井正人選手。順天堂大学時代は、箱根駅伝の山のぼりの5区で大活躍し、圧倒的な走りから「山の神」という言葉が生まれました。トヨタ自動車九州に入り、世界陸上北京大会で日本代表に選ばれた際は髄膜炎にかかり無念の欠場。39歳となり「陸上人生のすべてを集結させて」MGCに臨みます。
活躍続きの“山の神”はまだオリンピックに出場したことがない
トヨタ自動車九州、今井正人選手。去年の大阪マラソンで6位に入り、パリオリンピックマラソン代表選考会=MGCの出場権を手にしました。今年で39歳、同世代の選手のほとんどが第一線から退くなか、マラソンという過酷な競技に挑み続けています。そのワケは・・・
今井正人選手「オリンピックという存在は大きいと思う。オリンピックのマラソンで勝負をする、その夢であったものが目標に変わって。その目標を達成できていないというのが、自分の力になっているのかなと思う」
大学時代から「山の神」と呼ばれ活躍を続けたものの、マラソンでオリンピックに出場したことはまだありません。2年前、今井選手はある決断を監督に伝えました。
今井選手「勝負するという強い意志を出すためにも、監督とも相談をして(翌年の)大阪マラソンの結果次第。自分は競技者としての人生を続けられるか、続けられないかを判断したいと思い、監督に伝えた」
監督の目に映る今井選手「オリンピックがやれていないから不完全燃焼」
指導する森下広一監督はバルセロナオリンピックで銀メダルを獲得した日本男子マラソン最後のメダリストです。
森下監督「いろんなものを身につけないと。自分の力だけじゃ代表に選ばれないし、自分の力だけじゃメダルもとれない。いろんな力、敵の力も利用しながら」
チームで17年走り続け、年の離れた後輩たちをつねに気にかける今井選手には特別な思いを持っています。
森下監督「本人が辞めるって言うまでやらせようと思っている。チームをしっかりまとめてくれるし。長くやりたいってみんな言うけど、やっぱり光るものがないとね。あいつにとって大きく光るものがオリンピックだっただけで。それがやれていないから不完全燃焼っていう形でね。おれのところ来たっていうのは、オリンピックに出たいという思いがあったから来たんだと思うし」
チームメイトは全員ひとまわり以上も年下、音楽で“ジェネレーションギャップ”
合宿中のバーベキューでは楽しいひとときを過ごしました。
改木悠真選手「オレンジレンジくらいだったら分かるんですけど、それより上になったら分からないです」
今井選手「ゆずとか、オレンジレンジとか、19(ジューク)とかね。19とか言っても分からないやろ?」
改木選手「19はわからないです」
チームメイトは全員ひとまわり以上年下ですが、今井選手はとっても仲良しです。
今井篤弥選手「困ったときにいろいろ話聞いてもらったりとか、導いてくれる人です。先生に近いかも」
横田玖磨選手「将来いつかは今井さんがチームを抜けるときがあるかもしれない。抜けたときはうちのチームどうなるんだろうってのはある。それくらい大きな存在」
今井選手「自分が後輩と話をするときは自分を戒めて言っていることが多い。言うからには自分にも責任がある。絶対見られているという意識をしっかり持たないといけない」
不屈のベテランは語る「すべての引き出しを出して納得のレースをしたい」
終わりの挨拶では、胸の奥にある気持ちをチームに伝えました。
今井選手「勝ちたい、ただただ勝ちたい。個人でも勝ちたいけど、ニューイヤー駅伝でも勝って・・・1番がとりたい。すごく思う」
8月に入り、MGCに向けた本格的な練習が始まりました。この日のメニューはたったひとりでの40キロ走。パリオリンピック出場をかけた戦いに向け、自分を追い込みます。
今井選手「自分自身これまでやってきた、実業団で言えば17年。高校からの陸上で言うと25年近い陸上人生。それのすべてを集結させて。すべての引き出しを出して。僕自身が納得するレースをしたい」
MGCまで残り2か月。不屈のベテランは、夢舞台を目指し走り続けます。
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