災害現場だけではない無人で動く重機がひらく未来 大学が実証実験を公開
AI=人工知能を使って無人で動く重機の開発が進んでいます。土木工事の現場だけでなく、災害現場、さらには月面での事業など、幅広い用途が期待されています。
自由自在に動く建設重機
九州大学で公開された実証実験。3トンほどの建設重機が同時に何台も動き回っています。ショベルカーやホイルローダーで土砂をすくい、運搬用のトラックに積み込んで所定の場所まで運んでいきます。
RKB 小畠健太記者
「土砂を運搬している建設重機ですが、運転席には誰も座っていません。実はこれAIロボットが自動で判断して動いているんです」
ぶつからないよう互いに制御
建設重機にはそれぞれAI:人工知能が搭載されていて互いにぶつからないように制御しながら作業します。こうした無人でも作業できる重機の開発は、国と国内の複数の大学が共同で行っているものです。
成蹊大学理工学部 竹囲年延准教授
「土砂の場所、大体ここら辺にあります、あそこらへんに捨てなさい、あとは自分たちで考えて、そんな感じですね」
時間の制約なし 24時間働きます
重機が故障した場合には、別の重機がカバーするなどより効率的に作業が進むよう人工知能が判断します。無人の重機なので危険な場所での作業も可能なうえ、時間の制約もありません。
成蹊大学理工学部 竹囲年延准教授
「24時間いつでも作業できる、時間が関係ないというのと、ライダー(レーザセンサ)を使っているので、夜でも光がいらないんですよね。夜中でも作業できます」
宇宙開発の分野でも期待
この無人重機の開発は国が挑戦的な研究を支援する「ムーンショットプロジェクト」の一環で、大雨による土砂崩れの現場など二次災害が発生するおそれがある場所で使用するだけではなく月面でのインフラ構築など宇宙開発での活用も目指しています。
東京大学大学院工学系研究科 永谷圭司特任教授
「いろいろな要素技術があるんですけども、災害対応というところに集約するだけではなくて、もっと一般的な土木工事の自動化・自律化に活用していく。実は生産性向上の話は5年以内になんとかしないと人手がいなくなっちゃうよという話になっていますので、そこに対する貢献も見据えてやっています」
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この記事を書いたひと
小畠健太
1983年生まれ、岡山県出身。2008年入社。「寄り添った取材」をモットーに10年以上取材に取り組む。3児の父 趣味は釣りと楽器演奏