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現在公開中!映画「禁じられた遊び」

<ストーリー>
伊原直人(重岡大毅)は愛する妻・美雪(ファーストサマーウイカ)や息子・春翔(正垣湊都)とともに幸せな生活を送っていた。しかし、ある日突然の悲劇が一家を襲い、美雪は帰らぬ人となってしまう。映像ディレクターの倉沢比呂子(橋本環奈)は、直人の家の庭で、土に向かって「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム」と唱える息子の異常な行動を目撃し、それ以降異常現象に見舞われることになる。息子が蘇らせた母は異形のモンスター美雪となって比呂子と直人に襲いかかる!果たして2人は生き延びることができるのか?

現在公開中の、橋本環奈×重岡大毅(ジャニーズWEST)による最強の恐怖が迫る体感型ホラーエンターテインメント「禁じられた遊び」。清水カルマによる同名小説を映画化した注目の最新ジャパニーズホラーです。 
 

本作のW主演をつとめるのは橋本環奈と重岡大毅(ジャニーズWEST)。そして2人を追い詰める最凶モンスター美雪を演じるのはファーストサマーウイカ。他にも長谷川忍(シソンヌ)やMEGUMI、清水ミチコなど曲者揃いの豪華キャストが集合し恐怖の物語を繰り広げます。


監督は、テレビドラマ「本当にあった怖い話」の初監督をつとめ、「女優霊」で映画監督デビュー。その後監督をつとめた「リング」が大ヒットし、ジャパーニーズホラーブームを巻き起こした中田秀夫監督。今回、来福した中田監督にインタビューすることができ、最新作「禁じられた遊び」について話を伺いました。 
 

©2023 映画『禁じられた遊び』製作委員会

――今回の怨霊である美雪というキャラクターは、怪しさと異形の美しさを兼ね備えてるキャラクターですが、美雪を演じたファーストサマーウイカさんへ、監督が指示されたことはなんでしょう?
 

©2023 映画『禁じられた遊び』製作委員会

 

中田「ウイカさんが演じた美雪は、怨霊ではあるけれども、実は何年も前から、生霊として比呂子(橋本環奈)を祟っているんです。夫の浮気相手なんじゃないかと比呂子に対して嫉妬の強い思いとともに出てくるドッペルゲンガーのような生霊ですね。その形があの白い少し伝統的な日本の女性の幽霊のようなもので、それが、比呂子の部屋や仕事場にも来ちゃう。
 

それから、映画の冒頭に亡くなっちゃって、その後息子の願いとともに、蘇る。蘇ってきた瞬間、なにかすごく美しいんですよ。母親あるいは妻として蘇ってくるんだけど、ガーデニングが好きだった美雪が植えていたバラのトゲや蔦、葉っぱや花びらを巻き込んで再生し、そこからモンスターバージョンの美雪が生まれます。
 

あのモンスター美雪はもう体の線がバチッと出る状態で演じてもらうことはオファーをさせていただく時点でウイカさんに理解はいただいてたし、彼女もそこは、何もいとわずやりますと言ってくれてモンスター美雪が生まれました。」

――美雪のキャラクターは、橋本環奈さんや重岡大毅さんを追い詰める役柄なんですが、女性の嫉妬の怖さというのを改めてちょっと感じました。この映画は橋本環奈さんやウイカさん、堀田さんなど女性の感情が特に表現されている映画だと感じたのですが、演技の指導やキャラクター作りで男性と女性で違う部分があったんでしょうか?
 

©2023 映画『禁じられた遊び』製作委員会

 

中田「僕が1998年に監督した映画『リング』では、主人公を原作の男性から女性に変えましたし、どちらかというと女性に感情移入して、映画を作るあるいは物語を語るっていうのが、好きなんだと思います。
 

男女どっちも均等にできるって監督もいれば、男の方が得意だという人もいますが、僕はそうやって3種類に分けると、女性に重心がぐっとあった方が本領発揮しやすいと自分でも思っています。
 

もちろん重岡くんと息子役の湊都くんにも指導というか、違うなと思ったことは遠慮せずに全て言いましたが、男性はあっさりやっているということではなく、ただ役を理解してくれていて、しっかり芝居してくれていたから問題なかったですね。
 

女優さんの方は同じようにしっかり芝居してくれるんですが、何か自分でもう少し追い込みたくなる傾向があるような気がしますね。」

――今回息子を演じた湊都くんの演技がとても素晴らしいなと感じました。両親に対する思いがとてもうまく表現されていていたのですが、子役の湊都くんには、特に演技を指示したり、キャラクター作ったりしたのでしょうか?
 

©2023 映画『禁じられた遊び』製作委員会

 

中田「昔から不思議なもので自分なりの理屈あるんですが、例えば『リング』、『仄暗い水の底から』といういわゆる僕のホラー作品の代表作も子供が重要な役で出てくるんです。ホラー映画って子供がしっかり大きな役をやった方が、単純にいうと怖く感じると思うんですよ。
 

それはおそらく、ここからは僕の理屈なんですが、生を受けるまでの無意識の状態から、人として生まれて生きてきた時間が大人と比べて短いと、その意識が、死の世界に大人より近いと思うんです。だから子供がじっと物言わず大人を見つめてると、なんだかドキッとさせられることがあって。昔から『オーメン』や『エクソシスト』だって主人公は子供だし。
 

今回、湊都くんは役柄からいっても、とても賢くなっちゃうんですよ。僕はセリフをしっかり覚えるということと、僕が言うことを理解できることを要求するんです。僕は子供用の言葉を使わないので、大人と接するように接します。湊都くんはそういう諸条件を全部クリアしていたし、あとは子役芝居にならないことっていうことですね。
 

実は重岡くんとウイカさんと、三人の芝居をリハーサルで何日かやったんですが、湊都くんは自分のセリフは全部入ってるんです。多分リハーサル前に入れてて。ただし、ちょっとだけ型にはまっているというか、子役芝居っぽかったんです。典型的な明るい子供が言う“お父さん”というか。
 

そうじゃなくて、普段湊都くんがお父さんお母さんに話しかけているつもりでやってほしいと伝えましたね。急にお父さんに歯向かう時はまた順を追って指示をして、トータル5、6時間ぐらいだったと思うんですけど、それぐらいのリハーサルで飲み込んでくれてたので、現場では何の心配もなかったですね。」
 

――橋本さんも重岡さんも表情の演技が素晴らしいなと感じました。2人の演技やキャラクター作り、特に表情についての指示はあったのでしょうか?
 

©2023 映画『禁じられた遊び』製作委員会
 

中田「重岡さんは10年以上ドラマや映画で活躍されてるのですが、ホラーは初めてだったみたいです。映画は息子役の湊都くんと奥様役のウイカさんとの普通で幸せな家庭からはじまり、息子がお母さんの指を庭に埋めて、もう日常からどんどん逸脱していき、どんどん奇妙なことが起きてくる。
 

これは今回に限らないんですけど、ホラー映画ってどうしてもこの世ならざるものたちを描いて、後で効果音や音楽を重ねて恐怖感や不安感をあおるので、日常のドラマとは違うしっかりした声の出し方とか、声を張ったり目をしっかり開いてということを繰り返してるんですね。
 

最初のリハーサルのときに重岡くんもうちょっと演技がくさくても舞台劇みたいと感じてもいいから、今はしっかり声を出して輪郭のはっきりしたシャープなメリハリがちゃんとある演技を、とお願いしました。
 

今の日本のドラマとか映画全部だとは思わないですが、今風の芝居ってどっちかというとちょっと内にこもった、なんていうか、振り幅やセリフの言い方が控えめなんです。笑うときも“ふふって笑う”とか、泣くときも”うつむくだけ”とか、大袈裟にしない方がかっこいいという傾向が少しあると思うんです。
 

重岡さんにホラー映画ではそれは考えなくていいと最初に説明した時は、戸惑った顔をしてたんですけど、湊都くんやウイカさん、環奈ちゃんとのリハーサルを経てクランクインまでに、僕が言ったことはもう腑に落ちてる感じでしたね。
 

重岡さんは普段からグループでの歌の活動とか、演技だけしてるわけじゃないんだけど、それもあってちょっとしたこの役に対して距離感あったと思うんです。でも、最後はすごく自分に落とし込んでくれましたね。
 

彼こそ、美雪さんがどんどん変容していくことに合わせて、芝居を大袈裟にやらなければいけなかったから大変だったと思うんですけど、そこはもう細かい注文はあんまり言わなかったような気がします。
 

©2023 映画『禁じられた遊び』製作委員会
 

日本映画って昔から縦に芝居を撮って細切れにしていくイメージで、アメリカ映画は横に全部ダーッと流してシーンを丸ごと引きで撮る。編集も楽だし今はシーンを丸ごと演じたいからと、アメリカ式を好む俳優さんが多いんですよ。
 

ブツギリされると感情の起伏が途中で切れてやりにくいと実際に言ってくる俳優さんもいたので、環奈ちゃんにどっちがやりやすいか聞いたんですよ。とても若い世代だからひょっとして、今風で撮って欲しいかなと思って。
 

そしたら“どちらも大丈夫です”って軽く言われて、この人は達者な人なんだなと思いました。そのとき橋本環奈って職人というかプロフェッショナルでこのときの比呂子はこういう表現をとるだろうってことが、あまり細かく考えなくても、自分の中にもう、あのすぐ体現できる人だと思いました。
 

『セーラー服と機関銃』など、10代半ばで主演映画がある人なので元々センスがすごく高い人だと思うんですけど、まだ20代なのに経験値が十分ある人だから、リハーサルとその“どっちも大丈夫です”っていう会話で僕は実はもう大丈夫だなと思ったんです。
 

僕と現場で、あんまり困ったってお互い首ひねるみたいなことなくて済むなと思ったんですよね。馬があうというか、実際そうでした。」
 

――ホラー作品のファンは九州・福岡が多いという話もあるようなのですが、九州・福岡のホラーファンに向けてメッセージをお願いします。
 

 

中田「僕は岡山出身なので、九州・福岡に比較的親近感があるんですが、高校のときの修学旅行で九州をまわらせてもらったし。今回は10年ぶりぐらいに映画のプロモーションで九州にこれて、すごく嬉しいです。
 

風土的にも、ひょっとしたらまだホラーネタが眠っているかもしれないエリアなので、九州を題材に、ホラー映画の企画とかちょっと練ってみたいと思います(笑)。皆さんにそれを楽しんでいただけることを夢に、今回はこの記事を見て、まずは映画『禁じられた遊び』をぜひお楽しみいただければと思います。」


数々のジャパニーズホラーを生み出してきた中田秀夫監督が挑む最新作「禁じられた遊び」は、期待を裏切らない恐怖体験が味わえることはもちろん、脇を固める曲者役者たちの真剣な演技が少し笑えてしまうなど、最凶に楽しめるジャパニースエンターテイメントホラーです。また、モンスターなのに美しい、ファーストサマーウイカさん演じる美雪の美しさと迫力も必見。この恐怖体験をぜひ映画館で!

「禁じられた遊び」
監督:中田秀夫
原作:清水カルマ「禁じられた遊び」
出演:橋本環奈、重岡大毅(ジャニーズWEST)、堀田真由、倉悠貴、正垣湊都、猪塚健太、MEGUMI、清水ミチコ、長谷川忍(シソンヌ)、ファーストサマーウイカ 他
 

©2023 映画『禁じられた遊び』製作委員会

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この記事を書いたひと

山内亜紀子

福岡の情報誌とWEBメディアにて編集・ライターを勤めた後、現在フリーの広報、ライターとして主に映画、グルメ、旅行、イベント等のコラムを執筆中。