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打撲やねんざの回復を早め、あざを残さないための漢方薬の使用法

大賀薬局

偶然に体の一部をどこかに強くぶつけてしまい、腫れや痛みがなかなか引かず、辛い思いをした経験、皆さんも一度はお持ちではないでしょうか。
 

加えて、皮下出血によるあざが徐々に濃く浮き出し、一向に消える気配がなかったりすれば、このまま跡になってしまうのではと、さらに不安が募ることと思われます。
 

そんな時は「漢方薬」の内服が、患部の腫れや痛みの緩和、組織の修復などに優れた効果を発揮してくれます。

"回復を早める漢方薬"を状況別にご紹介

東洋医学では、内出血のように非生理的に体に溜まったり、流れが滞った血液を「瘀血」という概念で捉え、〝駆瘀血剤″と言われる処方を中心に、この瘀血を取り除き傷ついた組織の修復を促していきます。


その代表的なものを、いくつか紹介してみたいと思います。
 

『治打撲一方』

打撲やねんざ等の治療の分野において最もよく知られている漢方薬の一つで、日本で戦国時代に軍医たちが考案し、江戸時代に整理され現在の処方内容に至りました。
 

七つの配合生薬の組み合わせにより、内出血を吸収して老廃物を排出し、痛みや炎症を鎮め、傷ついた組織を修復して血流の改善をはかります。
 

また、治打撲一方は、外的処置後の経過が思わしくない時に、打撲後にしばらくしてから追加で飲み始めた場合でも、十分に効果が期待できる処方です。
 

ただ、配合生薬の一つである「丁子」には、〝ヒゲナミン″というドーピングに引っかかる物質が含まれているため、アスリートの打撲などには使用が控えられています。

『通導散』

打撲してすぐの時や、内出血がひどい時によく用いられる処方です。


通導散は、便秘にも頻用されている漢方なのですが、打撲に使う際は、内出血で滞った瘀血を瀉下して少しでも早く排出させて、患部の回復を促してくれます。(同じような考え方による、打撲直後の処方に「桃核承気湯」という漢方薬もあります)


また瘀血があると、エネルギーの流れも滞って「気滞」という状態が生じるため、気の巡りもよくする厚朴、枳実、陳皮の「理気剤」を配合し、打撲での気血の停滞を改善へ導きます。

『桂枝茯苓丸』

打撲時などに、市販で容易に手に入れることができる、ファーストチョイスの漢方薬です。


パッケージの表書には、女性の婦人科系のことが中心に書いてあるものがほとんどですが、優れた駆瘀血効果のある生薬を組み合わせた処方です。


配合生薬の「牡丹皮」や「桃仁」が、血液が固まって血栓ができるのを防ぎ、軽い打撲なら、体の比較的浅くやわらかい部分を中心に、腫れをすばやく改善してくれます。


さらに桂枝茯苓丸には、長期連用などで副作用が懸念される「甘草」や「大黄」等も入っていないので、他剤との併用も含め、わりと幅広く継続して使用することができます。

『田七人参』

田七人参は、栽培、収穫、出荷に3年~7年を要するため、別名「三七人参」とも呼ばれており、〝止血″という高麗人参とは異なる効果を持ち合わせた人参です。


内出血の広がりを止めつつ、体への再吸収を促し、滞って流れにくくなった血流を改善して、痛みや炎症を鎮めてくれます。


血流も良くして止血も行う、漢方ではとても希少な生薬として取り扱われています。

『五苓散』

最近では主に頭部の打撲後に起こりやすく、脳を包む硬膜と脳の間に、血液を含む液体が徐々に溜まって脳を圧迫する「硬膜下血腫」の予防や改善に、医療の現場でも広く認知され使われるようになってきました。


この硬膜下血腫は、打撲の後にかなり経ってから、頭痛や意識障害を起こすこともあるため、頭をぶつけたらすぐに五苓散を飲んでおくと重症化が予防できてよいでしょう。


また五苓散は、体の様々な箇所のむくみを緩和してくれるので、他の漢方薬とも上手に併用して使うことで、頭部以外の打撲による腫れやむくみにも十分な効果が期待できます。

ケロイド状に残った跡に効果的な漢方薬

この他にも、打撲の傷跡が赤く盛り上がり、ケロイド状に残ってしまった時には「柴苓湯」という漢方薬を服用してみるのもおすすめです。


長く経過してしまうと、治療には医療用の内服薬や手術が必要になりますが「柴苓湯」は、ケロイド状に跡を残した体内の繊維芽細胞の異常な増殖や炎症を抑制し、浮腫を改善する効果が報告されています。
 

飲んで体感した漢方薬の効果とメリット

打撲に関しては私自身も、まだ学生の頃に、額を強くぶつけて帽子も被れないほどの大きなたんこぶができたことがあり、1日中冷やして徐々に腫れが引いてきたので、そのまま病院にも行かず放置していたら、それ以後数年にわたって、その部分を押すとつねに痛みが走るという苦い経験がありました。


もしその頃に、こうした漢方薬のことを知っていて、すぐに飲んでいれば、打撲後の経過もずいぶん違っていたのではと、今でもよく考えたりします。



そうした過去を教訓に、最近では、同じ高さの同じ所に、何度か足をぶつけてしまうことがあったため、状況に合わせて漢方薬を服用してみたところ、明らかに、腫れの引きも早く、痛みも長びかず、あざも数日で消失するという体感を得ることができました。

やはり打撲やねんざをしてしまった際には、外からの処置に加え、漢方薬を内服することが、たいへん効果的だと思われます。


なおかつ、持病がある方や高齢者など、鎮痛・解熱・消炎剤が連用しづらい人にも、比較的安心して服用ができることも、漢方薬の大きなメリットの1つだと考えます。


しかしながらそれでも、強い打撲や激しいねんざの時は、まずはすぐに病院へ行くべきですし、たとえ軽い打撲の時であっても、長い間あざが消えなかったり、腫れや痛みがなかなか改善しない場合は、血液の病気などが潜んでいることも十分に考えられますので、ちゃんと病院で対処をしてもらって下さいね。

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この記事を書いたひと

大賀薬局

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福岡市博多区に本社を置き、ドラッグストア、調剤薬局などを展開する。創業、明治35年(西暦1902年) 。健康に関する様々なコラムを展開しています。