料理と切っても切れない関係の器。お気に入りの器があるだけで、料理をすることや誰かをもてなすことがより一層楽しくなるものです。作家ものや民芸、アンティーク、世界各国の器まで、収納場所に困るほど器を集めてしまうライターの森脇美奈さんが、こだわりのセレクトが光るお店を紹介していきます。
9月も後半にさしかかり、やっと秋の訪れを感じられるようになってきました。暮らしにも季節に合ったアイテムを取り入れたくなりますね。そこで今回は中央区今泉にある「GOUACHE FUKUOKA」を訪れました。
今泉の路地裏に建つ、白い外観が目を引く一軒家ショップ。店名の「ガッシュ」にはフランス語で絵の具という意味があり、“人の数だけカラーがあり豊かさがある”をコンセプトに、デイリーウエアや暮らしのアイテムを扱っています。
1階にはレディス、2階はメンズの洋服や服飾雑貨、アクセサリーなどが並んでいます。国内ブランドのセレクト商品が中心ですが、なかには「ガッシュ」オリジナルアイテムも。器を見に来たつもりが、素敵な洋服も多く、ついつい気になるものに手が伸びます。シンプルでありながら素材やデザインにひと工夫あるものが多く、いまの気分にぴったりです。
そして1階の一角には充実の器コーナーがあります。こちらで主に扱っているのは、九州の民藝の器。深い色合いや素朴な形など、どこか温かみを感じる器はこれからの季節に活躍しそうです。訪れた時は、今年で8回目を迎えた夏の恒例展示、井上尚之さん、坂本創さん、太田潤さんの「三人展」がちょうど終わった時期で、店内には引き続き作品が並べられていました。みなさんとても人気の作家なので、一度にこれだけの作品を見られるのがうれしいですね。
長年アパレル業界に携わっているオーナーが民藝の器に魅せられたきっかけが、熊本県・小代焼「ふもと窯」の井上尚之さんの作品。最初に手に取ったカップの使い心地や造形のよさに惹かれ、次々とアイテムが増えていったそうです。その後、店舗で扱うようになり交流を深めるにつれ、井上さんと関わりのある作家と繋がり、現在のラインナップに至ります。
夏の「三人展」と同様に、年末の恒例展示となっているのが、小代焼「瑞穂窯」の福田るいさんの作品展。福田さんの器は、和と洋そして新と旧どちらの表情も併せもつところが魅力で、私もお皿を愛用しています。
今回は、「三人展」の作家さんから気になった商品を選びました。まずは熊本県・小代焼「ふもと窯」の井上尚之さんから。左から右回りに「スリップ楕円鉢(大)」(6,930円)、「スリップ角皿(特小)」(1,760円)、「スリップ五寸皿」(2,200円)。福岡県・小石原焼の太田哲三さんに師事し、ふもと窯に戻ったあとイギリスの伝統的な技法・スリップウェアを独自にアレンジした器が全国的に評判を呼び、人気を集めている井上さん。同じものはふたつとない伸びやかな模様や、伝統的でありながらモダンな印象に心惹かれます。
大分県・小鹿田焼「坂本工窯」の坂本創さんは、一子相伝で伝わる技法を受け継ぎつつ新しい試みに挑み続ける作家さん。若い頃から注目を集めていて私も窯を訪れたことがあったのですが、久しぶりに手に取った作品はまた違う印象で新鮮さを感じました。伝統技法の指描きや飛び鉋も力強く、ダイナミックです。左から「七寸深皿」(4,180円)、「七寸皿」(3,300円)
こちらは福岡県・東峰村に工房を構えるガラス作家、太田潤さんの作品。手前から「鉢」(各2,420円)、「グラス」(各2,640円)。廃瓶を使った手吹き技法ならではのおおらかな造形が魅力です。同じ種類の器でも、並べて見ると少し色味が違っていたりするのも再生ガラスならではですね。
器も洋服も、飾らない佇まいでありながらセンスを感じるものばかりが集まる「GOUACHE FUKUOKA」。確かな審美眼で選ばれたアイテムは、長く暮らしを彩ってくれそうです。
GOUACHE FUKUOKA(ガッシュ フクオカ)
福岡市中央区今泉1-19-8
092-791-7555
ジャンル:物販店
住所:福岡県福岡市中央区今泉1-19-8
電話番号:092-791-7555
営業時間:11:00~20:00
定休日:不定
URL: http://gouachefukuoka.com/
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