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4つの市民襲撃事件で殺人の罪などに問われ、1審で死刑判決を受けた特定危険指定暴力団・工藤会のトップで総裁の野村悟被告(76)と、無期懲役の判決を受けたナンバー2で会長の田上不美夫被告(67)の控訴審が、13日午前10時から福岡高裁で始まりました。1審では両被告とも全面無罪を主張していましたが、控訴審では一転して田上被告が一部で犯行を指示したことを認めました。検察側は控訴棄却を求めています。
福岡高裁周辺は厳重な警備態勢
福岡高裁の敷地内やその周辺は、朝から警察や裁判所関係者による厳重な警備が敷かれ、物々しい雰囲気に包まれています。 午前9時から行われた傍聴席の抽選には、58席の枠に対し385人が並びました。
1審ではトップに死刑判決
控訴審の初公判を迎えた特定危険指定暴力団・工藤会のトップで総裁の野村悟被告とナンバー2の田上不美夫被告は、4つの事件に関与したとして、殺人などの罪に問われています。
1998年に漁協の元組合長が射殺された事件。
2つ目が、2012年に起きた元警部銃撃事件。暴力団捜査を担当していた福岡県警の元警部が銃撃されました。
そして3つ目が野村被告が通っていたクリニックの看護師が刺された事件(2013年)。施術中の看護師の発言に不満を感じていた野村被告が指示したとされています。
そして、元漁協組合長の孫にあたる歯科医師が刺された事件(2014年)です。
1審ではトップに死刑判決
2019年10月から始まった1審の福岡地裁では、「配下の組員が勝手にやったこと」として両被告とも全面的に無罪を主張していましたが、福岡地裁は「野村被告が首謀者、あるいは指示命令があった」と認定し、野村被告に死刑、田上被告に無期懲役の判決を下しました。判決が言い渡された際、野村被告は裁判長に対し「生涯後悔するぞ」と発言しています。
新弁護団で控訴審に臨む
両被告は判決後に弁護人を全員解任。過去に著名事件を担当した弁護士を主任弁護人に迎え、控訴審に臨んでいます。
ナンバー2が2事件で主張変更 「無関係な野村被告を巻き込んだ」
13日の午前10時から福岡高裁で開かれた控訴審で、ナンバー2の田上被告は、4つの事件のうち、看護師刺傷事件と歯科医師刺傷事件で、「野村被告に連絡せず、組員に犯行を指示した」と関与を認める主張に転じました。野村被告については、1審と同じく無罪を主張しています。田上被告は主張を一転させた理由について、「無関係な野村被告を巻き込み、有罪とされる事態に直面し、不徳を恥じた」と説明しました。一方で、「ちょこっと刺してやれ、大事にはするなよ」と組員に指示したとして殺意は否認しました。
元漁協組合長射殺事件で「実行犯」も主張くつがえす
元漁協組合長射殺事件については、野村被告、田上被告とも一審と同様に無罪を主張しましたが、13日の法廷では、新たに、実行犯として判決が確定している中村数年受刑者が証言台に立ち、「(殺害したのは)組合長が約束を守らなかったから。個人的な事件」だと述べました。1審では一貫して組合長の殺害を否認していた中村受刑者も、主張をくつがえした形です。今回一転認めた理由について弁護側にきかれると、「関係のない会長と総裁が事件の主犯のように言われるからです。申し訳ないと思っています」と述べました。
実行犯に入れ墨について質問した検察側「供述は信用できない」
一方、検察側は「中村は自分の裁判で実行犯であることを否認し別人を実行犯と名指しするなど、ほかの証拠と整合しない」「供述は信用できない。野村に忠誠心があり、野村の刑事責任を免れさせようと虚偽の供述をする動機がある」などと主張しています。
中村受刑者への反対尋問では、検察側が、体にある入れ墨について尋ねる場面もありました。
検察官 :野村悟の氏名の入れ墨をいれてますよね?
中村受刑者:はい
検察官 :なぜ?
中村受刑者:好きだからです
検察官 :今でもいれてますか?
中村受刑者:そうです
法廷階の立ち入りや所持品を制限
福岡高裁は、この事件の公判について、「事件の特殊性と来場者の安全確保」を理由として、1審の福岡地裁を上回る警備態勢を敷いています。法廷がある10階には、傍聴券があたった人と限られた報道関係者しか立ち入ることを許さないほか、法廷前で所持品検査を行い、携帯電話やパソコン、ライターなどは持ち込みそのものを禁じています。廷内には8人の警察官が入りました。また被告人らと傍聴席の間には高さ2メートルほどの透明な板が設置されています。
次回公判は9月27日
次回は、9月27日午前10時から開かれ、野村被告と田上被告の被告人質問が行われる予定です。
工藤会トップ、ナンバー2の控訴審
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