日産硬式野球部が業績低迷による休止の憂き目から15年ぶりに“復活”「気合いが違う」の声も
日産自動車九州の硬式野球部が来年から15年ぶりに活動を再開します。休部をした時にOBなどが作ったクラブチームが野球部になる予定で、地域の活性化にも期待が高まっています。
リーマンショックのあおりで2009年に活動休止していた
グラウンドに響く力強い打球音。福岡県苅田町にある社会人野球のクラブチーム「苅田ビクトリーズ」です。今月12日、大手自動車メーカーの日産は、このチームを来年から「日産自動車九州硬式野球部」として活動を再開すると発表しました。
苅田ビクトリーズ・東哲寛キャプテン「(Q一報を聞いた気持ちは?)嬉しかったですね。日産自動車九州という形で戦えるのは誇りに思うので、野球をする上でモチベーションが全然違うと思います」
1986年に、日産自動車九州工場の硬式野球部として創部した日産九州野球部、都市対抗野球に6回、日本選手権に9回出場した強豪です。しかし、リーマンショックによる業績の低迷を受けて、2009年に活動を休止。その後、野球部のOBが中心となって立ち上げた「苅田ビクトリーズ」として再出発していました。今回、日産は、「従業員の意識改革と一体感を醸成する」としてこのチームを野球部として復活させます。
野球部の復活で町の景気も上向く?
「悪くない、悪くない!」と選手にアドバイスをするのは、「苅田ビクトリーズ」の発足から14年間チームを支えてきた植山文彦監督です。高校を卒業して「日産九州野球部」に入り、選手として15年間活躍しました。
植山監督「(野球部復活という)夢目標に向かってずっと私も続けてきましたので、やった、嬉しい、正直それしかなかったですね」「わくわくしますねハハハ」
RKB浅上旺太郎「日産の野球部の復活にチームだけではなく街の人も期待をしています」
「苅田ビクトリーズ」がよく利用する居酒屋です。野球部になることで会社の士気が上がり、町全体の景気が上向くことを期待しています。
無名亭・杉原秀樹店主「休部になったときの寂しさは地元であったので、どんどん勝ってもらって、できればプロ野球に行くような選手でも出てもらうと。地元もすごいにぎわうんじゃないかと思います」
普段は会社員、運営費の企業負担で野球に集中しやすい環境へ
「苅田ビクトリーズ」に所属する選手は全員、会社員と野球選手の「二刀流」です。キャプテンの東選手は車の部品を製造する会社で商品の品質を守る業務を担当しています。
キャプテン・東選手「周りの細かいところまで見るじゃないですか。ピッチャーの動きとかここ変化球かもなとか、目で見て気づくことは野球につながると思う」
日産の野球部になることで最も大きく変わるのが練習時間です。現在は、仕事が終わる夜から練習を始めていますが、勤務を調整すれば昼からの練習も可能になります。また、これまで後援会の会費でまかなっていたチームの運営費も、今後は会社が持つことでより野球に集中しやすい環境になる見込みです。
「苅田ビクトリーズ」として全国を目指す最後の大会、日本選手権の九州予選が20日、開幕しました。初戦の相手は、熊本の「鮮ど市場」です。試合は1回、キャプテン・東選手のバットで先制し、その後も連打で得点を重ねます。
応援する人「なんかちょっと気合いが違うんじゃない、みんな」「(Qいつもこんな試合展開?)初めて見ました。気合いが違うでしょうね」
5回、満塁のチャンスで5番・末石選手。ダメ押しの満塁ホームラン!
応援する人「来年以降、日産自動車九州に戻るという力強い“励み”があったから、選手もやりがいが今まで以上にでているんじゃないかと」
17安打13得点の猛攻、7回コールドで1回戦を突破しました。
キャプテン・東選手「ビクトリーズが最後という意識がみんなにあって、一体感あって声を出してやっていたので雰囲気も良かった。一戦一戦頑張ります」
植山監督「今までにないような選手の頑張りというか僕もびっくりしています。チーム目標は全国大会出場なのでまだチャンスがあるので精一杯頑張ります」
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