ひと昔前とは違い、いまや東京・大阪から上陸する飲食店は実力派揃い。そんななか、またも福岡の食いしん坊を歓喜させる店が現れました。
9月14日、那珂川沿いにオープンした「神戸焼肉かんてき」は、東京・神奈川ではかなり知られた存在。初代店主が構えた神戸の焼肉屋を、二代目が引き継ぐと予約困難な超人気店になりました。この春吉店はグループ6軒目で、関東圏外に進出した1号店です。
さっそく伺った店内は、シンプルモダンでクールな表情。カウンターとテーブル席を備え、窓の向こうにはキャナルシティ博多のネオンも見えます。
「いずれ、この素敵な空間を活かしたイベントも仕掛けたいですね」と言うのは大山大鐘さん。昨夏東区馬出にオープンした「焼肉ホルモン人生 大ちゃん」の店主で、過去には東京の「かんてき」本店で店長も務めた肉のエキスパートです。今回はその手腕を買われ、春吉店のプロデューサーを任されているとか。
「かんてき 春吉店」は、その「大ちゃん」に続く福岡2番目の〈但馬牛〉専門焼肉店となります。純血種の但馬牛は全国で引く手あまたの最高級銘柄牛ですが、まさにここがポイント。「かんてき」をVIPや芸能人も愛する店に躍進させた最大の理由なんです。
兵庫・但馬地区で肥育される但馬牛は、人間の体温より融点が低いことでトロリとした舌触りを持ち、胃もたれしにくく、旨味を高める不飽和脂肪酸も豊富。大山さん曰く「不飽和脂肪酸には血中コレステロールを下げる働きもあり、美味&ヘルシーな理想の牛肉です」
加えて、兵庫・太田牧場から肉質柔らかな3歳未満の雌牛だけを一頭買いするため、希少部位も他店が羨む充実ぶり。牧場との直接取引により値段を抑え、究極品質の焼肉をカジュアルに味わえるのだから、「かんてき」が予約困難店となった経緯も頷けます。
そんな但馬牛の魅力をたっぷり詰めこんだイチオシが「かんてき盛り」(1人前4,290円、写真は2人前)です。注文後に1枚ずつ手切りする、その日最高の希少部位を集めた贅沢メニュー。今日はクリミ、ミスジ、イチボ、ランプ、トウガラシ、マルカワ、ホルモン3種という肉好き垂涎の内容でした。
部位ごとに個性は違っても、一口ごとに柔らかな衝撃が走るうまさは同じ。自然で濃厚な甘味と香り、噂に違わぬとろける食感、そして軽やかな余韻には九州産和牛にない力を感じます。いくら食べてもスルッと胃に入る滑らかさも心地よし!
味付けは塩かタレが選べますが、お勧めはタレです。何年も継ぎ足し続ける秘伝のタレで、肉本来の繊細な味を邪魔せず、しかも美味しさを優雅に倍増させる秀作でした。
そんなめくるめく“肉祭り”の後は、恐るべき鮮度のホルモンに感嘆が漏れます。厚切りか薄切りが選べるハラミ・サガリ・タンや、店屈指の人気を誇る「黄金レバ焼き」(1,408円)もぜひモノですが、僕のお気に入りは「いろいろ生ホルモン韓国風酢味噌味」(1,980円)。
センマイ・ハツ・ツラミ・ウルテ・ハチノスを、甘辛い自家製タレをまぶして頬張ると、コリッ、フワッ、カリカリ、モッチリと、ひと噛みごとに極彩色の食感が弾けます。なんとも混沌めいた快楽ですが、これも素材への確かな目利きあってこそなんですよね。
そして、最後のシメは「かんてきTKG」(660円)をオーダー。羽釜炊きのご飯に焼肉のタレをかけ、生卵・コチュジャン・韓国海苔などを乗せた香り高き一杯は、期待通り箸の止まらぬうまさでした。本当に、どの料理も隙のない完成度です。
「でも、それだけがこの店の魅力じゃないですよ」と大山さん。「素材のカット技術や接客スキルなど、常に切磋琢磨し続けるスタッフが〈かんてき〉の価値を生んでいるのだと僕は思います。美味しい食事の中で、みんなの熱いプロ意識を感じて欲しいですね」と胸を張りました。
そういえば、外の看板には屋号とともに「和牛命」の文字が。その一言に賭ける本気度は、ここの焼肉を知れば一“食”瞭然でしょう。福岡焼肉界のレベルを一段上げてくれそうな、新たな名物店の爆誕です!
神戸焼肉かんてき 春吉店
福岡市中央区春吉3-16-41 RAGAZZA春吉2F
092-707-2629
ジャンル:焼肉・ホルモン焼き
住所:福岡市中央区春吉3-16-41 RAGAZZA春吉2F
電話番号:092-707-2629
営業時間:17:00~OS24:00
定休日:不定
席数:カウンター4席、テーブル24席
個室:なし
メニュー:かんてき盛り(1人前)4,290円、いろいろ生ホルモン韓国風酢味噌味1,980円、かんてきTKG660円、黄金レバ焼き1,408円、神戸長田タン2,200円、黒毛和牛ユッケジャンスープ1,100円
URL:https://www.instagram.com/kobe_yakiniku_kantekifukuoka/
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