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うまい魚に酒、シメは熱々の塩むすび!名店の流れを汲む酒場が白金に誕生

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平尾駅にもほど近い白金の角地に、ポツリと灯る赤提灯。白い暖簾をくぐった先には、こぢんまりと、それでいて居心地の良さそうなカウンター席が据えられていました。上機嫌でお酒を楽しむ年配の男性や、おでんをつつくカップル、常連と思しき一人客の姿もあり、この店が新店であることをすっかり忘れてしまいそうです――。

白金 酒呑場味 店内

今回お邪魔したのは、今年の9月15日にオープンした「酒呑場味(しゅてんばみ)」。お酒に合う魚料理が自慢で、深夜3時まで営業している小料理酒場です。店を営むのは、16歳で料理の世界に飛び込んだという店主の水野拓さん。まだ33歳という若さながら、新店とは思えない安定感があるのはしっかりとした下地があるからなのでしょう。こだわりや思いを伺いながら、おすすめの一品をいただくことにしました。

白金 酒呑場味 とろたく

まずは「酒呑場味」の定番として必ずメニューに出しているという「とろたく」を注文しました。価格は800円と値ごろだし、ねぎとろのように叩いたトロを想像していたのですが、出てきてびっくり! お寿司屋さんも顔負けの質のいい大トロがたっぷりと盛り付けられていました。「僕の先輩が対馬で本マグロの養殖をしていて、そこから30キロクラスの本マグロを1本買いしているんです」と水野さん。対馬の養殖本マグロはサバなどの良質な餌をたっぷりと食べているので本当に味がいいんですよね。細切りのたくあんと共に、パリッと香りの良い有明海苔に巻いて味わえばもうたまりません。

白金 酒呑場味 魚料理

続いてのおすすめは「魚のねぎ間串」(1本400円)で、この日は厚みのあるブリでした。表面は香ばしく身はしっとりジューシーで、焼き加減も完璧です。魚料理はその他、塩焼き、天ぷらといった素材を活かしたシンプルなものから、身をふっくらと揚げた「鰆と豆腐揚げ出汁」や「海鮮湯葉ロール」(各1,000円)といった手の込んだものまで揃っており、ついつい目移りしてしまいます。聞けば魚は「博多トロバコ」を手掛ける「g-life(ジーライフ)」から仕入れているそう。5種類ほどのネタを盛る「刺身盛り合わせ」(1人前1,500円~)も、どおりで魚の質が良いはずですね。

白金 酒呑場味 日本酒

季節ごとに選ぶ日本酒は10種類以上あり、フランスをメインに選んでいるというワイン(1杯700円~)も好みでした。警固にある「お茶の栗原園」の八女・深蒸し煎茶や和紅茶を甲類焼酎に漬けたオリジナルの「八女緑茶ハイ」と「奥八女和紅茶ハイ」(各600円)も人気だそうです。あれこれ飲みたくなるお酒が揃っているのも嬉しいなぁ。

白金 酒呑場味 手羽唐

また、魚料理推しのお店ですが、お酒が進む肉料理もありますよ。中でも、一夜干しした手羽を揚げる「手羽唐」(2本300円)は是非もの! 表面を乾かし余分な水分を抜くことで、皮はパリッ、身は肉汁が滴るほどにプリプリです。
そして、この「手羽唐」とタイトルの「塩むすび」でピンときた方がいらっしゃるかもしれません。そう、水野さんは春吉にある「お料理 山乃口」の出身です。「山乃口」といえば、伝説の和食店「たらふくまんま」で腕を磨き、「炉ばた雷橋」「炉ばた 三光橋」でその手腕を振るった山之口寛さんが手掛ける、福岡屈指の人気店。「山乃口」に出合うまでのことを、水野さんはこう話してくれました。

白金 酒呑場味

「母が女手一つで育ててくれたこともあり、子供の頃から姉と料理を作るのが好きでした。中学生の時、母が仲居として働く日本料理店『浄水茶寮』に職場体験へ行ったことが料理人を目指す一番のきっかけになりました。料理人に憧れ、16歳で『兼平鮮魚店』に入社して魚の仕入れや扱いを学び、その後もっと広い世界を見たいと20歳を過ぎて上京。そこから10年、様々な飲食店の立ち上げも経験して、いよいよ福岡に戻って独立したいと思った時、『山乃口』に出合ったんです。“自分の理想はコレだ!独立前にどうしても働かせてもらいたい!”そう思いお願いしたところ、大将(山之口さん)は快く受け入れてくれ、約1年半みっちり学ばさせていただきました。この塩むすびも感動した逸品の一つ。『お前は握れるけん、やれ!』と言ってくれて、ありがたくメニューに加えています」。水野さんはそう言うと、土鍋で炊き上がったばかりのご飯を手に取り、手際よく握り出しました。

白金 酒呑場味 塩むすび

“蒸らしナシ”という、とんでもなく熱い炊きたてのご飯を握るのがこの「塩むすび」(300円)の特徴。注文ごとにご飯を炊くので15分ほど時間がかかりますが、何と1個からでも握ってくれます。米は粘り気と香りの良い熊本県産のミルキークイーン。手を真っ赤にしながらも笑顔で握る水野さんに感謝しつつ、勢いよくかぶりつけば、声にならない声が漏れます。うまい、うますぎる~。
そしてさらに、魚のアラでとった出汁が効いた「味噌汁」(250円)にも感激。素材を大切にしていること、丁寧に作られていることが一口で伝わりました。臭みは一切なく、裏ごしてあるので骨や身のざらつきもなし。魚のきれいな旨味だけが舌に広がり、実に美味しいです。

白金 酒呑場味 外観

あれこれ食べて飲んで、この日のお会計は1人5,000円ちょい。素材も手間もかかっているし、この味とクオリティにしてこの価格は安い! そう感じたことを伝えると、水野さんは「気軽に通ってもらいたいし、手間はいくらでもかけられますから。お客さんが喜んでくれるのが1番です」とシャイな笑顔で答えてくれました。白金の角地に灯る赤提灯を見つけたら、迷わず中へどうぞ。うまい魚、うまい酒、そしてうまいシメの塩むすびが待っています。

酒呑場味(しゅてんばみ)
福岡市中央区白金2-12-1 徳福ビル 1F
080-3971-1879

店舗名:酒呑場味(しゅてんばみ)
ジャンル:居酒屋
住所:福岡市中央区白金2-12-1 徳福ビル 1F
電話番号:080-3971-1879
営業時間:18:00~OS翌2:30
定休日:不定
席数:カウンター8席
個室:なし
メニュー:刺身盛り合わせ1人前1,500円~、とろたく800円、大人のポテサラ500円、魚のねぎ間串1本400円、手羽唐2本300円、小さいいくら丼600円、塩むすび300円
URL:https://www.instagram.com/syutenba_mi

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この記事を書いたひと

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