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火災から3か月後にホテルで開いた上映会
時計の針が再び動き始めたのは火災から3か月後。樋口さんは、被災後初の上映会を市内のホテルで開きました。そして、ファンの前である決意を述べます。
小倉昭和館 樋口智巳館主
「福岡県内に現存する最古の映画館として、映画の街北九州にある映画館として、昭和館はよりパワーアップして復活したいと思います」
再建を後押しした映画ファンたち
再建には約1億円の費用が必要でした。後押ししたのは全国の映画ファンです。クラウドファンディングでは、目標額を大幅に上回る約4000万円の支援金が集まり、地元企業などからの寄付も相次ぎました。
「ネオン看板に光を灯したい」強い思い
11月、再建が進む小倉昭和館を訪れると、あの焼け残ったネオン看板がありました。館内に飾ることにしたのです。
火事で焼けたネオン看板を再び灯したいという樋口さんの強い思いから、炎で割れてしまったネオン管だけを、同じ形状で同じ色のものに職人が手作業でつくりなおしました。看板そのものは、焼け跡から見つかった状態のままです。この看板を28年前に製作した北九州市の企業の職人が、再建した館内に取り付けました。
興国商事 三宅寛さん
「火事の映像とみたときはすごく泣きそうになりましたし、複雑な気持ちです」
これがあったから『もう一度』という気になれた
炎をかいくぐったネオン管が灯されると、樋口さんは涙ぐみました。
小倉昭和館 樋口智巳館主
「よく残ってくれましたよ、本当に。これがあったから『もう一度』という気にもなったかもしれないですね。お客様もこれを『もう一度みたい』と思ってくださったんだと思います。あたたかーい光じゃないですか」
がれきだった場所に、新たなネオン看板も
外壁にも新たなネオン看板が設置されました。看板の文字はファンの投票で決まった「小倉昭和館」。約1年4か月ぶりに屋号が掲げられました。
小倉昭和館 樋口智巳館主
「灯がつきました、新しいネオンがつきました。ここまできました。まさかまた新しい映画館をつくって新しいこんなネオンがね、つけられるなんて思ってもいなかった。がれきだったんですよ、ここ」
通りから見える新しいネオン看板。火災前の当たり前だった光景を思い出させる「小倉昭和館」復活の瞬間でした。
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