あれ?
注目の記者会見に最初は興奮していたものの、意外にあっさり心は落ち着きを取り戻していた。先月、生中継された大谷翔平選手のドジャース入団会見を見ていた時の心境だ。
優勝へのこだわりや、挑戦し続ける姿勢など率直で真摯(しんし)な言葉は、さすが大谷選手という深みを感じた。特に勝つために大切なことを問われ「全員が勝ちに、同じ方向を向いていることだ」と答えたのには組織論としても深く考えさせられた。もちろん「デコピン」という愛犬へのネーミングセンスにも一層の親しみを覚えたが。
注目の会見内容とは裏腹に冷静に見てしまったのはなぜだろう。それはズバリ、ユニホーム姿だと思っている。記者会見では大谷選手が初めて白とブルーのドジャースのユニホームに袖を通したのだが、感動が薄いのだ。すでにその時点で誰もが見たことのある姿となっていたからだ。映像メディアがこぞってユニホーム姿の合成写真を公開していた。中にはエンゼルスのユニホーム姿の大谷選手が振り返ると一瞬にしてドジャースのユニホーム姿に変化するという凝った動画もあった。
見たいものをすぐに見せてくれる生成AI(人工知能)やコンピューターグラフィックス。すごいけれど、感動を奪わないでほしい。ユニホーム姿を想像させてほしかった。古い?
1月20日(土)毎日新聞掲載
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