どこでも誰でも“UDe-スポーツ”の世界
全国で人気上昇中の“熊本発”のオリジナルコンピュータゲームがある。ユニバーサルデザインのeスポーツ、「UDe-スポーツ」だ。特徴は“シンプルすぎる”こと。このUDe-スポーツの普及に力を入れているのが、合志市のハッピーブレイン。「外出が難しい高齢者にコミュニケーションの場を提供したい」と考えた元理学療法士の池田竜太(40)代表がコロナ禍の2020年に起業した。
福祉施設でのeスポーツイベントなどを実施していたが、「ゲームの内容が理解できない」、「操作が複雑すぎる」といった利用者の声を聞き一念発起。玉入れやもぐらたたきといった単純明快なオリジナルソフトと、“押すだけ”というシンプルな操作ボタンを開発した。その結果、高齢者はもちろん子供や障害のある人も楽しめるように。
結果、現在は全国100か所以上の施設などに導入されている。そしてUDeスポーツ人気のもう一つの理由は、オンライン機能。離れた場所の相手との“対戦”やコミュニケーションが可能ということもあり、外出気分を味わう事ができるのだ。UDeスポーツ協会を自ら設立、「年齢や性別、国籍、障害の有無など関係ない、誰もが“ごちゃまぜ”になって楽しめる世界」の確立を目指す池田さんの奮闘を追う。
会社名:ハッピーブレイン/UDe-スポーツ協会
代表者:池田 竜太さん
住 所:熊本県合志市御代志1661-1
ホームページ:ハッピーブレイン https://hb-e-sports.com
ホームページ: UDe-スポーツ協会 https://ude-sports.com
取材後記
「熊本の山あい、のどかな集落で“ぷよぷよ”に熱中するシニア世代がいる」と聞きつけ、ハッピーブレインの活動を別番組で取材したのが3年前のこと。今回久しぶりに再会した“ぷよぷよマスター”たちは変わらずお元気そのもので、かつ、その腕前もぐんぐんレベルアップ!「孫と遊ぶ楽しみもできたとよ」と笑顔で話す方もいて、eスポーツが集落に良い影響を与え続けているのだなと感じました。
今回メインで取り上げたのは、主人公の池田さんたちが独自に開発した『UDe-スポーツ』。世代や性別、障害の有無関係なく“みんなで”楽しめる、“みんなと”楽しめる、唯一無二のゲームです。シンプルな内容や操作のしやすさはもちろん、飽きずに楽しめる工夫もされていて、施設の職員の負担軽減にもつながる…理学療法士の池田さんならではのアイデアが満載なのだと思います。
この『UDe-スポーツ』の誕生で、障害のある人や100歳近くの高齢者など、今までeスポーツとは物理的にも心理的にも距離のあった方も多くゲームに参加しています。映像をつないでのオンライン対戦が可能なので対戦相手の顔が見え、かつチーム戦なので仲間同士の結束が強まるのもポイント。取材に伺った施設や公民館では、心から対戦を楽しむ表情と熱気、そして本気で悔しがる姿に圧倒されました。
こうした事業が広がりを見せ、池田さんたちはeスポーツを活用し、障害のある方々への就労支援も積極的に行っています。自宅にいながら働くことができる、プログラミングを学ぶ、など将来への選択肢を増やす役割も果たしているのです。3月には、台湾の大学生と熊本の高齢者によるUDe-スポーツ“世紀の一戦”が開催されます。
取材中池田さんが何度も口にしていた「世代や性別、障害の有無に関係なく“ごちゃまぜ”になって楽しめるものができたら」という言葉。今回は国籍や言葉さえも越えた大会が実現します。改めて夢があるゲームだなと感じつつ、手に汗にぎる戦いを、しっかり応援したいと思います。
(RKK熊本放送 / 吉村 由紀子)
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