プロのもてなしと普段の食卓、どちらにもなじむ器の数々

料理と切っても切れない関係の器。お気に入りの器があるだけで、料理をすることや誰かをもてなすことがより一層楽しくなるものです。作家ものや民芸、アンティーク、世界各国の器まで、収納場所に困るほど器を集めてしまうライターの森脇美奈さんが、こだわりのセレクトが光るお店を紹介していきます。

器好きの人は、飲食店に行くとどんな器を使っているのか自然と気になることがきっと多いはず。私も素敵な器で料理が提供されると「どこのものですか？」とつい聞いてしまいます。新しい窯元や器のお店を知るきっかけにもなりますし、会話の糸口にもなりますね。今回おじゃました春吉「Studio1156」も、訪れた飲食店でこちらで購入したお皿が使われていることを知って足を運んだお店です。ちなみに「1156」という店名は春吉1-15-6という番地から付けられたそう。響きもかわいいですし、由来を聞くと印象に残りますね。

店内の壁一面に有田焼、伊万里焼、波佐見焼を中心とした器が並んでいます。2018年のオープン当初はギャラリーのように空間を生かしてゆったりとディスプレイをしていたそうですが、コロナ禍を機に、訪れた人がたくさんの器を見ることができるようにと雑貨店のように手に取りやすい現在の形になったそうです。

福岡出身の小栁伸広さんは、飲食店向けの器の販売を中心とするなかで、主要な販売先である福岡市で器を実際に見てもらえる場所を作りたいと「Studio1156」をオープンしました。「以前は業務用、家庭用といったくくりがありましたが、今ではその概念も薄れてきています。お店で使うような器を好む一般の方も増えていますし、ここではどちらにも使えるようなものを選んでいます」と小栁さん。

磁器を中心にグラス、漆製品、カトラリーなど、食にまつわるさまざまなアイテムが集められています。産地は有田が中心ですが、伊万里や波佐見など周辺の産地のほか、石川県の九谷焼、愛知県の美濃焼なども販売しています。

なかには「1616 / arita japan」や「HASAMI PORCELAIN」といった人気ブランドの器も。特に「HASAMI PORCELAIN」は探して訪れる方が多いそうです。どちらもシンプルでありながら個性があり、和洋どちらのテーブルにも合いそうですね。

多彩なラインナップのなかで気になったものを紹介します。まずは有田焼らしいトラディショナルな絵付けが施された「其泉」の小皿。細やかな模様や美しい色彩、個性ある形など有田ならではの技が光る器は食卓を格上げしてくれそうです。写真には写っていませんが側面にも絵柄があり、細部へのこだわりが感じられます。最近、飲食店でもよく見かけるお盆に小皿や豆皿をたくさん並べたスタイリングにも合いますね。手前から右回りに「染付金彩 松竹梅鶴絵 小付9.5cm」（4,400円）、「松竹梅鳳凰 鮑型小付珍味8cm」（4,180円）、「琳派 古伊万里様式 小皿11cm」（5,500円）。

伊万里焼の窯元「畑萬陶苑」の「極フラットプレート」は、料理やデザートの盛り付けが決まる一枚。一見しただけではわかりませんが中央に向かって約0.5mmの凹みがついているため、ソースが垂れづらくなっています。左から「伊万里焼 極フラットプレート（M）19.5cm」（4,180円）、「伊万里焼 極フラットプレート（S）15cm」（3,300円）。S・MサイズのほかにL 24.5cmがあり、カラーや質感のバリエーションも豊富です。

アーティスティックなデザインが印象的な波佐見焼「マルヒロ」の「BARBAR 蕎麦猪口大事典 HEAVEN & EARTH そばちょこ 8cm/170ml」（各2,750円）。「マルヒロ」の蕎麦猪口は100種類以上の豊富なデザインで知られていますが「Studio1156」では、天と地をテーマにした「HEAVEN & EARTH」と色絵のものだけを選んでいるそうです。私も使い勝手がよく、口当たりがなめらかな「マルヒロ」の蕎麦猪口を愛用しているので、新しく仲間入りさせたくなりました。

シックなものからポップなデザインまで、モダンなものから伝統的なものまで、そして手ごろなものから高価なものまで。すべてが幅広くセレクトされているので、誰もが好みに合ったものを見つけられそうですね。

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